第142話 カチモン
俺が流星のエフェクトを発生させて『けり』を使おうとした瞬間、ミーニャと何かが繋がった!
「「アルティメットユナイトスキル! 銀流星発動!」」
ミーニャが背中を丸めつつ、そのままディラグノスめがけて縦回転していく!
『けり』の流星のエフェクトをまとった俺がミーニャの足裏をけり、更に縦回転の威力を倍増する!
余りの回転の速さに顔がいくつも分身しているかのようだ!
縦回転ミーニャによる二刀流の刃の大車輪が流れ星のような曲線を描いて巨漢のディラグノスの首を刈りとる!
「絶・転猫抜刀牙!!」
血しぶきが舞い、太く、鋼鉄よりも硬いディラグノスの両腕がぼとりと落ちた。
「にゃー!? 間に両腕を差し込まれて首を守られちゃったにゃ!?」
ディラグノスの身体を滑るように通り過ぎたミーニャが、残念そうに言っている。
「ぐふっ! ……ぐおおおっ!」
ズボ、ズボッ!
ディラグノスの両腕が!
生えた!?
「グゥワァッハッハッハッ! 腕ぐらいなら何度でも生やせるわ! ここまでこの俺が追い詰められるとはな! 褒美だ! 真の姿で相手をしてやろう!」
グムグムと百獣魔王ディラグノスの体が巨大化していき、恐ろしいティラノサウルスの姿となる!
ディラグノスの最終形態、ティラノサウルスモードとなったその攻撃は、あのツーヘッドドラゴンの攻撃力に勝るとも劣らない!
更に内包している様々な恐竜型モンスターの遺伝子のおかげで、魔法はろくに効かないときている。元々膨大だったHPもだいぶ削ったが、戦闘中に自らのスキルで回復させている事もあって、まだとどめを刺すにはいたらないだろう。
前足、しっぽ、後足、体当たり、噛みつきと次々に防御無視の攻撃を繰り出してくるが、仲間たちの盾となり俺が全てを受け止める!
だいぶ仕上がってきたな!
もうそろそろか!?
「獣王激竜掌!」
死に物狂いでなんとか耐えた百獣魔王の必殺技のダメージを癒したその時!
カッ!
ザックの神鳥・不死鳥のエキスをふり注いで更に再生力をあげていた、チャイナドレスEVが燃えるような赤に染まった!
きた!
防御無視攻撃を受け続ける事によって鍛えられた、チャイナドレスの遂に完成形だ!
防御無視攻撃さえも通さない神チャ衣ナドレスを纏った俺は『カチモン』として遂に完成した!
ここにきて戦闘開始前にかけてもらっておいた魔法や、エリーの歌によるバフの重ねがけが切れたので、再度各種バフを全員で盛りに盛る!
「ここからは完封させてもらうぜ!」
続けて猛攻してくる百獣魔王ディラグノスの攻撃は俺に対しては防御無視の攻撃とはならず、ガッチガチの俺の防御力にはばまれてろくにダメージを与えられていない!
さっきまでは血反吐を吐く思いで耐えていたというのに、凄いぞ神チャ衣ナドレス!
さっき確認したら、アウルスを倒したことで俺はレベル99になっていた。という事は、アレが使えるはず!
「やった! 単身で一万体の敵の撃破を確認! 鬼面が阿修羅面に進化したぞ!」
トリケイラを一人でくだしたイーリアスからも嬉しい報告があった。
イーリアスの聖・魔のスキルを加えた一度に六回攻撃!
破邪の剣の武器特性である、素早さ・器用分のステータスを攻撃力に盛ったミーニャの一度に六回攻撃!
更に俺は覚えたての最強スキル「ホークト流百烈拳」で回復する間を与えずにディラグノスの最後のHPまで削りきるぜ!
呼吸を合わせた前衛三人での同時連撃!
「ホークト流百烈拳!!」
「はぁあぁ!」
「うにゃあ!」
「あ〜たたたたたたたたたたたたたたた!」
ズザザザザザッ!
スパパパパパッ!
ドドドドドドドドドドドドドドドドッドド!!
「ほぁたぁ!!」
ドドン!
百獣魔王の巨体がついに墜ちた……
「見事なり!」
グムグムと縮んで人型となった百獣魔王。削りきれなかったか!?
「我が生涯に一片の悔いなし!」
光るエフェクトと共にその体が消える直前に、ディラグノスが最期に放った獣王悔恨撃が土の大輝石のある土の神殿へと向かっていき、中から爆発の音がした!
まさか大輝石を破壊したのか!?
百獣魔王ディラグノスは光となって完全に消え去った。
『ティラのしっぽ』を手に入れた!
『妖魔の斧』を手に入れた!
またしっぽか……ってそんな事を考えている場合じゃない!
急いで土の大輝石の元に行かなければ!
「みんな! 神殿へ急ごう!」
「大丈夫です、ルイさん! 土の大輝石の脅威は去りました」
土の巫女アルファが穏やかに語る。
大丈夫だと言われても、心配なので駆け足で土の大輝石の元へとかけつける。
神殿の中央の祭壇にある土の大輝石は無事だった。
ではあの爆発は何だったのかと周囲を改めてよく見てみると、ゲームや他の大輝石では残っていた黒い鎖の魔法陣が消え去っている事に気付いた。
「ディラグノスは敗北を受け入れて、魔法陣を破壊したのか……敵ながら天晴な漢だ……」
百獣魔王ディラグノスよ、お前もまた強敵だった。
祭壇の下に隠してある『地神の胸当て』を忘れずにゲットする。
土の巫女アルファがひざまずき、肌身はなさず身につけていた『皇家の証』を握りしめ祈ると、半分が黒くなっていた土の大輝石が本来の透き通った黄色い輝きを取り戻していく……
『光の戦士達よ、土の巫女よ、そして神鳥よ』
突然頭に声が響いてきた。
力強く、どっしりとした深い声だ。
『良くぞ百獣魔王を倒してくれました。世界の源の一つたる私の力が吸い取られ、世界は危機に瀕していました……』
どうやら大輝石から直接俺達の心に声が届いているようだ。
四度目ともなれば、だいぶこの展開にもなれてきたな。
『土の力を宿す……』
大輝石の話は続いてゆく……
これで第四部第二章が終わりになります。
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