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ある日私は、革命家という名のテロリストになった。  作者: 水鳥川倫理
絶望と動乱と混沌と。

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第58話、絶望と動乱と混沌と。13

第2の審判:贅沢、職務怠慢の罪

次に呼び出されたのは、全く仕事をせずにいねむり、そして国民の血税で贅沢をしたとされる者たちだった。彼らは、旧内閣の閣僚や、長年にわたり議員の座に安住してきた者たちだった。


「被告人、旧文部科学大臣、中村悟。旧農林水産大臣、伊藤隆。旧防衛副大臣、加藤慎吾。旧内閣府特命担当大臣(科学技術政策)、吉田恵子。前に出ろ。」


唯華の声が響き渡る。名指しされた者たちは、顔を歪ませながら前に進み出た。彼らの顔には、恐怖と羞恥心が入り混じっていた。


情報省大臣の山田剛が、証拠を提示した。


「旧文部科学大臣、中村悟は、国会審議中に常習的に居眠りをし、国民の教育問題に対し全く関心を示さなかった。彼の国会での居眠り時間は、年間で数百時間に及ぶことが確認されている。また、海外視察と称して、豪華なクルーズ旅行や高級リゾートでの滞在を繰り返し、その費用は全て国民の血税から賄われていた。彼のSNSには、豪華な食事や観光地の写真が多数投稿されており、国民の怒りを買っていた。証拠として、国会での居眠り映像、豪華な海外旅行の領収書、そして私的な飲食費を公費で処理した証拠を提示する。」


山田は、国会での居眠り映像、豪華な海外旅行の領収書、そして私的な飲食費を公費で処理した証拠を提示した。モニターには、中村が口を開けて居眠りしている姿や、高級ワインを片手に微笑む姿が映し出され、傍聴席からは失笑が漏れた。


「旧農林水産大臣、伊藤隆は、自身の地元選挙区での票集めのために、不必要な公共事業を推進し、その見返りとして特定の業者から賄賂を受け取っていた。特に、〇〇ダム建設事業は、地元住民の反対を押し切って強行され、その費用は数千億円に上ったが、実際にはほとんど利用されていない。また、食料自給率の向上を掲げながら、具体的な政策を何一つ実行せず、農業従事者を苦しめた。証拠として、不正な公共事業の契約書、賄賂の送金記録、そして農家からの陳情を無視した記録を提示する。」


山田は、不正な公共事業の契約書、賄賂の送金記録、そして農家からの陳情を無視した記録を提示した。伊藤隆は、顔を真っ赤にして俯いた。


「旧防衛副大臣、加藤慎吾は、防衛費増額を主張しながら、その裏で高額なゴルフ会員権を購入し、毎週末のように公用車でゴルフ場に通っていた。彼の年間ゴルフ費用は、国民の平均年収を遥かに上回ることが判明している。また、自身の親族が経営する企業に、防衛関連事業を不当に発注し、巨額の利益を供与していた。証拠として、ゴルフ場の利用明細、公用車の使用記録、そして親族企業との不正な取引を示す文書を提示する。」


山田は、ゴルフ場の利用明細、公用車の使用記録、そして親族企業との不正な取引を示す文書を提示した。加藤慎吾は、その場で膝から崩れ落ちた。


「旧内閣府特命担当大臣(科学技術政策)、吉田恵子は、日本の科学技術の発展を謳いながら、その実態は海外の学会への出席を名目とした観光旅行ばかりで、具体的な成果を何一つ上げていない。彼女の海外出張のほとんどが、観光地での写真撮影に費やされていたことが確認されている。また、自身の研究室に架空の請求を行い、研究費を私的に流用していた。証拠として、海外学会の参加記録と観光地の写真、そして架空請求の証拠を提示する。」


山田は、海外学会の参加記録と観光地の写真、そして架空請求の証拠を提示した。吉田恵子は、顔を歪ませ、悔しそうに唇を噛み締めた。


唯華は、冷たい声で尋ねた。「何か反論はありますか?これらの証拠は、全て動かぬ事実だ。」


名指しされた者たちは、顔を真っ青にして言葉を失った。彼らの弁護人席に座っていた者たちも、何も発言することができなかった。彼らは、もはや言い訳のしようがなかった。


「反論なしと見なす。神聖日本帝国の法に基づき、有罪と断ずる。刑は、終身刑。」


唯華の言葉に、兵士たちが即座に動き出した。名指しされた者たちは、絶望の表情を浮かべ、兵士たちに連行されていった。彼らは、神聖日本帝国の地下牢に送られ、残りの人生をそこで過ごすことになるだろう。彼らの姿は、二度と日の目を見ることはない。


