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我が刃、共に

やっぱり物語を想像するのは楽しいですね。

アレン、セイラ、トウマの3人は数日前の農村での1件を調査結果を受け取るため、ギルドを訪れていた。

「リリアさん、あの件どうなりましたか?」

「おはよう3人とも。丁度結果が届いたところよ。」

そう言うとリリアはカウンターに調査結果資料をアレン達に渡す。

「その農村、数年前から不作だったのよね?」

「はい。そう聞きました。」

「なるほどね。これはちょっとマズいかもしれないわ。」

そう言われた3人は資料を除きこむ。


『農村の土壌及び不審な種の調査結果

ーー農村の土壌からは数年前から蓄積された呪いによる魔素が検出され、慢性的な不作は外部からの魔術的干渉によるものであることが判明し、同時に村に持ち込まれた種からは急速成長魔法とポイズンスネークを誘引する魔法が施されていたことから、作物の異常な成長と魔物被害は計画的な罠によるものと結論づけられる。ーー』


「これって…。」

「ええ、どこかの誰かさんが数年かけて悪さしてたってことよ。ギルドもこの件を受けて本腰入れて調査を始めたのよ。私もそのせいでクタクタよ。」

「…お疲れ様です。」

光の鎮魂歌(ルクス・レクイエム)の仕業か?」

「まだ断定はできないわ。でも怪しいのは確かよ。進展があれば、また伝えるわ。」

「ありがとうございます。」



そうして3人は酒場の一角に着いた。

「あの村大丈夫かな。」

「なにかあればまたギルドを頼ってくれるでしょう。」

「それもそうだね。そういえばトウマは最近どう?パーティとかは入ったの?」

そう聞かれたトウマはイスの上にも関わらず正座に治り、背筋を伸ばし、アレンとセイラを見据える。

「その件について2人に折り入って頼みがあるんだ。」

「う、うん…?」

2人はトウマの気迫に圧倒されながらも続きを促す。するとトウマは自らの獲物を2人との間に置く。そして深々と頭を下げた。

「我が刃、貴殿らと共に振るわせてほしい。未熟なれど、拙者の心は真である。」

しばしの沈黙。トウマは緊張のあまり額から汗を流している。そんな緊張感漂う空気に口を開いたのはアレンだった。

「……なんだ、急に迫られたかびっくりしちゃったよ。」

「周りの方もびっくりしてますよ?」

そう言われたトウマは周りを見渡す。トウマはギルド中の視線を集めていた。恥ずかしくなったトウマは姿勢を戻し少し顔を赤くする。

「…し、しかし、俺は真面目に…。」

「うん、わかってる。」

するとさっきまでおちゃらけていたアレンの目が真っ直ぐトウマを見つめる。

「ありがとう、トウマ。君の思い受け取った。」

「っ!ならばっ!」

「これからよろしくね、トウマ。」

セイラも笑顔で頷く。

「歓迎します、トウマさん。これで私たちは、れっきとしたパーティですね。」

「…ああ、よろしく頼む。」

トウマは照れくさそうに顔を背けながらも、口元はわずかにほころんでいた。

「あらら〜?新しいパーティメンバーの加入かしら。手続き、しちゃう?」

3人の話にリリアが顔を覗かせる。

「リリアさん。」

「そうですね。パーティメンバーの追加加入の申請をお願いします。」

「そう言うと思って準備してたの。ここに名前と使用魔法を書けば終わりよ。」

「手際いいですね!さすがリリアさん。」

「あら〜?褒めても何も出ないわよ。」

だが言葉とは裏腹にリリアは満更でもない顔をしていた。その脇でトウマは書類の記入を行う。

「終わったぞ。」

「ありがと。これであなた達は正式なパーティよ。えーっとトウマくんね。魔法は…無し?珍しいわね。」

「トウマさんは刀を使うんですよ。」

「そうなのね。刀と言ったらたしか、和陽国よね。あそこの料理は絶品だって有名なのよねぇ〜。いつか行ってみたいわ。」

「そうか?なら今度案内してやろう。」

「あらホント?楽しみにしてるわ。ってお邪魔だったわよね。それじゃこれからも頑張ってね。」

そう言うとリリアはカウンターに戻って行った。

「和陽国…たしか魔族国 ドラクマールに近い国でしたよね。」

「そうなの?!和陽国は大丈夫?」

「あぁ、心配しなくても平気だ。最近まで戦が続いていたが将軍様が統一した。今は国防に力を入れている。だから安心しろ。」

「良かった〜。それで和陽国ってどんな国なの?」

「そうだな。緑豊かないい国だ。のどかな風景を楽しめる。食にもこだわりがあってな。そうそう、妹とよく山菜採りに行ってな。そしたらーー」

故郷を語るトウマは今までのどこか張り詰めた雰囲気を解き、爽やかな笑顔を浮かべていた。

「故郷が好きなのですね。」

「顔に出てたか。」

「うん!どれだけ好きかがよく伝わったよ。」

するとトウマは先程とは一変し、バツの悪い顔を浮かべる。

「恥じることではありませんよ。」

「そ、そうだな。」

「てかさ、さっき話してたけど妹って?」

そう聞かれたトウマはこれまで以上に張り詰めた雰囲気をかもし出す。

「妹は、故郷にいるんだ。俺にとっては…命より大事な存在だ。冒険者になったのは、そんな妹に胸を張れる兄でいたい、ただそれだけさ。」

「そっか。いいお兄ちゃんだね。」

「……そうか。アレンにはそう見えるのか。」

「?トウマ、なにか言った?」

「いや、なんでもない。」

「そういえばアレンさんは兄弟はいるんですか?」

「うん。年の離れた弟と妹がたくさん。僕、孤児院で暮らしていたんだ。」

「そうだったのですね。」

「うん。でも気にしなくて大丈夫だよ。孤児院のみんなは僕のもうひとつの家族みたいなものなんだ。」

するとアレンはある案を思いつく。

「そうだ!2人とも僕が暮らした孤児院に一緒に行かない?弟と妹に僕の仲間を紹介したいんだ。」

「もちろんだ。」

「ええ、断る理由などありません。」

「よし!それじゃあ早速出発しようか!」

思い立ったが吉日。3人はアレンが8年を過ごした孤児院に向かった。

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