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仲間

翌朝。アレンは朝靄の街を歩きながら、ギルドへと足を向けていた。

(今日も依頼を受けに行こう。生活のためにも、お金は必要不可欠だからな。)

ギルドに入ると、掲示板の前へ向かい、貼り出された依頼書の数々に目を通す。

(う〜ん、一人でもこなせそうな依頼、どれも微妙に荷が重いな。そうだ、受付のリリアさんなら何かいいのを知ってるかも!)

そう思い立ち、受付に向かったアレンは、リリアと話し込んでいるセイラの姿に気づいた。

(あれは……セイラさん?)

「リリアさん、どうにかなりませんか?」

「うーん、これはね…。一人じゃ厳しいのよ。この依頼は最低二人以上って決まってるの。」

「でも、私にはミリュがいますよ。来て、ミリュ。」

セイラが優しく呼びかけると、水の揺らめきと共に、ミリュアがふわりと現れた。

「ミュー♪」

「たしかに心強いけどね、精霊との契約者でも、規定は規定なのよ。」

「う〜……。」

そのやり取りを聞いていたアレンは、一歩前に出る。

「2人とも、どうしたんですか?」

アレンの声に、リリアが顔を上げた瞬間、瞳を輝かせてカウンター越しにアレンの手を取った。

「ああっ!アレンくんっ!ナイスタイミング!」

「な、なんですか急に?!」

「君、まだ依頼受けてないわよね?だったら、セイラちゃんと一緒にこの依頼を受けてくれない?お願い!」

「アレンさん、もしよろしければ……私からもお願いしても、いいですか?」

「もちろん。僕もちょうど依頼を探してたところなんです」

「決まりね!セイラちゃんとアレンくんでこの依頼、ばっちりお願いするわ!」



2人は依頼者がいる村に向かっていた。

小鳥がさえずり、陽の光が暖かく2人を照らしていた。

「今回の依頼はどんなものなんですか?」

「村に住む方からの依頼です。娘の病を治すための薬草が洞窟の中にあるようなのですが、その洞窟はとても危険なのです。村の方々はなかなか近づけないようで…。」

「なるほど、だから冒険者に…ってことですね。早く薬草を取りに行きましょう。」

「そうですね。」

話がひと段落したところで、アレンは疑問を口にする。

「セイラさんってどうしてパーティを組まないんですか?その……顔を隠しているのも関係あったりするのかなって。」

そう聞かれたセイラは立ち止まり考え込んだ。風が木の葉を揺らす男が周囲の静けさを物語る。アレンは自分が踏み入ってはいけないものだと感じとる。

「あっ、聞かない方がよかったですよね…。すみません。」

「い、いえ、私の方こそ…。そういうわけでは。その、話していいのか少し迷っているだけです。」

「無理しないでください。話したくなった時で構いませんから。」

「ありがとうございます。では、行きましょうか。」

2人の足音が、木々の間を抜けて進んでいく。

その背中を、朝の光がそっと照らしていた。




その村はよくある街外れの農村であった。

土の香りと青草の匂いが漂い、作物は風に揺れる。

2人が村に着くと依頼人であろう女性が出迎えた。顔には疲れがにじんでいた。

「こんにちは、僕たちはセリオンオースの冒険者です。あなたが依頼人ですか?」

「はい。わたしが依頼しました。どうぞこちらへ。」

案内されたのはこじんまりとした木造の家屋だった。

「ただいま、ミラ。体調はどう?」

「おかえり…お母さん…ゲホッゲホッ」

「ミラっ!無理しなくていいのよ。」

家に入ると出迎えたのはベッドに横たわる弱った少女だった。頬はこけており、弱々しく、体の一部にはうっすらと魔力の流れが浮き出ていた。それはこれがただの病ではないことを物語っていた。

