第109話 マーダ神殿の出会い
想定外だった奇御魂神社でのケンタジードとの戦闘がおわり、女性王太子ベアトリスと火の巫女ホルンから正式に火の国の国宝である奇御魂の盾を貸してもらう。
俺が死ぬまでの間にちゃんと返しに来ようと思っている。それまでに大変だろうけど、神社の再建頑張ってね。
ソーア大火山からケンタジードまでの戦いで、俺達ルイパーティのレベルは、俺81→90、エリー81→90、イーリアス46→66、シーラ66→80、ミーニャ93→99、チョコ79→88、ザック79→88、カサンドラ58→59とそれぞれ上がった。
ミーニャのレベルがカンストしたので、転職をする為にもう一度マーダ神殿へと、飛空艇ミューズ号で向かう。火の国の面々に別れを告げて、楽しい空の旅へと出発だ。
南東の方角へと、遮る物のない広大な海の上空をどんどん突き進んで行く。
ミューズ号の中で色々と考察した結果、前衛三人の内、俺はホークトナックル、イーリアスは鬼面とそれぞれ攻撃回数を増やす装備を持っているので、『狩人免許』はミーニャが装備する事になった。
『星降る指輪』は、誰が装備するのが一番良いというのは無理だった。魔法が効果的な場合にはシーラ、遠距離で物理攻撃が必要な場合にはイーリアス、たくさんぬすむ場合はミーニャ、といった感じで、固定装備とせずに状況に合わせて装備者を変えることにした。
破邪の剣はモードチェンジしてナイフになってミーニャが装備し、奇御魂の盾はモードチェンジしてエリーが装備外のアイテムとして持ち歩く事になった。
破邪の剣は通常の攻撃力以外にダメージ判定に加算される参照パラメーターが、『素早さ』と『器用』なので、そのステータス値が高いミーニャが装備する事により、ラストダンジョンでも問題なく使える最強武器の一角へと上り詰めた。
奇御魂の盾も、勝手にタイミングを見計らって絶壁愛で仲間を守ってくれるらしいので、ゲームではなく現実世界となった事で起こった嬉しい変化だ。
マーダ神殿にもっとも近付いた所で飛空艇ミューズ号を着陸させて、俺達パーティーを降ろしてもらった。ここからはチョコザでの移動になる。
しばらくチョコザで爆走すると、特に問題無くマーダ神殿へとたどり着いたので、前回の時と同じように転職希望者の列へと並んだ。
今回はマーダ神殿にいつもいる、ぴちぴちギャルになりたがっていた爺さんとおっさんの二人組はいなかった。いなきゃいないでどうなってしまったのかが凄く気になる二人組だな。
しばらくの間並んで待っていると、ズドドドドドっという駆け足の音と共に、奴が現れた!
「おおっ! やはり! 我妻ルイよ! また会えて嬉しいぞ!」
「妻じゃねーし!」
「今はまだ妻ではないが、もうじきだろう?」
「断じて違う!」
「ふっ。どうやらフラれたようだなゴライア。では次は俺の番だな。ルイ、エリー、そちらのパーティー皆、今まで本当にすまなかった! 簡単に許してもらえるとは思っていないが、このとおり心から謝る!」
頭が膝にくっつくほどの角度で頭を下げた勇者アイスが猛烈な勢いで謝ってきた。
「エリー?」
「頭を上げて、アイス君。無事に回復して戻って来れたんだね。良かった。色々あったけど、追放もルイちゃんと出会えたきっかけだったし、きちんと謝ってくれるなら、私はもう良いよ」
「良かったな、エリーが許してやるって言うんなら俺も許そう。今後はもう俺達に迷惑かけてくるんじゃないぞ。復活できて良かったな。これからはもっと勇者らしく生きろよ」
「ああ、二人共ありがとう。これからは気を付けよう。それと、ルイにはもう一つ言わなきゃいけないことがあるんだ」
「ん? なんだ?」
「俺の第二夫人になってくれ!」
「………………頭は大丈夫か? ステラ! はやく回復魔法をかけてやってくれ!」
「ルイさん、頭は大丈夫よ。勇者君にも一応理由があるのよ」
青魔道士ステラが苦笑いしながらそう言った。
「理由?」
「ルイ、俺は竜伝山にいる時に、魂の世界で神に会ったんだ。その神が、ルイは俺と結婚させる為に別な世界からわざわざ連れてきてくれた存在だから、二番目でも三番目でも良いから必ず娶るのじゃ、と言ったんだ。神託じゃと言ってな。悪いが一番はローザだから二番目で我慢してくれ!」
のじゃ??
「おい、アイス。その神って、まさか……着物という火の国の服を着ていて、幼い可愛らしい顔をしていて、のじゃのじゃ言う奴じゃなかろうな??」
「そう! ノジャノジャ神だ! そこまで知っているという事は、やはりルイは俺の嫁なんだな! 第二夫人として娶ってやるからな、安心してくれ! 神託だ! 神託は本当だった!」
のじゃロリぃ!!!




