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ある日私は、革命家という名のテロリストになった。  作者: 水鳥川倫理
神月唯華の高校生活!(日常編)

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第45話、神月唯華の高校生活!11

木曜日も、唯華の日常は変わらず、知的な輝きと友人たちとの温かい交流に満ちていた。


朝早く登校した唯華は、静かな教室で参考書を開き、地理の歴史的背景と現代社会の繋がりについて深く考察していた。彼女のノートには、世界各国の地政学的状況が詳細に分析され、未来の予測までが記されている。一見すると高校生のノートには見えない、まるで専門書のような内容だった。


午前の授業は、歴史の発表会があった。唯華のグループは、日本の近代化における産業革命の影響について発表した。唯華は、膨大な資料から重要な情報を抽出し、それを分かりやすくまとめ上げた。彼女の説明は、単なる事実の羅列ではなく、当時の人々の生活や社会情勢を背景に、産業革命がもたらした光と影を多角的に分析する内容だった。


「産業革命は、確かに日本の国力を高め、近代国家としての基盤を築きました。しかし、一方で、都市への人口集中による劣悪な労働環境や、環境破壊といった問題も引き起こしました。私たちは、過去の教訓から学び、持続可能な社会を築くために、どのような選択をするべきなのか、深く考える必要があるのではないでしょうか」


唯華の発表は、クラスメイトたちに深い感銘を与えた。その論理的な構成と、鋭い視点に、教師も感心しきりだった。


昼休み、唯華は学食で友人たちとランチを楽しんでいた。話題は、先日始まったばかりの新しい恋愛ドラマのことだった。


「ねぇねぇ、あのドラマのヒロイン、結局どっちを選ぶんだと思う?私は絶対、クールな転校生男子派なんだけど!」美咲が熱く語る。


「えー!私は絶対、優しい幼馴染派だよ!あんなにずっとヒロインのこと支えてきたんだよ?報われてほしい!」花音が反論する。


「うーん、私はどっちも捨てがたいかな。でも、最終的にはヒロインが自分の気持ちに正直になるのが一番いいと思うな」里奈が冷静に分析する。


唯華は、彼女たちの議論に耳を傾けながら、微笑んでいた。恋愛という感情の複雑さ、そして人の心の揺れ動きについて、友人たちとの会話から学ぶことがたくさんあった。


放課後、唯華はカフェで美咲たちと中間テストの勉強会をすることになっていた。数学の二次関数、英語の不定詞・動名詞、古典の『桐壺』巻と『矛盾』。唯華は、それぞれの苦手分野に合わせて、丁寧に解説していく。


「この二次関数の問題は、頂点の座標を意識することで、グラフの形がイメージしやすくなるよ。まずは、式を平方完成してみて」


「不定詞と動名詞は、動詞の持つ意味合いによって使い分けが変わるんだ。例えば、『to study』はこれから勉強するという未来志向の意味合いが強いけど、『studying』は既に勉強しているという継続的な意味合いになる」


唯華の説明は、常に分かりやすく、例え話も交えながら、生徒たちが自力で問題を解けるように導くものだった。彼女の指導は、一方的に知識を詰め込むのではなく、生徒たちが自ら考える力を養うことに重点を置いていた。


「唯華ちゃん、本当に分かりやすい!学校の先生より全然!」美咲が感動したように言った。


「唯華のおかげで、古典が少しだけ面白く感じるようになったよ」花音も、難解な古典に光が差したように目を輝かせた。


「唯華のノート、本当に参考になる!これ見たら、絶対点数上がるわ!」里奈は、唯華のノートを熱心に書き写していた。


友人たちが理解を深めていく姿を見るのは、唯華にとって大きな喜びだった。誰かの成長を助けること、それが彼女の心に温かい光を灯した。



金曜日は、週末を目前に控え、唯華の心にも微かな高揚感が漂っていた。


朝、唯華はいつも通り一番早く学校に到着し、教室で英語の長文読解に取り組んでいた。彼女は、単語の意味を追うだけでなく、文章全体の構成や、筆者の意図を深く読み解いていく。その分析力は、まるで外交官が他国の文書を解析するかのようだった。


