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お姫様ラッコ

出されたお題は「お姫様ラッコ」です。


挿絵(By みてみん)

この国の王子は家来を困らせてばかり。かくれんぼしたら出てこないし、肖像画に落書きするし。だからいたずら王子と呼ばれてるって、漁師たちが言ってた。

どんな子なのかなって思ってたけど、私が見た王子は想像と違ってた。だって舟べりでそっと泣いてたから。

波間にいる私に気がついて、彼は優しく手招きしてくれた。


「ちびラッコよ聞いておくれ。父母は忙しく周囲は家来だけ。本当は寂しいんだ。おまえ友達になってくれるかい?」


それから彼が船を出すたびに私は傍で遊んだ。人間とラッコだけれど、親友になったの。



月日が経ち彼は精悍な若者になった。街の娘達はみんな彼に夢中。もちろん私も! ……でも私はラッコ。

想い募った私は、海の魔女に頼んで人間に変えてもらったの。

魔女は私に忠告した。「もしもお姫様抱っこされたら、ラッコに戻ってしまうよ」



城に勤めるとすぐ、彼は私を見初めた。「艶やかな瞳が親友に似てる」って。だって私だもの! でもそれは言えない。

私たちはあっという間に熱々の恋仲になった。だけどお姫様抱っこには注意したわ。

或る日ついに彼が求婚してくれたの! はいと頷き幸せに酔ってたら、体がふわりと浮いた。

ああなんてこと! 喜んだ彼にお姫様抱っこされてしまったのだ……!

彼の腕の上には、ラッコになった私。

彼は驚きで、私は絶望で、声も出ない。

本当の姿を見られた私は彼から逃れようとした。

でも彼は私を強く抱きしめて、こう言ってくれたの。


「君がラッコでも構わない。だって僕は、いたずラッコだから」








ちなみにお姫様抱っこから降ろされたら、人間に戻ったそうですw


※この作品が声のお仕事をされている吉史あん様によって、朗読配信されています。物語の世界が朗読によって生き生きした世界に変わっています……! 約3分とコンパクトなので、もしよろしかったら是非ご視聴ください。オチの後の画面にもご注目(n*´ω`*n)

https://t.co/oK6urKXK1d

吉史あん様「ショートショート異空間333歩(63)お姫様ラッコ」


下の広告のさらに下、作者他作品へのリンクがあります。

いろいろ書いていますので、もしよかったら覗いてみてください♪

作者おススメです。「短編」をクリック!

第11回、第12回ネット小説大賞一次通過作品「ひい爺とオレの海賊船」

第4回ステキブンゲイ大賞一次通過作品「桜舞う物語 旅立ちの日に」

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― 新着の感想 ―
御姫様とラッコの2つの姿があるとは、正しく一粒で二度おいしいという感じがしますね。 何しろ現代日本でラッコを見に行きたかったら、日本で唯一ラッコを育てている鳥羽水族館に行くより他はありませんからね。 …
今回は人魚姫をモチーフにした作品でしたね。 条件がお姫様抱っこしたらというところがまず可愛い!! 魔女はお姫様抱っこをしてもらって、真の姿で愛してもらうように援助したのかなとさえ思ってしまいました。 …
 とっても可愛くて、素敵なお話でした! 「お姫様抱っこから降ろされたら、人間に戻った」←後書きを拝読して安心すると同時に、ちょっと吹きました(笑)。
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