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蛇狩り

戦闘シーン書くの難しい

もっと上手くなりたいな

3人はポイズンスネークが現れたと言われる方向にある森の中を探索していた。

「なかなか見つからないね。」

「そうですね。しかし空気はとても張り詰めています。」

「…ここにいるな。」

森の茂みからなにかがうごめく音が微かに聞こえる。それは徐々に音を大きくし、アレン達に近づく。

「ふたりとも、危ない!《ブレイズシェル》!」

「ッ!」

「ありがとうございます、アレンさんっ!」

そこにはドーム状の障壁に牙を突き立てた巨大な蛇、ポイズンスネークがいた。

「こいつが…!」

「デ、デカいっ!このままじゃっ!」

「ふたりともここは”拙者”に任せてはもらえぬだろうか。」

「せ、拙者?」

「どうしたのですか?トウマさん。」

ふたりの声を背にトウマは刀を抜く。その構えはどの古文書にも載っていない、言わば無名の型。されどその構えは相手の魂を震え上がらせる程の威圧を放つ。

「無我刀魂流 静断」

空気が凍りついたような一瞬の静寂。

次の瞬間、ポイズンスネークの首が滑り落ちた。

「す、すごい…。」

「これが東方の剣術…。オスヴァリアともアルフィネとも違う。」

トウマは息を吐きながら刀身を鞘に納める。「これは無我刀魂流と言う。」

「…長いんですね。」

「師匠の名付けはちょっと独特でな…。しかし腕は確かだ。国を治める将軍様と互角とも聞いたな。」

「そ、そんなに強い人の弟子なの!?」

「そういえばさっき”拙者”って言ってませんでした?」

「たしかに。気になったんだよね。」

「刀と向き合うと、自然と口調が変わっちまうんだ」

「えっ、そういうもんなんですか?」

「“刀と魂を写し出す”のが無我刀魂流だからな。構える時は、心まで研ぎ澄まされるんだ」

「だから“無我”なんですね……」

「ああ。……師匠のこだわりだ。」

すると気を緩めた3人の背後に大きな影が近づく。

「ッ!《フレアスラッシュ》!」

アレンの斬撃はポイズンスネークの胴体を切り裂くが討伐するには至らなかった。

「くっそー!倒せなかったか!」

「だが致命傷ではある様だぜ?惜しかったな!」

「呑気なことは言ってられませんよ!ミリュ、お願い!」

「ミュミュ!」

セイラの掛け声と共に現れたミリュアは水泡を鋭く尖らせ、アレンの与えた傷に追撃を加える。「シャアア…ッ!」と声を上げながらポイズンスネークは力無く倒れる。

「これで終わりでしょうか。」

「うおおおっ!これが精霊か?!愛らしいな!」

「初めてですか?精霊は。」

「こほん…。あぁ、初めて見るもんでな。すまなかった。」

「ミュ〜♪」

「でもミリュアは嬉しそうだね。」

「そ、そうか。それは良かった。」

「一応ヴァルグを呼びましょう。周囲にポイズンスネークがいないとは限りません。」

セイラの呼び声に答えるようにヴァルグが現れる。

「アォォォォン…。」

「ヴァルグ、この蛇と同じにおいはある?」

指示を受けるとさっそくポイズンスネークのにおいを嗅ぎ、周囲を確認する。すると森の奥に反応し、ヴァルグは進み始めた。

「この奥にいるみたいです。行きましょう。」

3人はヴァルグを追って森の奥へ進んだ。




ヴァルグの向かった先にあったのは巨大な巣穴だった。

「これは…巣穴でしょうか。」

「この中にいるってことだな。…これは。2人ともこれを見てくれ。」

トウマが見つけたのは何者かの血痕であった。それは巣穴の中に続いていた。

「人の血痕っ!?」

「とにかく急ごう。」

アレン達は急いで巣穴に侵入する。

巣穴は空間全体が湿っており、空気はとてもひんやりしていた。

「少し暗いですね。《ホーリースフィア》」

「ありがとう、セイラさん。…ッ!2人とも、あれ!」

アレンが示した方向には2人の少年が倒れていた。呼吸は荒く、体には毒が巡っているのか紫色の血管が浮き出ていた。

「解毒薬を!」

「買っておいて良かったな。リリアさんには感謝だ。」

少年に解毒薬を飲ませると呼吸は落ち着き、体も正常になっていった。するとひとりがゆっくりと瞼を開ける。

「…ここ、どこ?」

「良かった!ふたりとももう大丈夫だよ。」

「…弟、弟はッ!」

そう言うと少年は勢いよく立ち上がり、まだ意識を失っている少年の方を向く。

「心配するな、少年。そっちにもちゃんと解毒薬を飲ませた。もう少ししたら目を覚ますだろう。それよりも…。」