午前の化学の授業では、複雑な化学反応式が提示された。唯華は、その反応のメカニズムを、原子レベルで瞬時に理解し、完璧な答えを導き出した。


「この反応は、酸化還元反応の一種です。電子の授受が鍵となります。硫化水素が還元剤として働き、二酸化硫黄が酸化剤として働くことで、硫黄が生成されます」


彼女の説明は、教科書に書かれていること以上の、深い理解に基づいていた。教師も、唯華の回答に満足そうに頷いた。


昼休み、唯華は学食で友人たちとランチをしながら、ドラマ『恋は気まぐれカメレオン』の今後の展開について話していた。


「ねぇ、今週の放送で、あの転校生男子がヒロインに手作りのお弁当渡してたじゃん!あれ、やばすぎない?!」美咲が興奮気味に言った。


「分かる!私もあそこで叫びそうになったもん!もう、あの二人は結ばれる運命だよね?!」花音も同意する。


「でもさ、幼馴染もずっとヒロインのそばにいて、心の支えになってたんだよ。ヒロインが悩んでる時も、そっと寄り添ってくれてたし…」里奈は、複雑な表情で言った。


唯華は、彼女たちの議論に耳を傾けながら、それぞれのキャラクターの魅力や、人間関係の複雑さを改めて感じていた。彼女のこれまでの人生では、感情や人間関係は常に合理性とはかけ離れたものとして捉えられてきたが、友人たちとの交流を通して、その価値を理解し始めていた。


放課後、唯華はカフェで友人たちと中間テスト対策の勉強会を続けた。特に苦手な古典の『矛盾』の漢文に時間を割く。唯華は、文字の読み方だけでなく、故事が生まれた背景や、当時の思想、そして現代社会におけるその故事の教訓を丁寧に解説した。


「この『矛盾』という話は、単に言葉の矛盾を指摘するだけでなく、物事の本質を見極めることの重要性を示唆しています。表面的な言葉に惑わされず、その裏に隠された真実を見抜く力が、現代社会においても求められているのではないでしょうか」


唯華の説明は、単なる知識の伝授に留まらず、生徒たちの思考を深めるものであった。美咲たちは、唯華の深い洞察力に感銘を受けながら、熱心にノートを取っていた。勉強会の途中、唯華は時折、髪の毛の毛先の青いグラデーション部分を指でくるくると巻き、無意識のうちに可愛らしい仕草を見せていた。それは、彼女の知的な一面と、秘めたる可愛らしさが同居している証拠だった。


勉強会が終わると、美咲が目を輝かせながら言った。「ねぇ、唯華!明日のミリタリー映画、めっちゃ楽しみだね!どんな展開になるんだろう!」


「うん、そうだね。楽しみだ」唯華は、静かに頷いた。彼女の言葉には、友人たちと過ごす週末への純粋な期待が込められていた。



約束の土曜日。唯華は、いつもより少しだけクールな雰囲気を漂わせる服装を選んだ。柔らかなコットン素材の黒いオーバーサイズパーカーが、彼女の華奢な体を包み込む。その下には、繊細な黒いレースが施されたキャミソールが覗き、胸元を飾る。レースの透け感が、彼女の肌を上品に演出し、普段の完璧な優等生とは異なる、少し大人びた魅力を引き出していた。ボトムスは、ゆったりとしたシルエットの黒いショートパンツで、ウエスト部分には白っぽい紐がアクセントになっている。足元は、ごつめの厚底スニーカーを選び、全体のバランスにストリート感を加えていた。首元には、細いチョーカーがぴったりと寄り添い、彼女のどこか儚げな雰囲気を際立たせていた。毛先の青いグラデーションのショートボブは、彼女のクールな装いを一層引き立てる。


待ち合わせ場所に到着すると、美咲、花音、里奈がすでに到着していて、唯華の姿を見つけると、満面の笑顔で手を振ってくれた。


「唯華ー!こっちこっち!」美咲が遠くから手を振って唯華を呼んだ。彼女の笑顔は、今日の晴天のように眩しい。


「唯華ちゃん、今日の服も可愛い!なんか、唯華ちゃんらしい!」美咲が唯華の服装を褒める。彼女の純粋な言葉に、唯華は少し照れたように微笑んだ。「ありがとう。みんなも可愛いよ」唯華の言葉に、美咲たちはさらに笑顔を深める。


4人は連れだって、映画館へと向かった。話題のミリタリー映画は、迫力ある映像と、手に汗握る展開に、唯華も思わず引き込まれた。緻密な戦略、最新鋭の兵器、そして極限状態での人間の心理が描かれており、唯華の知的好奇心も刺激された。彼女の脳裏には、新日本解放戦線の作戦計画が、映画のシーンと重なっては消える。しかし、友人たちの隣にいる今は、「神月唯華」として純粋に映画を楽しんでいた。


映画が終わると、4人はいつものカフェとは違う、少し落ち着いた雰囲気のカフェへと向かった。店内は、控えめなBGMが流れ、会話を邪魔しない心地よさがある。


「いやー、あの映画、本当にすごかったね!特にあの戦闘シーン、迫力満点だった!」美咲が興奮冷めやらぬ様子で言った。


「うんうん!あの精密な作戦計画とか、本当にすごかった!唯華、ああいうの好きそう!」花音が唯華に視線を向ける。


「うん、面白かったよ。特に、あの敵の指揮官の心理分析とか、作戦の読み合いが面白かった」唯華は、映画の専門的な部分にも触れながら感想を述べた。


「唯華、やっぱり頭良いね!私、ああいうの難しくてあんまり分かんないんだけど、あの主人公の男の人がかっこよかったから全部許す!」美咲が笑いながら言った。


その後も、学校の話、メイクや服の流行、最近流行っている曲の話、面白い配信者の椎崎のことやVTuberの神志名鈴香、神楽坂遥、雲雀川美桜のこと、そしてゲームやアニメ、ドラマの話で盛り上がった。