第3の審判:官僚の無能と怠慢の罪

最後に呼び出されたのは、旧体制の官僚たちだった。彼らは、日本の行政を支えてきたはずの者たちだったが、唯華は彼らにも厳しい審判を下すことを決めていた。


「被告人、旧総務省事務次官、橋本直樹。旧外務省事務次官、藤井拓也。旧財務省事務次官、松本浩司。旧文部科学省事務次官、木村聡。旧厚生労働省事務次官、井上良太。旧警察庁長官、斎藤悟。その他、各省庁の局長級以上の官僚、全員前に出ろ。」


唯華の声が響き渡る。名指しされた官僚たちは、顔を引きつらせながら前に進み出た。彼らは、自分たちがまさかこのような形で裁かれるとは想像もしていなかっただろう。彼らの顔には、これまで経験したことのない恐怖が浮かんでいた。


唯華は、彼らに冷徹な眼差しを向けた。その瞳は、彼らの魂の奥底まで見透かすかのようだった。


「お前たち官僚は、国民の血税で生計を立てながら、この国の未来のために何をしてきた?お前たちは、国民の奉仕者であるはずだ。しかし、その実態は、保身と前例主義に囚われ、真に国民のためになることを何一つしてこなかった。この一週間、国のためになることを10個答えられなかった者は、禁固刑に処す。今から一人ずつ、答えてもらおう。具体的な施策と成果、そしてそれが国民にどのような恩恵をもたらしたのか、明確に述べよ。抽象的な言葉は一切不要だ。」


議場は静まり返った。官僚たちは、互いに顔を見合わせ、動揺を隠せない。彼らは、これまでルーティンワークをこなすだけで、真に国のためになることを深く考えたことなどなかったのだ。彼らの脳裏には、日々の惰性的な業務しか浮かばなかった。


旧総務省事務次官の橋本直樹が、震える声で答えた。「ええと……行政改革の推進……地方創生……デジタル化の推進……」


「具体的な施策と成果を述べよ。抽象的な言葉は不要だ。例えば、行政改革によって、どれだけの無駄が削減され、国民の負担が軽減されたのか。地方創生によって、具体的にどの地域の人口が増加し、経済が活性化したのか。デジタル化によって、国民の生活がどのように便利になったのか、具体的な事例を挙げよ。」


唯華が冷たく遮った。橋本は、言葉に詰まった。彼の額からは、大量の汗が流れ落ちていた。


旧外務省事務次官の藤井拓也が、しどろもどろに答える。「国際協調の推進……日本のプレゼンス向上……自由で開かれたインド太平洋……」


「具体的に、どのような協調を行い、どのようなプレゼンスが向上したのか。国民に分かりやすく説明せよ。例えば、国際協調によって、日本の国際的な地位がどのように向上し、それが国民の生活にどのような影響を与えたのか。自由で開かれたインド太平洋戦略によって、具体的にどのような成果が得られたのか。」


唯華の問いに、藤井は額から脂汗を流し始めた。彼の言葉は、空虚なスローガンばかりで、具体的な内容が伴っていなかった。


旧財務省事務次官の松本浩司は、必死に言葉を絞り出した。「財政健全化……歳出削減……国債の安定発行……」


「その結果、国民の生活は豊かになったか?具体的な数字と、その恩恵を受けた国民の事例を挙げよ。財政健全化によって、国民の税負担は軽減されたのか。歳出削減によって、無駄な公共事業は根絶されたのか。国債の安定発行によって、国民の将来不安は解消されたのか。」


唯華の厳しい追及に、官僚たちは次々と沈黙していった。彼らは、これまで形式的な報告書を作成し、数字を操作することに長けていたが、真に国民のためになる具体的な行動を問われると、何も答えられなかったのだ。彼らの顔には、絶望の色が濃くなっていった。


中には、必死に何かを答えようとする者もいたが、その言葉は空虚で、唯華の求めるレベルには到底達していなかった。一週間という猶予を与えられたにもかかわらず、彼らは何も生み出していなかった。彼らの無能と怠慢は、国民の血税を無駄にし、この国の未来を停滞させてきたのだ。


