第163話 シン・○○王
「ガガガ、ビービー、こちらルイ……」
魔導無線機のスイッチを入れて話しかけると、仲間達から次々に声が届いた。
「あっルイちゃん!」
「ルイお姉ちゃん!」
「四つの塔の同時攻略終わったにゃ!」
「たった今、全ての塔のコアの破壊が終わったぞ!」
「良かった、みんなよくやってくれた! ありがとう! こっちも死神ローテジードを倒したぞ! それじゃあ全員で中心地点でもある、一階のセーフエリアで集合しよう。俺は風の塔のすぐ近くにいるから、エリーとチョコと合流してから一緒に行くよ」
「「「「おーう!」」」」
風の塔の外でしばらく待っていると、塔の扉が開きエリーがチョコに乗って現れた。チョコから飛び降りたエリーと俺はかたく抱きしめ合う。
「エリー」
「ルイちゃん」
このままキスくらいしたくなる様な雰囲気だが、ここは敵地、あともうちょっとの我慢だ。
四つの塔の攻略が終わったって事は、残るは速攻で大魔王をぶん殴るだけ……そうすれば……安心して思う存分……
「お互い無事で良かった」
「うん……」
「それじゃあ集合地点に急ごうか」
「ぷえぇ〜!」
名残惜しいがエリーから離れて、二人でチョコに乗ると、セーフエリアへと向かった。
ザックに乗ったシーラ、ビーダッシュでかけてきたミーニャ、そして少し遅れてイーリアスも到着し、みんなと無事に合流できた。
「みんなお疲れ様! 俺の記憶だと後は大魔王デスジードを倒すだけだから、ここでしっかりと休憩をとって最後の戦いにのぞもう」
「「「「お〜!」」」」
「ボス、お土産がいっぱいあるにゃ」
そう言ってミーニャから渡された各種のステータスアップのタネと、デスジード城内で大量のモンスターを倒してドロップしたタネをみんなに分配して、必要な人がそれぞれ食べる。
今までの冒険で俺が溜め込んでいた大量のタネは、デスジード城に突入する前にすでに同じ様に分けて食べていた。
力と体力のタネは俺とイーリアスで半分ずつ、素早さのタネは俺とミーニャで半分ずつ、器用のタネはエリーとミーニャで半分ずつ、知性と精神のタネは全てシーラが食べて、最後の強化が終わった。
休息も十分とれたので、いよいよ大魔王討伐の仕上げへと向かう。
城が壊れる前にあった、二階へ上がる階段周辺の瓦礫を皆で手分けして片付けると、セーフエリアの柱の内の一本に隠されたスイッチを押した。
ゴゴゴゴゴ、という音と共に床が開き、地下への階段が現れた。
「良かった、ギミックは壊れてなかったみたいだな。皆、準備は良いね?」
「「「「おう!」」」」
「よし! 行くぞ!」
長い地下への階段を降りると、広大な空間と祭壇があった。祭壇の四隅には風、水、火、土に対応した四色の台の上に、高さ1メートル程の真っ黒な輝石が据え置かれている。
「あの祭壇で、『神威の胸当て』を使えば大輝石の力で、大魔王デスジードが閉じ込められている深淵に行けるはず……」
俺が言葉を終える前に、四つの黒い輝石から光が溢れ出した。
闇色の光が祭壇に集中すると、光の中から一人の男が現れた!
「ファファファファファ! ついに! 大輝石の縛りを反転させ我は深淵より現世へと帰って来たぞ! まさか配下が全滅する事になるとは思わなかったが、邪魔素生無塔の負のエネルギーの回収にはギリギリで間に合ったようだな」
なんだと!? 本来は復活せずに、こちらから深淵のシン・デスジード城へと向かい大魔王を倒す流れのはずだが……だけどこっちに出てきたんなら話がはやい。今ここで倒せば良いだけだ!
俺のイチモツを返しやがれ!
大魔王に先制攻撃を食らわすべく飛び出すが、祭壇の手前で何か目に見えない壁にはばまれた!
「ファファファ、光の戦士よ、ここで暴れられては困るな。かつて聖竜王の全力のブレスをも防ぎきった、特別強固な魔法障壁だ。配下共を減らされたお陰で我の計画は100年ほど遅れてしまったが、最も邪魔なお前達を葬り去り、残りの計画をすすめるとしよう」
大魔王デスジードが懐から心臓の形をした何かを取り出すと、何やら呪文を唱えて俺の方に放り出した。
魔法障壁をすり抜けて来た心臓の形をした何かは、ものすごい力を秘めているようで、慌ててよけて仲間達の方に戻って再び陣形を組む。
「ファファファ! 出でよ、シン・死天王!」
グニグニと、心臓の形をしたなにかが巨大化し、更にその心臓から四つの上半身が生えてきた!
極熱魔王ソージーンのツーヘッドドラゴンが両足のような位置で二つの首を震わせている!
上半身の位置に百獣魔王ディラグノスが、その恐ろしい牙の並んだ口から咆哮を上げながら盛り上がってくる!
背中の位置には海月魔王クラーゲンが触手をうねらせている。触手を見るに、さすがに邪神が取り憑いたクラーケンモードではなくクラゲモードか!?
まるで戦隊モノの合体ロボのようだ!
更にソージーンでできた両足の間に死霊魔王ゴルゴンダがズモモモモっと生えてきた!
ツーヘッドドラゴンに寄生していたドルイドンのタンショと違い、死霊魔王は大柄だ。
まずいぞ、その位置は!
なんて卑猥な見た目!
まるで巨大なナニかでタンショの時とは大違いだ!
シン・死天王は中空に浮いているので、ツーヘッドドラゴンも自由に攻撃してこられそうだ。
あの手強かった死天王達が合体しているとなると、大魔王以上の脅威ではないか?
死天王最弱であった死霊魔王ゴルゴンダは、魔道士として後衛に……後衛と言えるかはわからないが、護られている状態でばんばん魔法攻撃をされてきたり、回復、蘇生されたらものすごく厄介だ。
その上に不気味にたたずむ大魔王デスジードの存在もある。
レベルを上げきり、ホークトナックルとサイザーナックルを装備した『カチモン』の俺ならば、ゲームでは9999✕八連撃のワンパンで大魔王討伐は成し遂げられたはずだが、とんでもないハードモードへと変化してしまった……
現在カクヨム様にて先行して完結しております。
https://kakuyomu.jp/works/16818093077952549761
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