第139話 新たな扉?
岩場エリアにやって来た俺達は、不死鳥ザックに乗って空を飛んで移動していたが、ザックの行く手をはばむように、恐竜型モンスターのプテラノドンとディモルフォドンが襲ってきた。
スピードをあげるザックの頭を押さえるように、大群で次々に襲いかかってくる。かなり高度な連携攻撃だ!
モンスター達はティボーン先生の『鼻息』での吹き飛ばし攻撃も、上手く風をとらえて半数は吹き飛ばされずに残っている。
逃げ切れないか!?
「シーラ、聖竜のひげだ!」
「うん!」
シーラがインベントリから聖竜のひげを取り出して、空中をピシィッ! とムチの一振りでうならせると、早速効果があらわれた。
シーラ専用武具である『聖竜シリーズ』。攻撃力の面でも全ムチの中で最強である『聖竜のひげ』は、なんといってもその特殊効果が凄まじい。
聖竜のひげを装備すると、本来なら『魔獣使い』のジョブしか覚えられないスキル『あやつる』を使う事ができるのだ。
しかも、魔獣使いの『あやつる』でさえアイテム補正なしの場合成功確率は33%だというのに、聖竜のひげの補正効果によってその成功確率は驚異の75%だ。
更に1グループをまとめて『あやつる』事ができるのだから完全に本家を上回っている。
見事にプテラノドンをあやつったシーラは、ディモルフォドンを攻撃させた。更に次のあやつるでディモルフォドンをあやつり、プテラノドンを攻撃させる。モンスター同士の同士討ちで次々に数を減らしていく翼竜達。
その隙をついて完全包囲されていたザックがモンスターの囲みを突破して先へと進む。
シーラのおかげで見事に切り抜ける事ができたな。
俺の仲間は優秀すぎる、と一人でニヤついていたら、エリーが憐れむようにつぶやいた。
「ムチを見て思い出し笑いするなんて、ルイちゃんが変な趣味に目覚めちゃった?」
「いや、違うから!」
実は聖竜のひげを手に入れて早々に、操れるのはモンスターだけなのか人間もなのかを検証するために、飛空艇の船室で一番精神のステータス値が低い俺がシーラに確かめてもらったのだ。
その時に、チャイナドレスを着ていたらカチモンになってしまって意味がないので、より検証の確度を高める為に、スッポンポンでやってみたんだよな。
その結果、何回空中をピシィッ! とやっても一切操られなかった。
続いて、ムチを当てたらどうなるかの検証もやってみたのだが、これも多少痛いだけで操られる気配はみじんも無かった。
人間は『聖竜のひげ』といえども操ることができない。
以上、検証終わり。
ただそれだけだ。
別に新たな扉を開いたわけではないので、そんな風に俺の事を見るのはやめてくれないか、エリー?
順調に岩場エリアの端までやって来た俺達は、岩場エリアのエリアボス、ケツァルコアトルスとの戦いを繰り広げる。
ケツァルコアトルスには『鼻息』も『あやつる』も効かなかったので、倒すしかない!
ケツァルコアトルスの空中から羽爆撃を振りまく驚異の攻撃も、ワイバーンキング戦で大変な思いをした昔ならともかく、今となってはパーティーの豊富な遠距離攻撃手段、防御魔法で特に苦戦をすることもなく倒せてしまった。
圧倒的じゃないか我が軍は!
セーフゾーンとなったボスエリアで、チョコとザックの目くらましの結界魔法チョコリュージョンも重ね掛けしてもらい、念の為に交代で睡眠をとる。
朝が来て、いつもの朝の日課はダズーに刺激を与えないように、本物の筋トレだけをこなし次の密林エリアへと突入した。
密林エリアは、相変わらず団体様で押し寄せて来る恐竜型モンスター、ザコ敵ヴェロキラプトルの群に襲われて大変だ。
それに加えて、ヘルメット竜ともいわれる強力な頭突き攻撃をするパキケファロサウルス、装甲車ともいわれコブの尻尾で手痛い全体攻撃をしてくるアンキロサウルス、背中の板状の刺で全属性攻撃を吸収し、増幅して反撃してくるステゴサウルスが襲ってきた。
次々に襲いかかってくるモンスター達のひっきりなしの攻撃をいなし、『とんずら』『鼻息』『あやつる』を駆使して密林エリアのボスの元まで辿り着いた俺達は、超巨体のブラキオサウルスとの戦いを繰り広げる。
ブラキオサウルスは『ふみならし』という地震攻撃をしてくるので、戦闘開始前から全員で『浮遊薬』を飲んでおく。
ブラキオサウルスの長い首をムチのように使った『なぎたおし』、更にはそこから連続攻撃につなげる防御無視の『ねじり突き』は驚異だったが、順当に俺達が勝利した。なんといっても、こっちはパーティーで、相手は巨体とはいえ一体だからな。
ここまでにやむを得ず倒した敵の数は、エリアボスの3体のみ。ゲームの時の最高成績をはるかに上回る記録だ。俺達の連携は熟練の域に達してきたようだ。
『配下のうらみ』は最小限でクリアできている。
密林エリアを抜けた先は、いよいよ土の大輝石の神殿前の大広場だ。
そこには死天王最強の漢、百獣魔王ディラグノスが待ちかまえているはずだ。
「面白かった!」
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「ルイが新たな扉を開かなくて良かった!?」
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