「これは…。」

「魔力膨張症ですね。」

「はい。1週間ほど前からこの様子で…。治すには近くにある洞窟の中にある薬草『放魔草』が必要なんです。ですが…。」

「魔物が住み着いているんですよね。」

「はい。」

「安心してください。私たちが必ず採取してきます。」

そう言うとセイラはベッドに寝ているミラに近づく。

「お姉さん?」

「ミラちゃん。私たちが必ず助けるからね。」

「うん…待ってるね…。」

少女の手は細く、弱々しく、それでも、その瞳には希望の光が宿っていた。



洞窟の中は薄暗く、冷たい空気が漂う。

「照らしますね。《ホーリースフィア》」

セイラが魔法を唱えると暖かい優しい光の玉が2人の頭上に現れる。

「おぉ!ありがとうセイラさん。」

「いえ、急ぎましょう。ミラちゃんが待っています。」

「そうだね。急ごう。」

2人が洞窟の奥に進むと3体の魔物と遭遇する。岩が人型を成したもので、それらは無機質でただ棒立ちをしていた。

「あれは、確かラミナ?」

「でも、大地の裂け目が出現したって情報はありませんでした。」

すると2人の存在に気づいたのか、3体のラミナが近づく。

「とりあえず倒しましょう!《炎鎧魔法》」

アレンは炎鎧を纏い、ラミナに剣を振りかざす。刃は一体の腕を落とすが、ラミナは痛がる素振りも見せずもう片方の腕を振り回し、アレンを壁に打ち付ける。

「くっ!!」

「アレンさんっ!!」

「セイラさんっ!後ろっ!!」

セイラの後ろに忍び込んだラミナは拳に魔力を乗せ、殴りかかる。

「ミリュッ!!」

「ミュミュッ!!」

セイラの前に現れたミリュアは大きな水泡で盾を作る。しかし、完全には防ぎ切れずセイラとミリュアは大きく吹き飛んだ。

「ウッ!!」

「セイラさんッ!!クソッ!」

アレンはセイラを助けに行こうにも2体のラミナが行く手を阻む。

(これじゃあセイラさんを助けにいけないッ!どうすれば。)

吹き飛ばされたセイラはミリュアを抱えながら胃を決する。

「ミリュ、ごめんね。私の我儘で傷つけてしまって…。」

「ミュ〜」

ミリュアはセイラを慰めるように手に顔を擦る。

「背に腹は代えられません。来て、ヴァルグッ!!」

すると狼型の精霊がセイラの前に現れる。

「グルルルルッ」

ヴァルグは素早くラミナに近づき、魔力で強化された牙で脚を噛み砕く。

「ガルッ!」

間髪入れず爪で両腕を切り裂く。

「セイラさん、よかった。なら、こっちもッ!《フレアスラッシュ》!!」

アレンが繰り出した炎の一閃は2体のラミナを両断する。

「セイラさん、大丈夫ですか!」

「ええ、なんとか。」

アレンはセイラが呼び出したミリュアとは違う精霊に目をやる。ヴァルグはアレンに対して友好の証として体を擦り寄らせた。

「えっと、この精霊は?精霊って通常一体としか契約出来ないって聞いたんですけど…。」

セイラはわずかに目を伏せ、覚悟を決めたようにフードを外し、口を開いた。

「これ以上隠しても仕方ありません。私はセイラ・アステリア。伝説の精霊使いの子孫です。」

「え?えぇーーーーーっ!!??」



伝説の精霊使い

英雄セリオンと旅を共にした者のひとり。彼は精霊を6体と契約していたとされ、全精霊使いの憧れである。そして、彼の家系のみが精霊との複数体契約が可能とされている。アルフィネ皇国を起こしたのアルティエル教の祖とされている。

「私はアルティエル教の聖女でした。しかし、教皇様の裏切りで私は追われる身となりました。そして教会の目から逃れるため、このオスヴァリア王国で冒険者として生きることにしたんです。」

「それがパーティをつくらないことと顔を隠す理由なんですね。」

「後者は当たっています。信者の方々に見られる訳にはいきませんから。パーティについても半分は当たっています。私、教皇様に騙されていたんです。それからあまり人に対して常に疑いの目を向けてしまうようになりました。その、実は最初、ボイドさん達やアレンさんのこと信じることが出来ませんでした。本当にすみません。」

