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ある日私は、革命家という名のテロリストになった。  作者: 水鳥川倫理
絶望と動乱と混沌と。

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第74話、絶望と動乱と混沌と。29

爆撃が終わり、東京の市街地は、まるで廃墟と化していた。しかし、瓦礫の中からは、米軍と西日本政府軍の兵士たちが、次々と這い上がってくる。彼らは、爆撃の被害を最小限に抑えるための地下施設に身を潜めていたのだ。


「畜生…!爆撃でも、奴らを一掃することはできないのか…!」


斉藤総司令官が、悔しそうに拳を握りしめる。


「総司令官、計画通り、歩兵部隊と戦車部隊を投入します!」


佐々木師団長の声に、斉藤総司令官は頷いた。


「よし、行け!奴らを東京郊外まで誘い込み、包囲殲滅するんだ!」


斉藤総司令官の命令で、神聖日本帝国の第1機甲師団と第1歩兵師団が、東京郊外の防衛線を突破し、市街地へと突入した。彼らは、瓦礫の中を、T-90主力戦車やBMP-3歩兵戦闘車を先頭に、猛然と進んでいく。


「見ろ!敵だ!」


米軍の兵士たちが、瓦礫の陰から姿を現した神聖日本帝国の戦車を見て、叫び声を上げる。米軍の兵士たちは、バズーカや対戦車ミサイルで、神聖日本帝国の戦車を攻撃するが、T-90の重厚な装甲には歯が立たない。


「撃て!撃ちまくれ!」


吉田悟師団長が、T-90戦車の車長として、敵の陣地へと砲弾を撃ち込んでいく。砲弾が敵の陣地を直撃し、爆発音と、敵兵の悲鳴が響き渡る。


「前進!前進だ!」


第1歩兵師団長・加藤勇作が、部下たちに叫び声を上げる。彼の部隊は、瓦礫の陰から、米軍や西日本政府軍の兵士たちに銃撃を浴びせていく。激しい銃撃戦が、東京の廃墟で繰り広げられた。


「くそっ…!敵は、こんなにも戦力を温存していたのか…!」


西日本政府軍の指揮官が、悔しそうに叫んだ。彼は、神聖日本帝国の快進撃は、彼らの戦力の大半を西日本へと集中させているからだと考えていた。しかし、東京に残されていた戦力は、彼の予想を遥かに超えるものだった。


「総司令官、敵の空挺部隊が、東京の上空に…!」


佐々木師団長の報告に、斉藤総司令官は、再び絶望に満ちた表情を浮かべた。東京の空には、米軍の輸送機から、無数の空挺部隊が降下してくる。彼らは、神聖日本帝国の戦車部隊と歩兵部隊の背後へと回り込み、包囲殲滅しようとしていた。


「全戦闘機師団に告ぐ!敵の空挺部隊を阻止せよ!一部の戦闘機部隊は、敵の輸送機を撃墜しろ!」


斉藤総司令官の命令で、神聖日本帝国の戦闘機が、東京の空へと飛び立った。MiG-29やSu-34といった最新鋭の戦闘機が、米軍の戦闘機と空中戦を開始した。空には、ミサイルが飛び交い、機関砲の火花が散る。しかし、米軍のF-22やF-35といったステルス戦闘機には、神聖日本帝国の戦闘機は歯が立たない。


「くそっ…!ステルス戦闘機か…!」


航空戦闘部隊長・高橋隼人が、悔しそうに叫んだ。彼の操縦するMiG-29戦闘機は、米軍のステルス戦闘機に捕捉され、次々と撃墜されていく。


「高橋部隊長、ダメだ!退却しろ!」


斉藤総司令官の叫び声が、高橋部隊長のヘッドセットに響き渡るが、彼の声は届かなかった。高橋部隊長は、最後の力を振り絞り、米軍の戦闘機へと突っ込んでいった。彼の機体は、米軍の戦闘機と激突し、東京の空に巨大な火柱を上げた。


