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ある日私は、革命家という名のテロリストになった。  作者: 水鳥川倫理
絶望と動乱と混沌と。

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第76話、絶望と動乱と混沌と。31

五月某日、夜明け前の東京郊外。防衛線を構築した神聖日本帝国の全兵力は、静かに迫り来る米軍と西日本政府軍の総攻撃を待っていた。唯華は、再び30階建てのビルの屋上に戻り、双眼鏡で東の空を見つめていた。夜が明け始め、街を照らす朝日が、瓦礫と化した都心部のビル群を赤く染め上げる。それはまるで、これから始まる血戦を予言しているかのようだった。


「唯華様、全戦力が集結しました。いつでも反撃を開始できます」


隣に立つ美咲が、静かに報告する。その声は、唯華の心に確かな光を灯した。西日本から撤退させてきた部隊の兵士たちの顔には、疲労の色が濃く出ていた。しかし、彼らの瞳には、故郷を守るという強い決意が宿っていた。


「よし。美咲、最終指示を出す。斉藤総司令官、田中副総司令官は、東京の防衛線を死守せよ。吉田師団長、青木師団長、村田師団長は、それぞれ札幌、仙台、新潟への増援部隊を率い、米軍と西日本政府軍を迎え撃て。林師団長の仇を討て」


唯華の凛とした声が、各師団長のヘッドセットに響き渡る。その言葉は、絶望の淵に立たされていた兵士たちの心に、再び火をつけた。彼らは、力強く敬礼し、それぞれの持ち場へと向かった。


「…さあ、反撃の狼煙を上げよう。美咲」


「はい、唯華様。作戦は、順調に進みます」


美咲は、唯華の隣に立ち、力強く頷いた。二人の間には、言葉以上の絆と信頼が満ちていた。


午前6時。東京の空に、無数の戦闘機が姿を現した。それは、米軍と西日本政府軍の航空戦闘部隊だった。MiG-29やSu-34といった神聖日本帝国の戦闘機が、迎え撃つべく飛び立つ。空には、ミサイルの軌跡が交錯し、機関砲の火花が散った。


「くそっ…!ステルス戦闘機か…!」


空戦部隊長となった元自衛隊のパイロットが、無線機に叫ぶ。米軍のF-22やF-35といったステルス戦闘機は、神聖日本帝国のレーダーに映らない。神聖日本帝国のパイロットたちは、視認で敵機を捉え、撃墜していくしかなかった。しかし、ステルス戦闘機は、その圧倒的な機動力とステルス性能で、次々と神聖日本帝国の戦闘機を撃墜していく。


「我々が、東京の空を死守する!唯華様のために、戦え!」


高橋部隊長の後を継いだパイロットが叫ぶ。彼の部隊は、次々と撃墜されていくが、それでも彼らは戦い続けた。彼らは、東京の空に、神聖日本帝国の旗を掲げ続けることを誓っていたのだ。


地上では、東京郊外の防衛線で、激しい戦闘が繰り広げられていた。米軍のM1エイブラムス主力戦車と、神聖日本帝国のT-90主力戦車が、砲弾を撃ち合い、火花を散らす。


「全砲門、撃て!奴らを、一歩も通すな!」


斉藤総司令官が、T-90戦車の車長として、敵の陣地へと砲弾を撃ち込んでいく。彼の部隊は、西日本から戻ってきたばかりで、疲労困憊の状態だった。しかし、彼らは故郷を守るために、必死に戦い続けた。


米軍のM1エイブラムスは、劣化ウラン弾でT-90の装甲を貫通し、次々と神聖日本帝国の戦車を破壊していく。しかし、神聖日本帝国の兵士たちは、破壊された戦車の中から脱出し、対戦車ミサイルでM1エイブラムスを攻撃していく。


「馬鹿な…!奴らは、戦車を捨ててまで戦うつもりか…!?」


米軍の指揮官が、驚きに目を見開く。彼は、神聖日本帝国の兵士たちの士気の高さに、戦慄を覚えていた。


「我々の士気は、奴らとは違う!我々は、故郷を守るために戦っているんだ!」


斉藤総司令官が、無線機に叫ぶ。彼の言葉は、兵士たちの心に深く刻まれた。彼らは、故郷を守るという強い決意を胸に、死力を尽くして戦い続けた。


この泥沼の戦いは、一週間にも及んだ。東京郊外の防衛線は、瓦礫と化した戦車や戦闘車両、そして兵士たちの死体で埋め尽くされていく。神聖日本帝国軍の兵士たちは、疲労と物資の不足に苦しんでいた。しかし、彼らは、故郷を守るために、一歩も退くことはなかった。


唯華は、ビルの屋上から、その光景をただ見つめていた。彼女の目からは、涙が枯れることはなかった。彼女は、自分が下した非情な決断が、多くの命を奪っていく現実を、受け入れられずにいた。しかし、彼女は、諦めることはできなかった。彼女は、この戦いを勝利に導く義務があった。


「美咲…」


「はい、唯華様」


「この戦いが終わったら…私たちは、この国を…どうすればいいんだろう…?」


唯華の声は、震えていた。美咲は、唯華の肩にそっと手を置いた。


「唯華様が、この国を救うために戦ったことを…皆が、いつか理解してくれるはずです…」


美咲の言葉に、唯華は、かすかに微笑んだ。彼女は、美咲の言葉に、再び立ち上がる勇気を得た。彼女は、再び最高指導者としての顔に戻り、モニターに映し出された戦況を、鋭い眼差しで見つめた。

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