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美少女モンクにTS転生した俺はとにかく殴る!たまに蹴る!〜底辺の脳筋ジョブと言われたが筋肉を極め知識チートで無双する〜  作者: 大木げん
第四部 美少女モンクと大魔王

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第125話 黒い翼

「ご苦労だったダズー君。悪いが状況が変わった。シーラを渡してもらおうか」


 戦略飛空艇師団『黒い翼』の団長ケインがとんでもない事を言ってきやがった。


「え!? ケインさん何を言ってるの?」


 ダズーが戸惑いながら問い返した。

 

「そこにいる幼女が聖竜王の遺児シーラなのだろう? 魔導無線機で盗聴している時に、シーラという名前を聞いた瞬間に気付いたぞ。帝国将校の間で特別指名手配されているあのシーラだとな」

 

「だから何を言っているんだよ!? レジスタンスに入ってくれる話はどうなったんだよ、ケインさん!」

 

「レジスタンスにはいずれ入ろう。だがその前に、黒髪黒目の女、お前がシーラを強奪した泥棒(シーフ)だな? コムゲーン皇帝が探しておいでだったが、何より俺がシーラを欲しているんだ。俺が今まで集めたこのドラゴン王孵(オーブ)を食べさせる為にな!」


 『黒い翼』の団長ケインが四つのオレンジ色のボールを取り出して見せつけてきた!


 ドラゴン王孵(オーブ)だと!?


 それは神鳥を復活させるために必要な七色の王孵(おうぶ)を模したレプリカじゃないか!


 伝説の竜に七つのドラゴン王孵(オーブ)を与えるとなんでも願いが一つ叶うという、プレーヤーをあえて混乱させるための()()()だ。


 俺もゲーム『ファンサ5』の初回プレイ時に偽の情報が多すぎて、本物の王孵(おうぶ)を集めるのに苦労させられた。


 どこぞの教会が神鳥の伝説にあやかって、本物の橙王孵(おれんじおうぶ)を模して造ったものらしい。


 本物は、七つの色だが、レプリカの方はオレンジ一色で、中に漢字で一から七までの数字が書いてあり、消費すると対応するステータスが100上がる。これはこれで飛び切り優れたものなのだ。


 もちろん集めても願いなど叶わないので、こちらは消費アイテムとして使うべきだ。ステータスアップ素材として俺にくれないかな。


 だが、シーラの事となれば俺も黙ってはいられない、カインに聞いておかなければ。


「ドラゴンオーブを集めて何をする気だ!?」


 まさか、ぎゃるのパンティおくれとか言わないよな!?


「我が最愛の恋人ローゼを助けるためだ。俺にとっては帝国よりもレジスタンスよりも、全てにおいて優先させる事だ。シーラを渡せぬとなれば、悪いが実力行使で頂いていくぞ。三分間待ってやろう、その間にどうするか決めるのだな」


 カインが飛空艇の砲門に、あえて視線を送りながらタイムリミットをもうけてくる。


 脅しているつもりか?


「恋人を助けるためってどういう事だ? 協力できる事もあるかもしれない。詳しく話してくれないか?」


「素性の知れぬ泥棒(・・)のお前達に話すことなどない。シーラを渡せばそれでいいのだ」

   

 理由を話してはくれないのか……だがあくまでシーラを寄越せというのなら、三分間待ってもらう必要などない。


「シーラを渡すことはできない」


「そうか、残念だ」


『黒い翼』団長ケインがスッと左手を上げると、俺達を取り囲んでいる『黒い翼』の飛空艇から一斉に砲弾が飛んできた!


 イーリアスが聖剣技で、シーラとチョコが魔法で、ミーニャが忍術で、それぞれの遠距離攻撃で砲弾を撃ち落とす!

 

 間を抜けて来た砲弾は俺が叩き落とし、更に不死鳥(フェニックス)ザックが避ける!


 エリーは戦闘開始の少し前から、怪しい空気を察知して『すばやさの歌』の重ねがけをくり返している。


 数々の戦闘をくぐり抜けてきた俺達にとっては、砲弾など何の意味もない。しかし困ったな。ゲームではケインと戦略飛空艇師団『黒い翼』は、レジスタンスにとってはとても重要な立ち位置になるんだよな。


 完全な敵なら飛空艇を沈めてしまえば良いのだけど……そうすると、ゲームの流れと大きく変わって今後ジョアーク帝国の皇帝コムゲーンを倒すのが難しくなってしまうかもしれない。


「ルイ! 飛空艇を落とすぞ!」


「待ってくれイーリアス! できればお互い無事に戦闘を終結させたい!」


 どうする!?


 考えろ俺!


 あ!


 土の大輝石解放イベントで活躍してもらう予定だった『先生』ならなんとかなるか!?


「シーラ! 大先生の出番だ! 先生をお願いしやす」


「わかった! せんせぇ、おねげぇしやす! ティボーンせんせぇ召喚!」


 特殊モンスター、ティボーン先生のご登場だ!!


 ふぅ〜ん!!

 ふぅ〜ん!!


 巨大なティボーン先生のものすごく荒い鼻息で、『黒い翼』の飛空艇が大きく揺れる!


 そのまま次々に吹き飛ばされて戦線離脱していった!


 クシャルト大陸とアラーユ大陸の間にあるウボウフ海峡での、シーラと聖竜王ファーヴニルによるティボーン先生を()()した後の処理として、オクトロス同様に召喚獣化していたのが役立ったな。

  

 ティボーン先生の鼻息の荒さに耐えられたのは、ケイン団長が乗る『黒い翼』の旗艦のみだ。助っ人として一仕事終えたティボーン先生は、再び星霊(アストラル)界へと帰っていった。


 鼻息に耐えきった『黒い翼』の旗艦では、ケインが怒り心頭の様子で何か叫んでいる。


『黒い翼』の旗艦から何かが勢いよく飛び立った!

  

 更にケインが船べりでいったん大きくしゃがんだかと思うと、大ジャンプしてきた!


 ケインの職業(ジョブ)は竜騎士だ!

 まさかこの距離で飛べるのか!?

 本編の補足ですが、ルイの事を泥棒と呼んでいるくだりは、『第69話エリート帝国兵』での無線のやり取りがあったためです。


 いつも応援していただきありがとうございます。

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