「抵抗する者、逃げ出す者は、問答無用で銃殺刑に処す。これは、神聖日本帝国の鉄の規律だ。」


唯華の言葉が、再び議場に響き渡った。ある官僚が、恐怖に駆られて逃げ出そうとした瞬間、背後から兵士の銃弾が放たれ、その場に倒れ込んだ。その光景に、他の官僚たちは凍り付いた。彼らは、もはや逃げ場がないことを悟った。


結局、ほとんどの官僚が、唯華の問いに10個の具体的な答えを出すことができなかった。彼らの無能と怠慢は、誰の目にも明らかだった。


「反論なしと見なす。神聖日本帝国の法に基づき、有罪と断ずる。刑は、禁固刑。」


唯華の言葉に、兵士たちが動き出し、無能と怠慢の罪を問われた官僚たちは、次々と連行されていった。彼らは、神聖日本帝国の労働施設に送られ、そこで強制労働に従事することになるだろう。彼らの姿は、二度と日の目を見ることはない。



大裁判は、数日間にわたって行われ、その模様はYouTubeで全世界にライブ配信され続けた。旧体制の悪事が次々と暴かれ、その度に世界は衝撃を受けた。唯華は、腹部の痛みに耐えながらも、全ての審判に立ち会い、冷徹なまでに正義を執行した。その姿は、国民にとっては救世主であり、旧体制にとっては悪魔そのものだった。彼女の漆黒の軍服は、血と汗と埃で汚れ、その顔色はまだ青ざめていたが、その瞳には、揺るぎない信念と、未来への確固たる決意が宿っていた。


裁判が終わると、唯華は再びマイクを握った。その声は、かすれながらも、議場全体に響き渡った。


「帝国臣民よ。我々は、旧体制の腐敗を『浄化』し、新たな日本の礎を築いた。これから、神聖日本帝国は、国民一人ひとりが真の自由と尊厳を享受できる、理想の国家を創造する。我々の『8の盟約』に基づき、軍は国民を守り、国民を脅かす存在を排除する。そして、『12の盟約』に基づき、政治は国民のために行われる。我々は、国民の声を真摯に聞き、国民の幸福のために尽力することを誓う。」


唯華の言葉は、力強く、そして希望に満ちていた。彼女の背後には、日章旗を継承した神聖日本帝国の国旗が、誇らしげに翻っていた。その旗は、新たな日本の象徴として、国民の心に深く刻まれた。


「新たな日本の夜明けは、今、ここに始まった。全ての帝国臣民よ、我々とともに、この新たな歴史を築き上げよう!我々の使命は、この国を『浄化』し、真の平和と繁栄をもたらすことにある。我々は、そのために一切の犠牲を厭わない。国民の皆様の理解と協力を求める!神聖日本帝国に、栄光あれ!」


唯華は、そう宣言し、静かにマイクを置いた。議場は、静寂に包まれ、やがて、新日本解放戦線の兵士たちから、そしてライブ配信を見守っていた一部の国民から、静かな拍手が沸き起こった。その拍手は、次第に大きくなり、やがて歓声へと変わっていった。それは、新たな時代の到来を告げる、小さな、しかし確かな音だった。


神聖日本帝国は、東日本を統治する新たな国家として、その第一歩を踏み出した。西日本を統治する日本国政府との間には、国境線が引かれ、それぞれの領土と軍事配置が明確に定められた。国際社会は、日本の分断という前例のない事態に戸惑いながらも、新たな秩序を受け入れざるを得なかった。貿易ルートは再編され、外交関係は複雑化し、世界の政治地図は大きく塗り替えられた。


唯華は、神聖日本帝国の最高指導者として、新たな国の建設に着手した。彼女の腹部の傷は、まだ完全に癒えてはいなかったが、その心は、未来への確固たる決意に満ちていた。彼女は、自らが神となるために、そしてこの国を「浄化」するために、全てを捧げる覚悟を決めていた。


鈴鹿裕樹は、唯華の宣言をテレビで見ていた。彼の目の前で、かつての友人が、冷徹な指導者として世界に君臨する姿は、あまりにも衝撃的だった。彼の日常は、もう二度と元には戻らない。彼が見たものは、ただの妄想ではなかった。それは、この国の未来を揺るがす、恐るべき真実だったのだ。彼の心の中に芽生えた、唯華への漠然とした恐れは、今、確かな現実として彼の前に立ちはだかっていた。しかし、その唯華の瞳の奥に、微かに宿る温かい光を、彼はまだ知る由もなかった。その光が、この新たな帝国に、どのような影響を与えるのか、そしてこの国に何をもたらすのか、誰も知る由もない。物語は、まだ始まったばかりだ。

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