同じ頃、札幌、仙台、新潟といった神聖日本帝国の重要拠点でも、米軍と西日本政府軍の攻撃が始まっていた。


札幌では、津軽海峡から侵入した米軍の艦隊が、艦砲射撃を開始。札幌の街は、轟音と爆発音に包まれ、市民たちはパニックに陥った。そこに、米軍の揚陸艦から上陸した米海兵隊と、西日本政府軍の部隊が、市街地へと侵入。北海道に配備されていた神聖日本帝国の部隊は、米軍の圧倒的な火力と兵力に、次々と陣地を奪われていった。


仙台でも、太平洋側から侵入した米軍の艦隊が、艦砲射撃を開始。そして、空挺部隊が、仙台の上空から降下してくる。仙台は、神聖日本帝国の主要な軍事拠点の一つであり、米軍の攻撃は特に激しいものだった。しかし、仙台に配備されていた神聖日本帝国の部隊は、西日本への進軍のために、その大半が移動していた。残された部隊は、米軍の攻撃に、全く対応できなかった。


新潟でも、日本海側から侵入した米軍の艦隊が、艦砲射撃を開始。新潟もまた、神聖日本帝国の主要な軍事拠点であり、米軍の攻撃は激しいものだった。しかし、ここでも、西日本への進軍のために、多くの部隊が移動していた。米軍と西日本政府軍の上陸部隊は、ほとんど抵抗を受けることなく、新潟の市街地へと侵入していった。


そして、西日本でも、事態は悪化の一途を辿っていた。名古屋、広島、博多といった主要都市は、米軍と西日本政府軍の増援部隊によって、完全に包囲されてしまった。神聖日本帝国が誇る機甲師団は、米軍の戦車や戦闘機に、次々と撃破されていく。


「総司令官!米軍のM1エイブラムスが、T-90の装甲を貫きました!」


「馬鹿な…!T-90の装甲は、M1エイブラムスの主砲にも耐えられるはずでは…!?」


斉藤総司令官の叫び声が、無線機を通じて東京郊外の作戦会議室に響き渡る。


「どういうことだ…吉岡大臣…!?」


唯華は、隣にいた技術省大臣・吉岡健太郎に、震える声で尋ねた。吉岡大臣は、顔を真っ青にして、答えた。


「唯華様…米軍は、M1エイブラムスの主砲に、劣化ウラン弾を使用しているようです…!我々の戦車は、劣化ウラン弾には耐えられません…!」


吉岡大臣の言葉に、唯華は再び絶望の淵に立たされた。劣化ウラン弾…放射能汚染を引き起こす、非人道的な兵器。米軍は、勝利のためなら、どんな手段も厭わないということなのか。


「唯華様、全方面から敗走の報告が…!このままでは、全滅します…!」


山田大臣が、震える声で報告する。唯華は、目を閉じ、深く息を吐いた。彼女の脳裏には、日本全土が炎に包まれていく映像が浮かんでいた。彼女は、この戦いを始める前、必ず勝つと信じていた。しかし、米軍の介入は、彼女の全ての計画を狂わせた。


「…美咲。各部隊に、全戦力で反撃を続け、時間を稼ぐよう伝えろ。そして、西日本にいる部隊の半分を、東日本へと引き抜く」


唯華の言葉に、美咲は驚いて唯華の顔を見つめた。


「唯華様…!しかし、それでは、西日本を制圧することはできません…!」


「仕方ない…!このままでは、東日本も西日本も、全て失うことになる!西日本にいる部隊を、東日本へと戻し、米軍と西日本政府軍を迎え撃つんだ!」


唯華の決断に、幹部たちは皆、驚きを隠せなかった。彼女は、西日本を制圧するという、半年間の努力を、たった今、自らの手で捨てることを決めたのだ。


「全幹部に告ぐ。作戦を、一時中断する。これより、我々は、東日本を死守するための防衛戦へと移行する」


唯華の凛とした声が、作戦会議室に響き渡る。その声には、絶望と、そして、それを乗り越えようとする、強い意志が宿っていた。

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