トウマは少年の目線に合わせてしゃがみこむ。少年はトウマの目線に少したじろぐ。

「なぜこんなところにいる。魔物がいるかもしれない場所だ。」

「そ、それは…。」

「勇気は時に無謀に変わる。それを間違えたら早死するぞ。」

「でもっ…」

「でもじゃない。村を救いたいのは俺達も同じだ。だから任せろ。」

「う、うん…。」

すると奥からポイズンスネークよりも巨大な蛇が現れる。

「シャアアァァァ!」

「ブラットスネークっ!」

「こ、こいつだッ!こいつに村は壊されたんだッ!」

少年ようの言葉を聞いたトウマは前に出て、ブラットスネークと睨み合う。

「そうか。少年、下がっていろ。アレン、セイラ、2人は援護を頼みたい。こいつは拙者にやらせてくれぬか。」

「わかった。後ろは任せて!」

「了解しました。」

トウマは刀を抜き、ブラットスネークに向けて構える。

「無我刀魂流 静断」

トウマが放つ無音の一閃。ブラットスネークの首元を傷つけるが致命傷には至らなかった。

「…断てぬか。ならばッ」

ブラットスネークはトウマを尻尾で薙ぎ払う。トウマはそれをいとも簡単に回避し、次なる斬撃を構える。

「無我刀魂流 白牙連」

それは白き牙を思わせる刀で繰り出す斬撃。その斬撃はブラットスネークの身体中を傷つける。

「僕達も負けていられない!《バーンナックル》!」

「ミリュ、ヴァルグ、お願い!」

「ミュ!」

「バウッ!」

アレン達の攻撃を続けざまに食らったブラットスネークは地面に伏した。

「これで終いだ。無我刀魂流 奥義 響心断」

上段からの一太刀。それは空気を震わせ、心臓を震わせ、魂をも震わせる。ブラットスネークは真っ二つにされた。

「…ふぅ。」

トウマは刀を納め、少年に向き直る。

「終わったぞ。」

「ありがとう…本当にありがとうっ」

少年は大粒の涙を流し、その場に立ち尽くす。

「お前たちは頑張ったさ。よくやった。」

そう言うとトウマは少年の頭を撫でる。

こうして村を脅かす蛇は討伐された。



「村長、終わったぞ。もう外に出ても問題ない。」

「ありがとうございます…!この御恩は忘れません。」

3人は依頼完了の報告のため再び村長の家に訪れていた。

「それとこの少年たちだが…。」

トウマの影に隠れていた2人の少年が顔を出す。

「お前達!どこに行っていたんだ!」

「巣穴で見つけたんです。毒にやられていたところを僕達が。」

「まさかふたりで行ったのかっ!あれほど危険だから行くなと…言っておいたのに…!」

少年達を叱りつけようとする村長の前にトウマが立つ。

「まぁ待て村長。貴方が少年らを想うように少年らもこの村を想っていた。確かに危ないことをした。しかし、この村のために動こうとした勇気は認めてやってもいいんじゃないか?」

トウマの言葉によって気まずそうにしていた少年達の顔が笑顔を取り戻す。

「…そうかもしれません。家に篭もる大人よりも立ち向かった子供達の方が何倍も勇気があったのかもしれませんな。」

「だが無謀であったことも事実だ。そこについては今回のことでしっかり学んだだろう。」

すると少年達から笑顔が消え、苦虫を噛み潰したような顔になる。

「じゃあこれで依頼完了というとこで、僕達は街に帰ろうか。」

「あ、その前に村長さん。ここの土を少し貰ってもよろしいですか?」

「ええ、しかしなぜ?」

「今回、種が原因でポイズンスネークが村を襲いました。しかし不作というのが気になったんです。私が知る限りここ数年は豊作が続いてると聞きました。ここの村だけが不作続きなのは不自然だと思ったんです。」

「そういうことなら是非お願いします。まだ植えていない種もあります。それも持っていってください。」

そう言うと村長は種と土を持ってくる。

「今回は本当にありがとうございました。」

村長と子供達の声を背に3人の冒険者は帰路に着いた。







村から少し離れた場所にふたつの人影が立っている。

「ありゃりゃ。ここはもう使えないかな。」

「貴方が無理に計画を進めたせいでこうなってるんですがね。」

「でもキミもわかってるでしょ?もう時間がない。ここでこの国を滅ぼさなければ夢は叶わないぞ。」

「わかっています。我々はそのために動いている。」

「さぁ次の盤面に進もう。光の鎮魂歌(ルクス・レクイエム)によるショーの始まりだ。」

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