セイラは深々と頭を下げる。ミリュア達はセイラの顔を心配そうに覗き込む。アレンは焦ったように口を開く。

「い、いえ、いいんですよっ!誰だって最初から信じきることなんてできませんから。」

焦ったアレンを見てセイラは笑顔を見せる。

「ふふ、ありがとうございます、アレンさんって本当に優しいですね。……精霊に対しても。」

セイラは微笑みながらミリュアとヴァルグを撫でる。

「?あ、もう半分の理由って?」

「それは……また今度お話しましょう。なのでまだ内緒です。さあ、今はあの子のためにも全力を尽くしましょう。」

セイラが先導して洞窟のさらに奥へ進んで行く。



2人は洞窟の最深部だと思われる空間にたどり着く。そこは放魔草が群生しており、淡い光を放つ草の海のようだ。しかし、行く手を阻むように大地の裂け目が出現していた。

「こ、これは…!」

「戦いは避けられないみたいですね。」

7体のラミナがアレン達の方を向き、戦闘態勢に入った。

「いこう、みんな!《炎鎧魔法》」

「ミリュ、ヴァルグ、お願い!」

「ミュー!」

「ガルルッ!」

アレン達は物陰から飛び出し、ラミナに刃を向ける。

「ハァァァッ!!」

アレンの炎を纏った剣はラミナの首元を切りつけた。しかし討伐には至らず、左右から他のラミナに挟まれる。

「やっぱり1発じゃ倒せないか。でも…!」

「ミュミュー!」

すかさずミリュアの援護が入る。2体の足を止めるとヴァルグとセイラが追撃をくり出す。

「ガヴッ!!」

「《ホーリーショット》!」

「ありがとう、みんな!《バーンナックル》ッ!!」

3体のラミナは力を失ったように崩れ落ちる。

「あと、4体!」

「見てください、なにかおかしいです!」

4体のラミナは互いに重なり合い、体を激しく震わせ始める。

「あれは…なんだ?」

「ガルルルルッ!!」

「ミューッ!」

「これは…!」

重なり合ったラミナはアレン達の数倍もの巨体を得た。

「なんだとしても、やるしかない!《フレアスラッシュ》ッ!」

アレンの刃は巨大ラミナには届かず、強烈な一撃を受けて吹き飛ばされる。

「うあぁぁぁッ!!」

アレンは地面に力無く倒れる。

「アレンさんッ!」

巨大ラミナは次の標的であるセイラ達に牙を向く。しかしセイラの足は震えて動かなかった。

「ッ!」

「ガブッ」

セイラに拳が当たる瞬間、ヴァルグがセイラの服を噛み、間一髪でセイラを引き離す。

「あ、ありがとう…ヴァルグ。」

「バウッ!」

「アレンさんを…助けないとっ!」

巨大ラミナは見逃さなかった。単騎になったミリュアはセイラに近づこうしたが、巨大ラミナの拳には気づかなかった。

「ミュミュ」

「っ!ミリュ、危ないッ!」

ミリュアに拳が振りかざされる。土煙が立ち上がり、ミリュアを視認できなくなった。

「ミリュッ!ミリュッ!!」

セイラが名を叫ぶが返事は帰ってこない。セイラは自身の無力さを嘆く。

「あぁ、私がもっと強ければ…ミリュアのことを助けられたのに。ごめん、ごめんね…。」


セイラはヴァルグを抱きながら涙を流す。

巨大ラミナは無情にも拳を振りかざす。

(あぁ、ここで終わりなのですか。私はまだ、夢を…叶えていないのに。)

