第141話 極限魔法
「グゥワァッハッハッハッ! よしよし! 良いぞぉ! こんなに楽しめるのは久方ぶりだ! そらそら!」
俺の連撃を防ぎきった百獣魔王ディラグノスが、攻守交代と言わんばかりに攻勢を強めてきた!
ドドドドッ!
ぐ! ぐおおおお!
「おおおお!」
全力で受け流し! かわし!
そらし! 受け止める!
しのぎきったか!?
ダメージを受けた俺に、すかさずダズーからのサポートが入る!
アルファと共にいるダズーに対し、ただでは済まさぬとばかりに、拳圧を飛ばし牽制する百獣魔王。
ギィン!
百獣魔王の飛拳はダズーが奇御魂の盾ではったバリアに防がれる!
俺と百獣魔王のタイマン(?)バトルは一進一退の攻防を繰り広げている。
だが気付いているか? 百獣魔王よ!
俺の方はお前の一撃を受ける度に成長していってるんだぜ!?
「ためる!」
今度はこっちの番だ!
スキル『ためる』で威力を倍増させた後、分身しているかのような体捌きでディラグノスに貼り付き、身体の芯まで届く『柔破拳』を繰り出す!
「ジュジュジュジュジュジュ!ぅ破拳!!!」
どうだ!?
物理防御力がバカ高いディラグノスでも柔破拳の連撃をくらえばさすがに……
「グゥワァッハッハッハッ! 良ぃ〜い感じだぁ! そらお返しだ! 獣王悔恨撃!」
ドガガガ!
「ぐぁぁぁ!」
ヒュン! パァァァ……
今のは危なかった!?
さすがは百獣魔王の必殺の一撃だ。
ダズー、回復はナイスタイミング!
ディラグノスを見れば、しっかりと与えたはずの俺の柔破拳のダメージが、加護の力でみるみる回復していっている。きりがないな。敵の攻撃も激しくなる一方だし、疲労がたまって一手ミスっただけで死んでしまいそうだ。
「……大逆をおかした彼の者に、新たな大地を授けん。 ルイさん!」
きた! アルファからの極限魔法の合図だ!
俺はすぐさまひとっ飛びでバリアの中に逃げこんだ。
「新天地授与!」
アルファの極限魔法が発動したかと思うと、直後に百獣魔王ディラグノスの直上に巨大な魔法陣が現れた!
魔法陣から巨大隕石が出現し、避けることもできずにディラグノスを押しつぶした。
やっ……てないのはわかっている!
今のうちに作戦第二段階開始だ!
「みんな! 次だ!」
「「ディラグノス様!?」」
突然の隕石攻撃にうろたえている側近の二人を、今のうちに排除しておく!
俺の合図で、百獣魔王軍ナンバー3の三刀流の剣士、トリケイラにイーリアスが挑み一対一で戦う。
俺、エリー、シーラ、ミーニャ、チョコ、ザックで百獣魔王軍ナンバー2アウルスを早めに排除だ!
頭が悪そうな脳筋ッぽい見た目のくせに、アウルスは物理・魔法どちらも高レベルで隙のない男だ。たたける時にたたいて、消えてもらう!
俺も含めた怒涛のラッシュで、かなりアウルスを追い詰め、もう一息というところで凄まじい咆哮があがり、巨大隕石がバラバラに崩れた。
アウルスを倒すのは間に合わなかったか!
俺は急いでアルファとダズーの前にと戻るが、エリー、シーラ、ミーニャ、チョコ、ザックでアウルスにとどめをさすために猛攻を加え続ける!
「三刀流奥義鳥気乱刀斧角!」
「無双雷鳴突き!」
目の端にうつる、イーリアス対トリケイラの闘いも佳境のようだ!
咆哮を上げながら隕石を吹き飛ばし、再びその姿をみせた百獣魔王ディラグノス。
「ぐおぉう!! 今のはかなり痛かったぞ! 見事なり!」
百獣魔王に砕かれ吹き飛ばされた隕石が光るエフェクトを残して消えていくと常に百獣魔王ディラグノスを覆っていた、黄色いオーラが同時に消えた。
「む!? 加護が消えた?……どうなっている? いったい何事だ!?」
どうやら加護を奪うことに成功したようだな!
百獣魔王ディラグノスは『大地に触れている間は常に体力(=HP)が回復し続ける』という加護を持っていた。
土の巫女アルファが使った極限魔法『新天地授与』はただの攻撃魔法ではない。土の大輝石から預かった魔法で、その真の力は『加護の対象を今いるこの世界の大地から召喚した新天地に移しかえる』という特別なものだ。
ディラグノスの加護は残っているが、大地に触れていなければ発動しない。そして触れていなければいけない新しい大地はたった今消滅した!
俺が思った通りに、ディラグノスの加護は働いておらず、隕石で受けたダメージは回復していっていない。
これでようやく百獣魔王ディラグノスを倒せるようになった!
「グゥワァッハッハッハッ! 長く生きておればこういうこともあろう! だが加護など無くとも俺は強いぞ! むうううん!」
百獣魔王版のチャクラを使い、体力を回復させていくディラグノス!
そうはさせるか!
俺が再びディラグノスに張り付いて連続攻撃をあびせる!
おらおらオラオラ!
ドドドド!
「聖光爆散破!」
「ぐォー!」
視界の端でトリケイラがイーリアスの聖剣技を受けて光のエフェクトと共に消えていった!
「極大氷魔法ブリザザム!」
「ぎゃあああ!」
強敵だったナンバーツーのアウルスも仲間たちにトドメを刺されて消えていく!
「アウルス! トリケイラ! おのれ、よくも俺の配下をやってくれたな! 奴らは俺の良い遊び相手だったというのに! くらえ!『配下の恨み』!」
目に見えない無数の針に全身を刺し貫かれるような痛みが俺の身体中をはしった!
「「「「「「「あああっ!」」」」」」」
恐ろしい痛みだったが、『配下の恨み』を耐えきったぞ!
急いで回復して、全員で百獣魔王ディラグノスに攻撃をする!
俺が流星のエフェクトを発生させて『けり』を使おうとした瞬間、ミーニャと何かが繋がった!
「ミーニャ!」
「はいですにゃ!」
「「アルティメットユナイトスキル! 銀流星発動!」」




