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ある日私は、革命家という名のテロリストになった。  作者: 水鳥川倫理
公安警察や自衛隊の動向。そして内部から崩れる影。

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第29話、公安警察や自衛隊の動向。そして内部から崩れる影。

唯華の指令を受け、長野の地下壕では、訓練のさらなるハード化が始まった。訓練省の斉藤と田中は、隊員たちに「今回の失態は、我々の訓練不足が原因だ」と厳しく告げ、逮捕された仲間を救い出すために、各自の能力を限界まで高めるよう求めた。彼らの言葉は、隊員たちの心に深く突き刺さった。彼らは、自らの訓練不足が仲間を危険に晒したのだと、深く反省した。


戦車隊は、夜間の完全遮光下での超高速スラローム訓練を繰り返し、目視できない状況下での操縦技術を磨き上げていた。彼らは、最新鋭の暗視装置や熱探知システムを駆使し、地下壕の複雑な通路を高速で駆け抜ける訓練を、来る日も来る日も続けた。時には、わずかな操作ミスが壁への激突を招き、車体が大きく損傷することもあったが、彼らは折れることなく、その精度を高めていった。隊員たちの顔には、疲労と集中による汗が光り、その瞳には、仲間を救い出すという強い意志が宿っていた。彼らは、戦車を自らの手足のように操ることを目指し、寸分の狂いもない動きを追求した。


航空戦闘部隊は、地形追従飛行や、敵地深部へのステルス侵入訓練を徹底した。彼らは、低空を高速で飛行しながら、地形の起伏を縫うように進む技術を磨いた。夜間飛行では、全ての灯火を消し、計器飛行に頼る訓練が行われ、その難易度は極めて高かった。また、敵のレーダー網を回避するための電子戦訓練も導入され、彼らの操縦技術と戦術理解は飛躍的に向上していった。ヘリのローター音は地下壕に轟き、隊員たちの集中力を高めていた。彼らは、いかなる悪条件の下でも、任務を遂行できる精鋭部隊へと変貌しつつあった。


歩兵部隊は、市街戦での突入訓練や、人質救出を想定した模擬戦を、食事も睡眠も惜しまず続けた。彼らは、狭い通路や障害物が入り組んだ空間での戦闘を想定し、銃剣術、格闘術、そして連携を徹底的に磨き上げた。模擬戦では、実弾に限りなく近い訓練弾を使用し、実戦さながらの緊張感の中で、彼らは自身の限界を打ち破っていった。疲労困憊で倒れ込む仲間を助け起こし、互いの傷を癒し合う。その光景は、彼らが単なる戦闘集団ではなく、強固な絆で結ばれた「家族」であることを示していた。彼らは、唯華の痛みを共有し、その決意に応えるため、もはや人間としての限界を超えた訓練に身を投じていた。彼らの肉体は疲弊し、精神は極限まで追い詰められたが、その瞳の奥には、仲間を救い出すという強い意志が宿っていた。


訓練と並行して、新日本解放戦線は新たな隊員の募集を強化した。オンラインコミュニティでは、逮捕された隊員たちのニュースが拡散され、「仲間を助け出そう」というメッセージが、若者たちの心をさらに揺さぶった。唯華の言葉は、彼らの心に深く突き刺さった。社会の閉塞感、未来への漠然とした不安、既存の秩序に対する不満を抱えていた若者たちは、唯華の掲げる「浄化」という言葉に、希望を見出した。


「我々は、真の日本の夜明けを築くために、共に戦う仲間を求めている。勇気ある者よ、今こそ立ち上がれ!我々は、決して仲間を見捨てない!」斉藤と田中は、隊員募集のメッセージを修正し、逮捕された隊員たちの救出を前面に打ち出した。それは、彼らの共感と連帯感をさらに深めるための戦略だった。失われた未来への希望、社会への不満、閉塞感。そうした感情を抱えた若者たちが、唯華の掲げる「浄化」という言葉に救いを求め、共感を覚えた。彼らは、オンライン上で与えられた指示に従い、人知れず各地の訓練施設へと集結していった。それは、まるで漆黒の闇に吸い込まれるかのように、静かに、しかし確実に進行していた。


新たな入隊希望者の中には、IT技術者や医療関係者、あるいは物流の専門家など、多岐にわたる分野の知識と経験を持つ者も増えていた。唯華は、彼らのスキルを最大限に活用するため、組織内の事務体制も大幅に強化した。


情報省は、偽装工作と攪乱情報の生成に加え、公安警察の動きを予測するための情報分析能力を向上させた。山田は、新たなAIシステムを導入し、膨大なデータを高速で処理することで、公安の捜査パターンや弱点を洗い出すことに成功した。彼らは、ソーシャルメディアの監視、ダークウェブからの情報収集、そして公安内部の協力者からのリークを巧みに組み合わせ、黒崎の焦燥感をさらに煽る情報を流し続けた。


兵站省は、兵器の密輸ルートの多様化に加え、新たな人員の輸送ルートも確立した。渡辺と小林は、世界中の闇市場を駆け回り、唯華の求める兵器を調達する傍ら、入隊希望者を密かに日本へと送り込むためのネットワークを構築していた。彼らの手腕は、もはや外交官のそれと変わらない。彼らは、偽装された漁船、貨物船、さらには小型潜水艇までをも活用し、日本各地の隠れた港や無人島に物資と人員を送り込み続けた。


整備省は、兵器のメンテナンスに加え、新たに建設される地下基地での整備体制の構築に着手した。彼らは、あらゆる種類の兵器に対応できる専門技術者を育成し、有事の際には、迅速かつ効率的に兵器の整備を行えるよう、万全の準備を進めていた。各地下基地には、最新鋭の整備ドックと、予備部品の大量ストックが確保された。彼らは、兵器が常に最高の状態で稼働できるよう、日夜、点検と修理を繰り返していた。


訓練省は、隊員の増員に伴い、訓練施設の拡充と、より実践的な訓練プログラムの開発に力を入れた。斉藤と田中は、海外の特殊部隊の訓練プログラムを参考に、より過酷で、より実践的な訓練を導入していった。彼らは、シミュレーション訓練、実戦形式の演習、そして心理的な耐久性を高めるための訓練など、多岐にわたるプログラムを実施し、隊員たちの能力を最大限に引き出した。


その結果、実行部隊の隊員数は、目標の2,000人に到達した後も増加を続け、最終的には3,000人を超えるまでに膨れ上がった。彼らは、唯華の指揮のもと、日本を「浄化」するための尖兵として、その能力を日々高めていた。彼らの瞳の奥には、唯華への絶対的な忠誠と、自らの手で新たな日本を築くという揺るぎない決意が宿っていた。


日本列島の地下で、恐るべき巨竜がその咆哮を上げようとしていた。その存在に気づかぬ日本の治安機関は、焦燥感に苛まれながらも、未だその全貌を掴めずにいる。唯華の「浄化」は、着実に、そして容赦なく、その姿を現しつつあった。彼女の瞳は、遠い未来、浄化された日本の姿を鮮明に捉えていた。その視線の先には、血と硝煙の彼方に広がる、新たな日本の黎明が広がっていた。それは、彼女にとって、どんな犠牲を払っても成し遂げるべき、絶対的な未来像だった。

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