「大丈夫!《ブレイズシェル》!」

アレンが魔法を唱えるとドーム型の炎の防壁がセイラ達を包む。

「アレンさん、ッ!」

セイラはアレンが抱えているミリュアに気づく。気を失ってはいるが、息はしていた。

「ミリュアッ!生きてたのね……よかった…本当によかった。」

「ミリュアちゃんは無事だよ。ギリギリ間に合ったんだ。」

「っ!ありがとうございますっ!」

アレンはセイラにミリュアを託す。しかし依然として苦い顔のままだった。

「でも、この巨大ラミナを倒すには力が足りません。」

「それなら奥の手があります。彼が力を貸してくれるかは疑問ですが、仕方ありません。」

セイラは立ち上がり、ミリュアとヴァルグを帰す。

「ありがとうふたりとも。助かりました。ゆっくり休んでくださいね。」

「バウッ」

「ミュ…」

「どうするんですか?この防壁ももう限界です。」

「分かりました。アレンさん、火を頂けませんか?」

「火?これでいいですか?」

アレンは手のひらに炎を立ち上がらせる。

「はい。では、いきます。力を貸して、エンゼリオス。」

セイラが炎に向かって名前を呼ぶとその炎は燃え上がり、中からは高笑いが聞こえ始める。

「ハーハッハッハ!!ついに我を呼び出すか。セイラよ。」

「お願い、力を貸してほしいんです。」

「そうか、いいだろう。久方ぶりの顕現だ。楽しませて貰おうではないかッ!」

すると人型の精霊が現れる。エンゼリオスは炎を纏う上位精霊であった。

「こいつは、ラミナか。いいだろう。相手になってやるッ!」

エンゼリオスは巨大ラミナに殴りかかる。巨大ラミナは怯み、地面に顔を付した。

「そうだ、お前はそれがお似合いだッこいつはどうだ?《熾炎脚》」

エンゼリオスが巨大ラミナを蹴り飛ばすと傷口から小さな火柱が巻き上がる。巨大ラミナはエンゼリオスを掴みかかるが、エンゼリオスはいとも簡単にすり抜ける。

「おいおい、我を掴もうってのか?呆れたな。《陽炎穿》」

エンゼリオスは虚空から10本の炎の槍を呼び出し、巨大ラミナを貫いた。巨大ラミナは壁に打ち付けられ、身動きが取れない様子だ。

「滑稽だな。これで終わらせてやろう。《炎輪斬華》」

エンゼリオスの背後に炎の大輪の花が咲き誇る。

「美しいだろう?我は花が好きでな。咲き誇る花のように美しく散ってみせなッ!」

そう言い放つと背後の花が散り、花びらが巨大ラミナに連続した斬撃をくり出す。

「これで、終わりだ。」

エンゼリオスが拳を握りしめる散った花びらが空を舞い、次の瞬間、轟音とともに光が咲き乱れる。巨大ラミナの体は、その華やかさの中で崩れ落ちた。

「ふん、図体ばかりデカくなりやがって。」



「セイラさん、彼は?」

「彼はエンゼリオス、炎の上位精霊です。とても強いんですが…。」

「ですが?」

2人がエンゼリオスを見上げると、彼はひとりで自身の勝利に浸っていた。

「ハーハッハッハッハッ!!!我こそ最強ッ!ラミナなんぞ塵も同然だッ!ハッハッハッ!!」

「とっても自信家なのです…。」

浸り終えたエンゼリオスはボロボロになったアレンとセイラの前に降り立つ。

「セイラよ、あんなモノにやられていたのか。弱いな。」

「ぐうの音も出ません……。」

「そっちのお前は何者だ?」

「アレン・フレイアードです。よろしくお願いします。」

エンゼリオスはアレンの纏った炎鎧を凝視する。彼が炎の質を見定めると目を見開いた。

「ッ!…ほう。あの方はこの小僧を選んだか。しかし、これではすぐ死ぬな。」

「なっなんて失礼なっ!」

「す、すみませんっ!エンゼリオスっそんなこと言ってはいけませんよっ!」

セイラに詰められたエンゼリオスは焦った様子で口を開く。

「す、すまんすまん。しかし、事実だぞ。アレンと言ったな。もっと鍛錬を詰め。」

「…はい。」

「じゃあ我は帰るぞ。疲れた。」

そう言い放つとエンゼリオスの足元から火柱が巻き起こり、その中心で彼は嘲笑のように笑みを残したまま、風に消えた。

