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ある日私は、革命家という名のテロリストになった。  作者: 水鳥川倫理
絶望と動乱と混沌と。

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第66話、絶望と動乱と混沌と。21

11月も終わりに近づいた頃、唯華は一つの大きな決断を下した。それは、私立紫電高校を休学するというものだった。


ある日の放課後、いつものように唯華の周りに集まっていた美咲、花音、里奈に、唯華は静かに告げた。


「みんなに、大事な話があるの」


唯華の真剣な表情に、三人の顔から笑顔が消えた。美咲は、唯華の副官として、この日が来ることを予感していた。


「私、今月いっぱいで学校を休学することにしたの」


唯華の言葉に、花音と里奈は驚いて目を見開いた。


「え、唯華、どうして!?何かあったの!?」と、花音が心配そうに尋ねた。


里奈も、不安げな表情で唯華を見つめた。

「体調が悪いの?無理してたの?最近、少し顔色が悪い気がしてたんだけど……」


唯華は、優しく微笑み、首を振った。

「心配しないで。少し、重たい病気にかかってしまってね。治療に専念するために、しばらく学校を休むことにしたの」


それは、最高指導者としての活動に専念するための、偽りの理由だった。しかし、友人たちには、唯華が無理をしているように見えた。美咲は、唯華の言葉の裏にある真意を理解していたが、何も言わず、ただ唯華の手をそっと握りしめた。


「そんな……唯華、大丈夫なの!?私たち、何かできることある!?」と、美咲が唯華の手を握りしめた。彼女の瞳には、すでに涙が浮かんでいた。


唯華は、美咲の手をそっと握り返し、力強く頷いた。

「ありがとう、美咲。みんなの気持ちは嬉しい。でも、これは私にしかできないことだから。しばらくは会えなくなるけれど、必ずまた、みんなと一緒に学校に戻ってくるから」


その言葉は、友人たちへの約束であり、そして唯華自身の決意でもあった。彼女は、最高指導者として、この国の未来を切り拓くために、全ての時間を捧げることを決意したのだ。


休学の手続きは、美咲が総務省と連携し、滞りなく進められた。学校側には、唯華が重病を患い、長期療養が必要であると伝えられた。唯華の休学は、生徒たちの間でも大きな話題となったが、最高指導者としての彼女の多忙さを知る者も多く、やむを得ないことだと受け止められた。


休学後、唯華は一切学校に姿を見せることはなくなった。彼女の日常は、最高指導者邸の執務室と、地下深くにある作戦会議室の往復となった。クアトロモニターが設置された唯華の部屋は、神聖日本帝国の心臓部となり、彼女はそこから全組織を指揮した。高度な暗号化が施された専用回線を通じて、各省庁の大臣や総司令部の幹部たちに直接指示が伝えられ、唯華の意図は淀みなく組織全体に浸透していった。彼女の睡眠時間は極端に短く、美咲は常に唯華の体調を心配していたが、唯華は決して弱音を吐かなかった。その顔には、疲労の色が隠しきれないこともあったが、彼女の瞳は常に未来を見据えていた。



唯華が最高指導者としての活動に専念するようになってから、神聖日本帝国の軍事力増強は、かつてないほどの速度で加速していった。来るべき「暁の雷鳴」作戦に向けて、兵站省大臣・渡辺拓也の指揮の下、兵器の輸入と国内生産が猛烈な勢いで進められていた。目標は、翌年5月の作戦決行までに、戦車3万両、戦闘車両5万両、ヘリ2万機、戦闘機5万機、爆撃機1万機、銃火器100万丁、上陸艇1000隻、駆逐艦、軍艦、空母などの艦船を合計300隻揃えることだった。



神聖日本帝国の領海、特に太平洋側の横浜港や日本海側の新潟港の奥深く、一般の立ち入りが厳しく制限された埠頭では、夜な夜な巨大な輸送船団が次々と姿を現した。それは、唯華の「海外の同志たち」からの支援物資を積んだ船団だった。夜の闇に紛れて入港する輸送船は、厳重な警備の下、秘密裏に荷揚げ作業が行われた。埠頭には、兵站省の精鋭部隊が配置され、一切の不審な動きを許さなかった。


「急げ!夜明けまでには全ての荷揚げを完了させるんだ!一秒たりとも無駄にするな!」


兵站省大臣・渡辺拓也の声が、拡声器で埠頭に響き渡る。彼の顔には、疲労と緊張が入り混じっていたが、その瞳には強い決意が宿っていた。作業員たちは、汗だくになりながらも、黙々と作業を続けていた。彼らの顔には、祖国再建への使命感が宿っていた。巨大なクレーンが唸り声を上げ、次々とコンテナが陸揚げされていく。


コンテナの中には、分解された戦車、戦闘車両、攻撃ヘリコプター、戦闘機、そして膨大な量の銃火器がぎっしりと詰め込まれていた。運び出されたT-72主力戦車の車体は、その圧倒的な存在感を放っていた。ロシア製の堅牢な装甲と強力な主砲は、西日本政府軍の最新鋭戦車にも引けを取らない。BMP-2歩兵戦闘車も、その無骨な姿を現し、兵士たちの士気を高めた。


「唯華様のご期待に応えるためにも、一刻も早くこれらの兵器を前線に送らねばならない」


渡辺大臣は、埠頭に立ち、荷揚げ作業を監督しながら呟いた。彼の隣には、技術省大臣・吉岡健太郎が、輸入された兵器の品質をチェックしていた。


「このMi-24攻撃ヘリ、状態は良好ですな。すぐにでも実戦投入できます。輸入された機体は、どれも最高の状態を保っています」


吉岡大臣が、ヘリコプターのローターを撫でながら言った。Mi-24は、その獰猛な外観から「空飛ぶ戦車」とも呼ばれる攻撃ヘリコプターだ。


輸入された兵器は、直ちに神聖日本帝国の各軍事基地へと輸送された。特に、長野県や山梨県の山間部に隠された巨大な地下格納庫には、運び込まれた兵器が整然と並べられていく。これらの格納庫は、旧日本軍が使用していたものを改修したもので、核攻撃にも耐えうる堅牢な構造を持っていた。技術省の整備士たちが、昼夜を問わず整備作業を行い、いつでも出撃できるよう準備を進めた。彼らは、輸入された兵器を分解し、徹底的な点検と調整を行った後、再び組み立てていった。


銃火器の輸入も、同様に大規模に行われた。AK-47アサルトライフル、RPK軽機関銃、SVD狙撃銃、さらには対物ライフルやグレネードランチャーなど、信頼性と汎用性に優れた銃器が、文字通り山のように運び込まれた。これらの銃器は、徴兵された新兵たちの手に渡り、彼らの訓練を支える重要な役割を担うことになった。弾薬もまた、膨大な量が輸入され、各地の弾薬庫に保管された。

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