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ある日私は、革命家という名のテロリストになった。  作者: 水鳥川倫理
第2章、腐敗の黄昏と冷徹なる日の出

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第85話、腐敗の黄昏と冷徹なる日の出

宣戦布告から、張り詰めた緊張の48時間が経過した。国際社会が最後の外交的調停に動く中、神聖日本帝国は待機を解いた。真夜中の闇を切り裂くように、大規模な対韓侵攻作戦、コードネーム「嵐の目」作戦が発動された。


この作戦の目標は、歴史に類を見ない大胆さを持っていた。開戦劈頭、韓国軍の指揮・統制系統(C4ISR)を完全に麻痺させ、その後、一切の反撃の機会を与えることなく、24時間以内に首都ソウルを制圧し、無条件降伏を勝ち取ること。それは、長期戦を排し、一撃でアジアの勢力図を塗り替える、冷徹で非情な戦略であった。



作戦の命運は、吉岡大臣が開発させた帝国技術の粋、E-M02情報戦システムという怪物に託された。その力は、現代戦における「目と耳」を同時に、そして永久に奪うことに特化していた。


日本海上に展開した旗艦「ヤマト」のブリッジは、深い静寂に包まれていた。斉藤総司令官の眼光は鋭く、その背筋は微塵も揺るがない。彼の声は、しかしながら、全艦隊と航空部隊に響き渡る命令として、重く、張り詰めていた。


「全航空部隊に告ぐ!コード『ハンマー』発動。E-M02、最大出力で韓国の軍事レーダー周波数帯を全て潰せ!目標、敵のC4ISR機能の完全破壊だ!F-J35は、ソウル上空の制空権を迅速に確保せよ!一瞬の迷いも許されない!」


命令と同時に、ヤマトの艦橋から天に向かって突き出た特殊な電子戦アレイが、目に見えない巨大なエネルギーの波、すなわち電子の津波を韓国本土へと放出した。


その瞬間、韓国軍の全軍事施設、地下壕、艦艇、そして前線指揮所は、突如として阿鼻叫喚の地獄へと変貌した。全ての無線通信は、甲高い耳鳴りのようなノイズと、意味をなさない電子音の絶叫に塗りつぶされた。誰もがヘッドセットを外し、その異音から逃れようとしたが、ノイズは壁を通り抜け、空間を支配した。


さらに絶望的だったのは、戦闘情報センターの光景だ。巨大なレーダー画面は、かつての整然としたアイコンの表示を止め、無数のランダムな輝点と、高速で点滅する「SYSTEM FAILURE」「COMMUNICATION LOST」の警告表示で埋め尽くされた。まるで、テレビが砂嵐を映し出すように、情報は拒絶された。


指揮官たちはパニックに陥った。彼らは最早、自軍の部隊がどこにいるのか、敵の攻撃がどこから来ているのか、何一つ正確に把握できなくなった。E-M02は、物理的な破壊ではなく、情報の鎖を断ち切り、彼らの**「目と耳」を完全に奪い去った**のである。組織的な防衛ラインの構築は、この瞬間に不可能となった。



情報戦での圧勝が確定した直後、帝国空軍のF-J35多用途戦闘機編隊が、韓国空域へと侵入した。E-M02が作り出した電子の霧は、彼らにとって完璧な隠蔽を提供し、機能不全に陥った韓国軍のレーダー網は、F-J35を**「存在しないもの」**として認識し続けた。


ノイズの合間を縫って辛うじて迎撃に上がった韓国空軍の戦闘機数機は、その運命を悟る間もなかった。彼らが敵機を視認しようと奮闘する間にも、F-J35は遠距離から次々と空対空ミサイルを発射した。


コックピットに警告音が鳴り響き、パイロットがフレアを射出するコンマ数秒の遅れが、彼らの命取りとなった。ミサイルは高速で追尾し、次々と目標に命中。爆音と共に炎を噴き上げる残骸が、夜空から地上へと落下していく。それは、一対一の決闘ではなく、一方的で機械的な排除であった。空は、完全に神聖日本帝国の支配下に置かれ、地上部隊への航空支援の道筋は完全に断たれた。



制空権が確保されたことを確認した直後、作戦は次の段階へと移行した。第2機甲師団長、青木 健太少将率いる部隊による、仁川海岸への強襲上陸作戦である。青木師団長は、自らの師団が誇るT-99主力戦車の135mm砲が持つ、圧倒的な火力を絶対的に信頼していた。


