第150話 サイザーナックル
決して退かぬレジェンドタートルをホークト流究極奥義、無双転性で討伐して『サイザーナックル』を手に入れた。
ぃよっし!!!
モンクの二つ目の最強武器、ゲットだぜ!!
『サイザーナックル』はモンクが装備できる、数少ない武器であるナックルの一種だ。
そしてこのサイザーナックル、武器としての物理攻撃力は+46しか無い。これでは最強とはとても言えないだろう。だが付与されている武器の性能が凄まじいのだ。
その性能とは、『物理防御力無効』である。今まで強敵との闘いで散々苦労させられてきた、いわゆる『防御無視の貫通攻撃』だ。
その攻撃が今後は俺も撃てるのだ!
しかもホークトナックルの効果で通常攻撃が怒涛の八回攻撃!!
これを先に入手出来ていれば、レジェンドタートルも時間をかけずに倒せて、ザコ扱い出来たのだがなぁ。
『ホークトナックル✕サイザーナックル』これこそがラスボスをもワンパンで倒せる『カチモン』の究極系!
加えて三チャの神器による圧倒的防御力!
フッ、俺の強さもいよいよ極まったな。
今後は大魔王をワンパンでのして、俺の俺による俺の為の無双物語としてエリーにより後世に語り継がれていくことだろう。
『そううまくいくとええけどなぁ。儂としては女のままでええんやで』
破邪の剣か。
ふふふ、今俺はとても気分が良い。女として最後の思い出に、性転換薬を飲む前に俺の大胸筋を見せてやっても良いと思えるぐらいだぜ。
『ヒョ〜!』
俺、大魔王を倒して男に戻ったらエリーにプロポーズするんだ。
『あんまりフラグをたてたら思い通りにいかんかもしれへんで』
これはフラグなどではない。
ただの事実だ。
ハッハッハ!
笑いが止まりませんなぁ!
ん?
なぜかエリーが顔を赤くしてモジモジしているし、他のみんなの視線が生温かい気がするんだけど……
『ルイ、お前浮かれ過ぎて、儂と話し始めたあたりから心の声がもれとったで』
「なにぃ!?」
調子にのりまくっていた心の内を聞かれたなんて、めっちゃ恥ずいな。
皆さん聞かなかったことにしといてください……
「そ、それじゃあ最後の一つ『才蔵の刀』を取りに行こうか」
「ああ、行こうか」
イーリアスが、俺の肩をぽんぽんと叩いてうながしてくれた。雰囲気を変えてくれてありがとね。
才蔵の刀を守護するガーディアンは『じ・忍者』だ。
戦闘フィールドを忍術で自在に変化させ、地形効果で自らの『地水火風空』の属性忍術を強化する他、分身の術でバカ高い回避率となり、こちらの攻撃がなかなか当たらない。
しかし、『ホークトナックル✕サイザーナックル』で、でたらめに八連撃を繰り出しまくってラッキーパンチが当たる事三回、ついに『じ・忍者』を倒すことができた。
『才蔵の刀』を手に入れた!
