第165話 決戦
「「「「絶対防御無視破壊光線」」」」
シン・死天王の放つ絶対防御無視破壊光線をイーリアスが受け止めて反射した!
あまりの威力に反射した後に粉々になるペルセウスの盾。だがスキルを跳ね返す効果は正しく発動し、大魔王デスジードを守る堅固な障壁をも貫き壊した!
「ファ? 絶対防御無視破壊光線を反射して絶対防御障壁を破壊するだとぉう!?」
祭壇を覆っていた魔法障壁が貫かれたのを見たミーニャがいち早く祭壇に近付き、一番近くにあった闇色の大輝石を破邪の剣の連撃で破壊した!
「貴様! 何をする!」
一瞬の茫然自失から立ち直った大魔王デスジードは掲げた指先に真っ白な極光を発生させる!
『心ない悪魔』か!?
間に合え!
「ホークト流水映心!」
バシュゥゥーー!
大魔王デスジードの瀕死砲撃は、『護る!の腕輪』と水映心の見切り効果により防いだ! ギリギリのタイミングだったので、背中には冷や汗が止まらない。
「聖光爆散破!」
イーリアスもエリーとシーラを守れる位置取りをしつつ聖剣技で攻撃に加わってきた!
「深淵の光!」
デスジードが放った『深淵の光』により、俺達のバフが全てはぎ取られてしまった!
エリー、シーラ、ザックが再びバフや障壁を一から張り直す!
「深淵の闇!」
チョコが『チョコデコイ』と『チョコ・ラ・エービー』を用いて大魔王を翻弄する!
「ビックバン!」
カッ! ズッドーン!!
強力な全体攻撃『ビックバン』がきた!
ザックがはった『真炎の障壁』でガードしていなかったら、大ダメージを負ってしまっていただろう。
「呪毒!」
「うっ!」
くっ!? ゲームでは戦闘中には絶対に回復しない、特殊状態異常『呪毒』をくらってしまった。俺の身体がどす黒く変色し、継続ダメージで全身を毒で灼かれる。
ぐおおお!?
全身の神経を刺されているかのような、発狂しそうな痛みだ! ぐうぅ!!
『ちょっと我慢やで!』
ミーニャと破邪モードの破邪の剣が呪いを切り払ってくれた。
おい、はっつぁん、剣筋が胸とお尻と太ももに集中していないか?
「せ〜い〜せ〜い〜破ぁー!」
「ぴえぇ〜!」
シーラとザックの究極の浄化で呪毒は、完璧に祓えた!
「みんな、ありがとう! !? ミーニャあぶない!」
俺達の隙を付いて、大魔王デスジードの『十連撃』がミーニャを襲う!
ドガッ! バギッ! ボグッ!
隙を突かれたからか、さしもの回避率の鬼ミーニャも三発くらってしまい吹っ飛んだ!
代わりに俺とイーリアスが、大魔王デスジードに張り付きヘイトをかせぐ。
エリーが奇御魂の盾の絶壁愛で追撃から守り、シーラの回復の光がミーニャを照らしている。
ミーニャは、生きているな。ほっとした。
ミーニャは前衛にしては装備の関係で防御力が高くないが、アダマンタイト繊維で少しでも補強しておいて良かった。
絶対防御障壁を張っていた間は、大魔王デスジードも自由に攻撃できなかったのか、人が変わったかのように凄まじい攻撃の嵐だ!
だが、はぎ取られたバフが順調に重ねがけされていき、少しずつ俺たちが優位になっていく。
ミーニャも戦線に復帰してきた。
「お父さんお願い! ファーヴニル召喚!」
『久しぶりだなデスジードよ。そろそろお前は無に還るがいい』
聖竜王ファーヴニルの口が真っ白に輝くと、凄まじい威力が込められたブレスが大魔王デスジードに向けて吐き出された!
ゴオオオオォォォォ!
やったか?
なんてフラグは立てねえぞ!
ブレスが終わるタイミングを見計らって、大魔王デスジードがいたところに突撃する!
俺につられるように、イーリアスとミーニャも走る!
皆と連携して隙をつき、ホークト流百烈拳を叩き込む!
「あ〜たたたたたたた!!」
ドドドドドドドドドドドド!
イーリアスとミーニャも連撃を加える!
ザシュザシュザシュザシュ!!!!
「ぐあぁぁぁ! ……『真のやすらぎ』!」
瀕死になった大魔王デスジードが使ってくる最後の手段、必殺スキルが飛んできた!
「みんな避けろ!」
前衛三人はいち早く飛びのき、スキルの光を避ける!
後衛のみんなも無事だった!
よしあと一撃だ!
「……光の戦士がよもやこれほどまでとは……邪神バウバウよ! 我が身に宿り給え!」
突然、虚空より神社にある狛犬の像のようなモノを取り出し、ガバリと腹に開いた口から自分の身体の中に取り込んでいく大魔王デスジード!
「させるか!」
その前にトドメをさすべく突っ込む!
ボム!!!
ものすごい爆風が発生し、俺達全員が吹き飛ばされた!
煙の中に光が差し込み、そこからは畏怖すべきとんでもないエネルギーを肌で感じる。
今までは超然とした魔道士然としていた大魔王デスジードだが、人型ではあるが恐ろしい獰猛な顔付きをしており、三角形の犬耳と、狼の様な尻尾が生えていた。
見るからに強靭そうな手足からは鋭い爪が伸びている。更に濃密なマナを感じる事が出来るので、変身以前のように魔法も使ってくると考えた方が良さそうだ。
水月魔王クラーゲンの指二本の時とは違い、邪神バウバウの完全体が顕現した、狗神デスジードといったところだろうか。
邪悪な波動をもつ神気にあてられて、吐き気がして、力が抜けてきそうな身体に喝を入れて奮い立たせる。
「ファファファ! ファファファ! ファファファ! これが邪神のお力か! ファファファ! 笑いが止まらぬな! ファファファ! ファファファ! なんだ、本当に笑いが止まらぬ!? ファファファ! ファファファ! いったいどうなっておる!? ファファファ!」
狗神デスジードが鋭い爪で俺を指差す。
「貴様だ! ファファファ! 貴様を見るとファファファ! 笑いが止まらぬ! ファファファ!」
え……俺?
「これではファファファ! 魔法が唱えられぬファファファ! ではないか! ファファファ!」
ひょっとして……『神を笑わせし者』なんて称号のせい……なのか?