夜明け前の海霧の中、巨大な上陸用舟艇から、鋼鉄の巨躯を持つT-99と、機動性に優れたK-01装甲戦闘車が、轟音を立てて海岸線へと突進した。砂浜は一瞬にして、戦車の履帯が砂を噛む振動と、エンジンの咆哮で満たされた。


韓国軍は、通信途絶の中で、旧式のM48やK1A1戦車を慌てて展開させたが、その防御は既に遅すぎた。


「T-99、前進を止めずに!韓国軍のM48を排除しろ!WA-P弾装填!一点集中射撃!K-01、歩兵を援護し、塹壕を制圧しろ!」


青木師団長の指揮は冷静沈着でありながら、その声には最新兵器への絶対的な自信と、戦況への高揚感が滲み出ていた。


T-99の135mm砲から放たれたタングステン合金徹甲弾(WA-P弾)は、凄まじい火花と衝撃波を伴って韓国軍の戦車群に襲いかかった。WA-P弾は、分厚い装甲を紙のように貫通し、車体内部で運動エネルギーを爆発的な熱に変えて炸裂させた。目標とされた韓国戦車は、一瞬で車内を焼き尽くされ、真っ赤な炎と黒煙を上げる凄惨な残骸へと変わった。韓国軍は、通信途絶による連携の喪失と、頭上からの航空支援の不在により、組織的な防衛ラインを再構築できず、次々と戦意を喪失し、敗走した。第2機甲師団の突進は、まさに嵐のように激しく、誰もそれを止めることはできなかった。



仁川からの機甲師団の突進がソウルへの物理的な道を切り開く一方で、首都に対する決定的な一撃は、第3歩兵師団長、西村 大輔率いる空挺降下部隊が担った。特殊作戦部隊出身である西村の戦術は、精密機械のように正確かつ冷酷であった。


真夜中の夜陰に紛れ、輸送ヘリ師団から降下した1000名の特殊訓練を受けた歩兵が、E-M02の電波妨害で機能不全に陥ったソウル市内に潜入した。街は信号機が消え、警察無線も沈黙し、市民の混乱と不安が最高潮に達していた。


彼らの目標は、街の占領ではなく、心臓の掌握である。青瓦台(大統領府)と韓国軍司令部の中枢を、電撃的に制圧すること。


「我々は、嵐の目だ。敵の心臓を、一瞬で握り潰す。市民との接触は最小限に。目標は、指揮系統の断絶のみ!」


西村師団長は部隊を率いて、都市の暗部を利用し、混乱するソウル市内を静かに、しかし迅速に突破した。降下からわずか8時間で、部隊は主要な防御ラインを無力化し、大統領府を制圧。韓国の最高指導部をその場で拘束した。抵抗はあったものの、それは局所的であり、既に「目と耳」を失った指揮系統の不在により、組織的な反撃は一切生まれなかった。拘束された指導者たちは、自らの敗北が、開戦の号砲と共に既に確定していたことを悟り、絶望の色を浮かべた。



戦闘開始から20時間。


通信途絶、制空権の完全喪失、そして首都中枢である大統領府の制圧という、もはや抗うことのできない絶望的な状況に直面し、韓国政府は抗戦の継続を断念した。


日本海上の旗艦「ヤマト」のブリッジでは、情報参謀の美咲が、静かに、しかし胸中に勝利の誇りを秘めて、最後の報告を終えた。


「…唯華様。ソウルより降伏の打診です。戦闘開始から24時間以内という降伏目標を、予定よりも4時間早く達成いたしました」


唯華は、静かにモニターを見つめ、極めてかすかに口元を緩めた。その笑顔は、勝利の女神の祝福のようであり、同時に、アジアの運命を手中におさめた冷酷な女王のようでもあった。


「…よし」


彼女の一言には、緻密な計画の成功と、帝国技術の優位性が凝縮されていた。


「迅速に、武装解除と戦後処理の体制を構築せよ。韓国は、完全に我々の支配下に置く。これで、アジアの秩序再編の第一歩が完了した」


神聖日本帝国による「嵐の目」作戦は、情報優位性が現代戦の帰趨を決するという、冷酷な現実を世界に突きつけた。それは、わずか一日のうちに、国際情勢を根底から揺るがす電撃的な勝利であった。

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