風を治すクスリ
「風が風邪をひいたら消えてなくなっちゃった。どうして?
答、かぜ-かぜ=0だから」
面白いなぞなぞだったから同級生の谷口に言って。谷口も僕も別の友達に言って。
口から口へ伝わったそのなぞなぞは町中の小学生に拡がった。
口から発したことって本当になるらしい。
なんと風が町から消えてしまったんだ。
洗濯物が飛ばされないのは良かったけど、公園の木は少しも揺れなくて変だし、高台に登ってもちっとも気持ちよくない。天気もおかしい。
大人たちが巨大な扇風機を運んできたりしたけど、町に風は起きなかった。
「風、また吹いてほしいな」
下校途中に僕は谷口と、たんぽぽの綿毛に息を吹きかけた。
息に乗って飛び上がった綿毛はフワフワと空気の中を泳いでいった。
僕たちは顔を見合わせた。
息で風が起きてる?
友達みんなで綿毛を吹いた。綿毛がなくなったらシャボン玉を吹いてみた。
空に向かって飛んでいく七色の玉を見た町中の子どもたちが、一斉にシャボン玉を吹いた。
舞い上がるシャボン玉で空がいっぱいになったとき、風がごおっと巻き起こって輝きが四方八方へ拡がっていった。
久しぶりに髪や頬が気持ちよく撫でられる。
そうだった、風はこうして吹くものなんだ。
了
お読みいただきありがとうございました。
今回はあれこれテーマを重ね掛けしてみました。
でも、目標の410字というわけにはいかず500字です~(^_^;)
内容を重んじたので、文字数は……うんがっぐっぐw
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