「椎崎ってさ、本当にあのゲーム、攻略完璧だよね!どんな難易度でもサクサク進んでいくから見てて気持ちいいんだよね」美咲がスマホをいじりながら言った。


「そうそう!あと、トークも面白いし、時々見せる素顔がめちゃくちゃ可愛いの!」花音も同意する。


「神志名鈴香ちゃんの歌ってみた動画、もう何回聞いたか分からないくらい!あの透明感のある声、本当に癒されるんだよね。あと、たまに見せるドジっ子なところも可愛い!」里奈は、興奮気味に語る。


「神楽坂遥は、お嬢様口調なのに、ゲームで負けると『わたくし、お怒りですわ!』ってちょっと乱暴な言葉遣いになるのがギャップ萌えなんだよね!そのあとのASMRも、耳元で囁かれると本当にトロけそうになる…」美咲が目を閉じながら言った。


「雲雀川美桜は、美人なのにゲーム中は『うわー!もうやだ!なんでこんなところに敵がいるのよー!』とか叫んで、すごいポンコツなところが最高!そのギャップがたまらないんだよね!」花音が笑いながら言った。


唯華は、友人たちの熱のこもった話を聞きながら、知らなかった世界に触れる喜びを感じていた。彼女の「完璧な計画」にはなかった、こうした「無駄」とも思える時間が、彼女の心を豊かにしていく。


カフェを出た後、4人はカラオケボックスへと向かった。唯華も、最初は少し戸惑いを見せていたが、友人たちの歌声に誘われるように、マイクを握った。彼女が選んだのは、流行りのロックナンバー。クールな見た目からは想像できないパワフルな歌声に、美咲たちは驚きの声を上げた。唯華は、歌を歌うことで、普段は抑え込んでいる感情を解放できるような気がした。


カラオケの後、4人は流行りのファッションビルへと向かった。唯華は、美咲たちが次々と見つけてくる可愛らしい服やアクセサリーに、真剣な眼差しを向ける。これまで、機能性や「完璧な優等生」というイメージに合わせて服を選んできた唯華にとって、流行や個性を楽しむための服選びは、新しい発見に満ちていた。里奈が「唯華、このフリルブラウス、絶対似合うよ!」と言って、唯華の肩に当てて見せる。唯華は鏡に映る自分を見て、少しだけ照れたように微笑んだ。結局、シンプルなデザインのニットと、淡いピンクのスカートを購入した。



買い物の後、4人は駅前のファミレスへと向かった。賑やかなファミレスのボックス席に座り、メニューを広げる。店内の喧騒と、友人たちの笑い声が心地よい。唯華は、彼女たちと同じようにハンバーグ定食を注文した。


料理が運ばれてくるまでの間、今日あった出来事や、週末の予定について話した。他愛もない話の端々から、彼女たちの日常のキラキラとした輝きが伝わってくる。


「ねぇ唯華、いつも私たちと遊んでくれるけど、お金大丈夫なの?」


突然、花音が心配そうな顔で唯華に尋ねた。美咲と里奈も、ハッと我に返ったように唯華の顔を見る。唯華は、内心で一瞬焦った。普段、友人たちとの交際費は、新日本解放戦線の経費から捻出している。しかし、そんなことを言うわけにはいかない。


「うーん、大丈夫だよ。私は、親から遊びたいときはお金渡すからいつでも言いなさいって言われてるから」


唯華は、曖昧に言葉を濁したが、その言葉には嘘偽りはない。母親からの温かい心遣いが、唯華の心を温かく包んでいた。


「あー!分かる!うちの親もそう!なんか、自由に遊んでこいって感じだよね!」美咲が大きく頷く。


「うちも!なんだかんだ言って、私が楽しそうにしてると嬉しいみたいで、結構気前よくくれるんだよね」里奈も笑顔で同意する。


「私のお母さんも、『友達とたくさん思い出作りなさい』って言ってくれるよ」花音も優しく微笑んだ。


唯華は、友人たちの言葉に安堵し、そして、自分も「普通」の家庭に生まれた少女の一人であるかのように振る舞えることに、静かな喜びを感じていた。彼女の心は、見た目の変化とともに、確実に内側からも輝きを増しているようだった。


ファミレスで2時間ほど談笑した後、唯華たちは駅で解散した。唯華は一人で家路につく。夜空には満月が輝き、東京のビル群を照らしている。冷たい夜風が、唯華の新しいショートボブの髪を優しく揺らした。

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