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美少女モンクにTS転生した俺はとにかく殴る!たまに蹴る!〜底辺の脳筋ジョブと言われたが筋肉を極め知識チートで無双する〜  作者: 大木げん
第四部 美少女モンクと大魔王

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第119話 友の復活

 ついに七つの王孵(おうぶ)がそろった!


 これで俺達の願いも叶うはずだ!


 クシャルト大陸とアラーユ大陸の間にあるウボウフ海峡での、シーラと聖竜王ファーヴニルによる後処理も終わったので、再び針路を南西にとる。


 飛空艇ミューズ号は順調に進み、最後の一つ紫王孵(ぱーぷるおうぶ)をもってアイレスランドの祠へと入った。


「「とまりなさい」」


「「おはいりなさい」」


 双子の精霊セイとレイのお決まりのセリフを受けながら祠の中に入ると、今回手に入れた紫王孵(ぱーぷるおうぶ)を対応する台座へと据え置いた。


「「おお! 七つの王孵(おうぶ)がついにそろいました! 神鳥の目覚めも近いでしょう!」」

 

 しばらくすると神鳥の卵に赤、橙、黄、緑、青、藍そして紫の、合計七つの色の光が柔らかく降り注ぎ始めた。とてもあたたかくて心地良い光だ。


 別々だった七つの光はだんだんと一つにまとまっていき、輝く虹色のシャワーとなってより強く、あたたかく神鳥の卵へと降り注いだ!


 カッ!!


 目も開けられないほど、より強く瞬間的に輝いた!


 いよいよ神鳥の孵化が始まる!




 ……しかし神鳥の卵にはなんの変化もなかった。


 あれ?


 ゲームでは、この後に火の鳥の復活ムービーが流れるはずなんだけど……?


「「なんということでしょう」」


 双子の精霊セイとレイが(なげ)き始めた。


 なんだ!?


 どうなっているんだ!? 


「「あの地脈を通じての神鳥の卵への攻撃は、わたしたちが思っていたよりも、大きく卵の中の神鳥の魂を傷付けていたようです。神鳥の魂の鼓動が弱まっています。このままでは千年待っても神鳥の孵化は始まらないでしょう」」


「な、なんだと!?」


「それじゃあザックは……」


「なんとかならないものだろうか!?」

 

「ザックとせかいはどうなってしまうの?」


「千年も待てないにゃ」


 とんでもない事になってしまった。俺達のザック復活の最後の望みは絶たれてしまったのか?


 インベントリから取り出したザックの小輝石(クリスタル)は、あれほど透明で強く輝いていたのに、少しくすんで輝きも弱くなってしまっていた。


「ザック……」


 手のひらに小輝石(クリスタル)を乗せて、心の中でザックの復活を可能にする他の手段は無いものかと、一生懸命にゲーム知識をふりしぼりながら考えていると、小輝石(クリスタル)がふわりと浮き上がった。


 今度はなんだ!?


「「おお! 神鳥の魂と、その小輝石(クリスタル)の核となる魂が引き合っています!」」


「え!?」


 何が起こるか分からないのは怖いので、慌ててザックの小輝石(クリスタル)を掴もうとしたが、それよりも一瞬早く、ザックの小輝石(クリスタル)はヒュンと神鳥の卵にぶつかった。


「あ!?」


 ぶつかったかと思いきや、ザックの小輝石(クリスタル)は音もなく神鳥の卵に吸い込まれていく!


 神鳥の卵に再び七つの光が降り注ぎ始めた。


 七つの光はだんだんと一つにまとまっていき、輝く虹色のシャワーとなってより強く、あたたかく神鳥の卵へと降り注いだ!


 カッ!!


 目も開けられないほど、より強く瞬間的に輝いた!


 ピシッ! ピシピシッ!


 卵の殻に次々にひびが入っていく!

 神鳥の孵化(ふか)が始まった!


 ピシッ! ピシピシッ! ピシッ!

 

「ピエェ〜〜!!」


 産まれた!


 ついに神鳥が復活した!


 大きな大きな赤いヒナが(かえ)った!


 神鳥のヒナは、「ピエッ!」と一声鳴くと、よちよち歩き出し、赤王孵(れっどおうぶ)にたどり着くと、赤王孵(れっどおうぶ)を一口で丸呑みにした。


 しばらくすると、神鳥のヒナの体がカッ! と光り、少し大きくなった。大きくなった神鳥のヒナはたくましい足どりで、橙、黄、緑、青、藍と次々に王孵(おうぶ)を丸呑みにしていった。


 一つ王孵(おうぶ)を食べるごとに、より大きく、よりたくましく成長していく。すでに神鳥は、もはやヒナではない。

 

 そして最後の紫王孵(ぱーぷるおうぶ)を食べ終わると、ひときわ強く虹色に光り輝いた後に、全長20メートル程の立派な巨体へと成長した。


 大空を舞うのに適した雄々しいフォルムをしており、体色は燃えるような赤だ。『火の鳥』『不死鳥』と呼ぶにふさわしい見た目になった。


 だがザックはどうなってしまったのだろう。


「こんにちは神鳥さん……俺の事がわかるかな?」


 かすかな期待を込めて、おずおずと尋ねてみる。


「ぴえぇ〜!」


「あなたは神鳥なのかな」


「ぴえぇ〜!」


 頷く神鳥。


「それとも……ザック?」


「ぴえぇ〜!」


 再び頷く神鳥。


 神鳥でもありザックでもある……ということかな?

 都合が良すぎる解釈だろうか?


 急に神鳥の体がカッ! と光ると体が縮んで、チョコザ程の大きさになった!


 神鳥が俺にすり寄って来た。ザックをいつも撫でていた時のように撫でてみる。


「ぴえぇ!」


 嬉しそうに鳴く神鳥。


「ザック。って呼んでもいい?」


 再び、嬉しそうに鳴く神鳥。こくりと首を縦にふり頷いている。


「ザックぅ〜!!」


 涙が溢れてくる。身体は違うかもしれないが、ザックが蘇ってきてくれた。うぅ……言葉にならない嬉しさがある。


 チョコと、シーラがザックに飛びつき、もみくちゃになっている。エリー、イーリアス、ミーニャも涙を流して喜んでくれている。


『チョコザ』のザック改め、『不死鳥(フェニックス)』のザックが再び俺達の仲間になった。

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