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ある日私は、革命家という名のテロリストになった。  作者: 水鳥川倫理
最終章、終わりの始まり

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第98話、終わりの始まり

ナチス第4帝国との同盟締結から五ヶ月後。20XX年11月15日、午前4時00分。運命の『Xデー』が到来した。


東京湾岸の最高指導者邸地下。戦略指令室の空気は、張り詰めた静寂に支配されていた。唯華は、真紅の軍服の上に漆黒のロングコートを羽織り、その背中には、彼女の小柄な体には不釣り合いな対戦車ライフルが背負われていた。彼女の表情は、一分の隙もなく、完全に無感情であった。彼女の隣には、副官の佐藤美咲が、最終カウントダウンのホログラムを前に、機械的な正確さで控えていた。


「美咲。E-M02、最終確認」


「唯華様。大陸属領に設置されたE-M02『雷針』の全システムが、攻撃態勢に入りました。作戦発動まで、残り60秒」美咲の声は、澄んでいながらも、どこか冷たい金属音のように響いた。


指令室の巨大モニターには、太平洋全域が映し出されていた。そこには、アメリカ海軍の五つの空母打撃群が、警戒網を張りながら航行している。彼らは、ヨーロッパでのドイツ内戦に意識を奪われ、極東からの真の脅威を過小評価していた。


唯華は、静かに立ち上がった。その身長は160cm前後と小柄だが、その存在感は、部屋全体を圧倒していた。


「斉藤総司令官、吉岡大臣。これより、全人類の未来を決する、世界秩序再編作戦『神威の剣』を発動する。躊躇は、敗北に直結する。電撃的に、そして冷徹に、敵を殲滅せよ」


総司令官・斉藤隆一(50代、元特殊部隊教官)は、遠隔で、揺るぎない敬礼をもって応じた。「了解いたしました、唯華様!全軍、攻撃開始!」


午前4時01分。


美咲が、最終的な攻撃コードを入力した瞬間、指令室の照明が、一瞬だけ、激しい閃光を放った。


大陸属領、ゴビ砂漠の地下深く。神聖日本帝国が秘密裏に設置した、巨大なE-M02『雷針』超広域電子妨害システムが、その全出力を解放した。


天空に向かって放たれたのは、電磁パルスと量子干渉波の複合攻撃であった。それは、ただの妨害電波ではない。米軍が誇る全てのC4ISRシステム、GPS衛星、早期警戒レーダー、そして艦隊の間の戦術データリンクを、物理的な破壊を伴わずに、機能的に『蒸発』させることを目的とした、情報戦の究極兵器であった。


太平洋上。米海軍の空母『ニミッツ』級に搭載された最新鋭の戦闘機は、発進寸前で、その火器管制システムが完全にブラックアウトした。艦橋のモニターは、一斉に意味不明なノイズの嵐となり、GPS信号は消失した。艦隊は、相互の連携を完全に失い、広大な太平洋の闇の中で、それぞれが孤立した『盲目の島』と化した。




E-M02の攻撃からわずか五分後。情報省大臣・山田剛の指令室が、最初の戦果報告を上げた。


「唯華様!全米軍のC4ISRシステム、95%以上が機能停止!通信は衛星に依存しないアナログ回線のみとなりました!」


「よし」唯華は、冷たい目で頷いた。「目標二、吉岡大臣、D-W10の飽和攻撃を開始せよ」


吉岡健太郎は、興奮で震える声で命じた。「D-W10改級ミサイル、全弾発射!目標、米空母打撃群、座標(E-M02により一時的に確保した情報で計算)、一斉攻撃!」


太平洋を覆う漆黒の闇の中、日本の秘密基地、そして洋上移動要塞『フドウ』四基の内部から、数十発の『D-W10改級超極超音速ミサイル』が火を噴いた。マッハ20級の速度で低空飛行するミサイル群は、熱光学迷彩により、米軍の早期警戒網を完全に欺き、「小惑星の群れ」として誤認識され続けた。


米艦隊は、レーダーが完全に麻痺しているため、近づいてくる死の脅威を一切察知できなかった。彼らが迎撃を試みる暇も、通信で警告を発する暇もなかった。


午前4時15分。


最初のD-W10ミサイルが、空母『ロナルド・レーガン』の艦橋を貫通した。超極超音速の衝撃波と弾頭のエネルギーは、空母の構造を内部から破壊し、数分後には艦全体が轟音と共に炎上、爆沈した。


その後、続々とミサイルが着弾。たった15分間の攻撃で、太平洋を遊弋していた米海軍の主力空母打撃群五つが、その存在を歴史から抹消された。空母、巡洋艦、駆逐艦。米海軍の力の象徴は、唯華の『神威の剣』によって、太平洋の深淵へと沈められた。


吉岡は、モニターに映し出される殲滅の映像を見て、感極まった。「成功です!唯華様!我が国の技術が、世界最強の海軍を、一撃で、たった十五分で破壊しました!」


唯華は、その大戦果にも、表情一つ変えなかった。


「当然の結果だ。勝利とは、準備と技術の冷徹な積み重ねによってのみ得られる。斉藤総司令官、目標三、アラスカ制圧部隊に、進撃を命じよ」

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