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美少女モンクにTS転生した俺はとにかく殴る!たまに蹴る!〜底辺の脳筋ジョブと言われたが筋肉を極め知識チートで無双する〜  作者: 大木げん
第三部 美少女モンクと四天王

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 閑話  一方その頃勇者パーティーは・・・その8

 実は聖竜王だったファーブニルを討伐せんとしたあの日、勇者アイスは魔王軍の策略により超人魔王として生まれ変わった。だがルイパーティーに敗れたことで人間に戻る事ができたが、魂が深く傷付いてずっと寝たきりの状態が続いている。


 そんな状況の中、エンダーランド王国と教会からの斡旋で、騎士(ナイト)ゴライアが連れてきた青魔道士ステラは、勇者パーティーに一時的に加入する事が決まった。


『真実の鏡』と、ルイパーティーの協力による『破邪の剣』とでのダブルチェックを済ませた事で、反対していた黒魔道士ローザも渋々ながら納得している。正式に加入するかどうかは勇者アイスが目覚めてからという事で話は纏まったのであった。


 勇者アイスが寝たきりになってより、今日で十日が経過したが一向に症状は回復しなかった。そこで今までに三人で相談していた通り、最後の可能性に賭けて、ゴライアが聖竜王ファーブニルに教わった竜伝山に向かう事にした。


 聖竜王いわく『勇者の復活を望むのなら、ズイーブト大陸の竜伝山に行ってみるとよい。真の勇者であれば復活の望みが有る』との事であった。 


 この十日の間に、S級冒険者でもある経験豊富なステラとゴライアが竜伝山についての情報を調べてきたところ、竜伝山は中央高山地帯のど真ん中にある事がわかった。


 だが飛空艇では直接行くことができず、せいぜいチョコザ一頭分の道幅しかない為に馬車は使えないそうだ。おまけに、中央高山地帯は高レベルの野生のモンスターの巣窟でもある。


 ローザはこの話を聞いてからチョコザの騎乗の猛特訓を始めた。初めは乗れなかったローザだが、勇者様の為に、とやる気を最大限に出した事で、みるみる内に上達した。そして遂に背中に勇者アイスを縛り付けた状態でも乗りこなす事に成功したのだった。


 竜伝山に向かうメンバーは、アイス、ゴライア、ローザ、ステラ、ノーマルのチョコザ二頭と、魔獣使いでもあるステラの従魔の赤チョコザのアグニと青チョコザのアクゥに決まった。メンバーと言ってもアイスは寝たきりであるが。


 飛空艇グローリー号で北東の中央高山地帯へと向かい、高山地帯に接近したところで飛空艇からは降りた。ここから先は狭い山道をチョコザで一列になって竜伝山の山頂までのアタックとなる。


 先頭は戦闘に特化したチョコザの進化である赤チョコザのアグニ。そこから青チョコザのアクゥに騎乗したステラ、チョコザに騎乗したローザとアイス、バックアタックを警戒して最後尾にチョコザに騎乗したゴライアという編成での出発だった。


 山頂へと向かう道中、次々とモンスターが襲いかかってきたが、ほとんどが赤チョコザのアグニと青魔道士ステラ、青チョコザのアクゥのステラ組トリオが倒していった。S級冒険者の実力は伊達ではなく、ステラはかなり強かった。


「いやー、この山は良いわね。この私でも初めて見るモンスターが多くて、新しい青魔法をバンバン覚える事ができているわ!」


「助かってはいるが、ボムムの合体した大ボムムの自爆攻撃まであえて受ける事は無いだろう。肝が冷えたぞ」


「あら、心配してくれているの、ゴライア? 確かにあれは危なかったわね。私の防御力とHPが上回っているとの予測の元で自爆を受けたんだけど、結構ギリギリだったわ。お陰で自爆もラーニングできたから良かったけど」


「青魔法で覚える事ができるのは結構だが、自爆は使ってくれるなよ」


「ふふふ。まだまだわかっていないわね、自爆はロマンよ。ピンチの時の最後の切り札で仲間を助け、敵を葬る。最高の散り様じゃない」


「俺も全力で戦うから死んでくれるなと言っているのだ。仲間を護るのが騎士(ナイト)の仕事だ」


「ふふふ、ありがとう。気をつけるわ」




 竜伝山の山頂に近づくにつれて、現れるモンスターも強くなっていった。


 途中からはゴライア、ローザも参戦してパーティー全員で戦っていった。ゴライアが敵の攻撃からパーティーを守り、ローザが極大魔法をぶっ放す。勇者パーティーのいつもの戦い方だ。ステラも青魔法と白魔法も駆使して攻撃と回復をした。




 延々と続くモンスターの襲撃を跳ね除けつつ進むこと五日。遂に竜伝山の山頂にたどり着いた。そこには小さな(ほこら)がぽつんとあった。


 パーティー全員が入るとやや狭く感じる大きさの祠の中には、竜とそれに立ち向かう人間の像があり、その手前には台座があった。


 台座に勇者アイスを寝かせ、ローザ、ゴライア、ステラは一心に祈りを捧げた。 


 突然、周囲の壁に備えられていた松明(たいまつ)にボッ、ボッ、ボッっと一本ずつ火がついていった。誰も火を付ける者などいないというのに、松明の点火は続き祠を一周した。 


 そして、頭上からどこからともなく一筋の光が横たわっている勇者アイスに降り注ぐのだった。



  

 ◇◇◇




 真っ白な魂の世界で、こんこんと眠り続ける勇者アイスの魂に温かな光が差し込んだ。光は、優しく優しく勇者アイスの魂を癒やす。



 真っ白な世界で、何かに呼び掛けられている様な感覚を感じ取った勇者アイスの魂はゆっくりと目をあけた。


「……。……勇者よ」


 どことなく幼い感じのする声が背後から聞こえてきた。


「おお、勇者よ。死んでしまうとは情けない」


 

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