「は、はい。ありがとうエンゼリオス。お疲れ様。」

「じゃ、じゃあ、放魔草を採取して帰りましょうか。」

「そうですね。」



2人が洞窟を抜けるころ、日は傾き、辺りはすっかり朱色に染まっていた。

「結構長くいたんですね。気づきませんでした。」

「さぁ、ミラちゃんの元へ急ぎましょう。」

家屋へ戻ると、心配していたのか安堵の表情を浮かべるミラの母親が出迎えた。

「っ!おふたりとも無事で良かった。本当にありがとうございます。」

「これが依頼されていた放魔草ですよね。」

セイラから手渡された薬草をミラの母親が確認する。

「はい。間違えありません。本当にありがとうございます。」

彼女は涙を浮かべ、深々と頭を下げる。

「気にしないでください。さぁ薬を作りましょう。私達も手伝います。」

3人はさっそく作業に取り掛かる。

「……これで完成です。ミラ、これを飲んでくれる?」

ミラは起き上がり、出来上がった薬を少しづつ口に含む。

「に、にがぁい…。」

「ミラちゃん、しっかり飲まないと治らないよ。」

「は〜い。…お姉さん、お兄さんありがとう!」

「どういたしまして。」

2人は微笑み、ミラの頭をやさしく撫でた。



依頼を終えた2人は帰路についた。

「ミラちゃん元気になるといいですね。」

「そうだね。セイラさん、まるでお姉ちゃんでしたよ?」

「えぇ!そ、そうですかっ?確かに子どもは好きですけど…。」

アレンはセイラの反応に微笑みつつ、遠くを見据えて話す。

「実は僕、孤児院にいたんです。8年前、村が魔物に襲われました。生き残った人は僕ひとり。その日から僕は冒険者を志したんです。もうあの日の悲劇を起こさないために…。」

「……そんな過去があったのですね。」

アレンは自分が招いた重い空気に焦る。

「あぁでも!!今は親のような保母さんと僕を兄と慕ってくれてる子ども達がいますから安心してくださいね?!」

「ふふ、アレンさんも立派なお兄さんですね。」

必死にその場を取り繕うアレンに微笑みを向ける。アレンは照れながら頭を搔いた。

「実は私も早くに親を無くしました。そして引き取られたのが現教皇様です。心を閉ざしていた私にとって精霊は支えでした。ミリュやヴァルグ、エンゼリオスはその時に契約したんです。彼らには助けてもらってばかりでした。」

「でも、セイラさんと彼らには絆がありますよ。」

「そうです。私達は絆で繋がっているんです。なので彼らを、精霊を物と扱う人が許せないんです。…なので感謝しています、アレンさん。あなたはミリュアを救ってくれた。本当にありがとうございます。」

セイラはアレンに向き直り、深々と頭を下げる。それに焦ったアレンは顔を上げるよう促す。

「セ、セイラさん!顔を上げてくださいっ!僕は仲間として当たり前のことをしたまでですよ。」

「ッ!」

セイラは頭を上げ、アレンの目を見つめる。その眼には嘘偽りの影は見えなかった。

「…アレンさん。あなたさえ良ければですが、一緒にパーティを組みませんか?もちろん無理にとは言いません。断って頂いても構いませんよ。」

セイラの声には、どこか決意と緊張が混じっていた。

「正直……今日の戦いで、自分の力の無さが身に沁みました。ラミナ一体も満足に倒せないようじゃこの先誰かを失うかもしれない。でもセイラさんとなら一緒に強くなっていけるきがしました。なので、お願いします。パーティ、組みましょう。」

「ふふ、なら、パーティ成立ですね。」

アレンとセイラは握手を交わす。こうして2人の冒険者はまた1歩、英雄の道を進むのであった。



ギルド セリオンオース セリューディア支部。

その門前に佇む東方の武士がひとり。

「ここが、ギルドか…。」

新たな風が巻き起こすのは追い風か向かい風か。

どうでしょうか

楽しんで頂けましたか?

これからは週1〜2話更新を目安に頑張っていこうと思います。

よろしくお願いします。

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