これで俺達の取り分はすべて回収した。
封印城ワイダーンの中央のホールに戻り、勇者パーティーの攻略が終わっていないところがあったら、俺達も手伝おうかと話していたら、ラグナロクの通路から勇者パーティーが戻って来た。
「「ルイ!」」
通路からかけよって来た勇者アイスとゴライア。
「そっちも四つ全部終わったみたいだな。お疲れさん」
「あぁ、ルイのアドバイスが役に立ったぞ! 俺と結婚しよう!」
「アイスよ、バカを言うな! ルイが結婚するのは俺だ!」
「俺はお前らとは結婚しない! お前らはそっちのパーティーでうまいことやってくれ」
「大丈夫だ、ルイの事は第二夫人として大事にしてやるから」
「ステラ、勇者パーティーの次の予定は……」
ぎゃあぎゃあわめくバカは無視して、手綱をにぎっていそうなステラと話をすすめ、封印城ワイダーンを後にする。この後は再び別行動だ。これで安心。
俺達ルイパーティーは、再びドワーフ王国ホーリラへとやって来た。
伝説の武器、エクスカリバー、才蔵の刀、イカサマのさいころ、写し身のナイフの合成の可能性を求めてエレーナ女王と相談した。
エクスカリバーは、ラグナロクと比べると若干攻撃力が劣るが、素早さを上げる『ファスト』の魔法が永続的にかかっている聖剣だ。
これを最強の魔剣『フォルバガード』と合成する。そうすれば聖・魔を極めた騎士イーリアスの最強の剣となるだろう。
世界最高の鍛冶師エレーナ女王と破邪の剣の見立てでは合成はいけるとのことだ。
使う触媒は『おうまのしっぽ』
いよいよ合成を始めると、二振りの剣は穏やかな虹色の光のエフェクトをまとって光り、その中から一つの剣が現れた。
『おっ! 聖と魔二つの力をしっかりと感じるで』
イーリアスが剣を手に取りしげしげと眺める。
「凄いなこの剣は。力もさることながら、長年使い続けた剣みたいに私の手にしっくりくる。この剣の銘はどうなるのだろうか」
『イーリアスがつければええと思うで』
「それでは『聖魔剣フォルバガード』と付けさせてもらおうか」
エクスカリバーの名前は『聖』だけを残してどっかにいっちゃったけど、良いんじゃないか?
二つの剣の力をしっかりと受け継いだ聖魔剣か、胸が躍るワードだな。
続いて、素早さと器用のステータスの補正率が高く、忍者刀の中で攻撃力が最も高い『才蔵の刀』と『ぬすむ』『ぶんどる』の成功確率が大幅アップするアクセサリー『盗賊の極意』を合成する。
『ゴストのしっぽ』を触媒にして合成すると見事に成功した。
『イカサマのさいころ』はランダムで固定ダメージを相手に叩き込む要素があるので、合成には不向きだと判断した。豪運のミーニャが装備できれば凄いことになりそうだが、『イカサマのさいころ』は職業ギャンブラーしか装備できないので、残念だ。
シーラは装備できるので、何かの時に役にたつかもしれない。
『写し身のナイフ』はパーティーメンバーの持っているスキルの内の一つをコピーして使えるようになる優れものだ。
だが、魔法系でいうと例えば大枠の『黒魔法』ではなく単体の『ファイザム』等の一つの技をコピーする点が残念なところだ。
ゲームファンサ5では、モンクの物理攻撃力と防御力、体力を司るスキル『かくとう』を写し取って、エリーのような後衛職に装備してもらうのが定番の使い方なのだが、俺は凄い事を思いついた。
ホークト流の見切りスキル『水映心』を写し取り、登録者を自動でかばう『護る!の腕輪』に『いんまのしっぽ』で合成させると……見切りスキル『水映心』で登録者をかばう事ができるようになった。
これにより討伐寸前に逃げられたコムゲーン皇帝の、『誘惑』も見切る事が可能だろう。
忍者ミーニャの最高の防具である回避率アップ効果がある『闇の頭巾』と、全状態異常無効の『リボン』を『ガルダのしっぽ』で合成させる。
こんなところだろうか。
最初に手に入れた『おたまのしっぽ』が余ってしまったが、合成したいものが今は無いので無理して使わずにとっておくか。
「エレーナ女王ありがとうございます。おかげで元々凄いアイテムが更に強化されました」
「なに、礼には及ばん。むしろ貴重な経験をさせてもらった分、我々のほうが礼を言いたいくらいだ。それと剣『聖竜の牙』と、盾『聖竜の鱗』が完成したので持って行くと良い」
「ありがとうございます!」
その後は、いつものように宴会からのお風呂コースで英気を養った。
それにしても、ファンサ5の全ての剣の中で一番強い『聖竜の牙』がシーラ専用なのが惜しいところだよな。装備してもシーラには剣スキルがないから、通常攻撃にしか使えないんだよなぁ。
「うーん、わたしにもよくわからないけど、お父さんに聞いてみよっか?」
俺のつぶやきを聞き取ったシーラが、そう言った。
現在カクヨム様にて最終章を先行して投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/16818093077952549761
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