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超ショートショートはじめました  作者: あき伽耶


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3/29

―人生は洗濯の連続― 「私を生きるには」 

出された題は『人生は洗濯の連続』です。


挿絵(By みてみん)




私はタライ舟に乗り川の流れに揺られていた。

幸せな人生だったのになぜか不満で、今回も成仏できなかった。次こそはとループしようとしたら神様に命じられた。


「このままだとずっとループを繰り返しますよ。だから、あなたがこれだと選んだ桃を拾って洗濯してからになさい」と。


他に人影はなく、桃は上流からどんどん流れてきていた。

困った、どれを拾ったらいいのかわからない。私はいつだって人に決めてもらって生きてきた。そうすれば、私が選ぶよりも物事はうまくいくのだから。

でも頼る人はここには誰もいない。


恐る恐る一番近くの小さな桃を拾ってみた。すると桃は二つに割れて、中から赤ん坊の服が出てきた。小さくてすぐに洗い終えてしまったので、なんだか物足りなかった。

次は大きい桃を拾ったら、少し傷がついていた。中からはYシャツが出てきた。襟首の汚れが気になって丁寧に洗うと、かなり綺麗に仕上がった。

やったぞと嬉しくなって、今度は歪な桃を選んでみた。出てきた泥まみれの靴下と挌闘した。洗い上がりは白いとはいえなかったけれど、清々しい気持ちに満たされた。


私は今まで感じたことのない自分の中の手応えに夢中になって、次から次に桃を選んでは洗濯しつづけた。


ふと気づくと、体ほどの大きな桃がタライの横に停まっていた。

無性にその大きな桃に乗りたくなり膝を抱えて座ると、柔らかな桃の実の中へ体がすうと沈んだ。不思議な安心感に満たされ、眠りに落ちていく。

桃が川の流れに押されてどんぶらこと動き出す。


「もうすぐあなたの人生が始まるよ」

と遠くで神様の声が聞こえた気がした。






(了)



お読みくださりありがとうございました。

今回はショートショートならではの「不思議なお話」でした。


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― 新着の感想 ―
洗濯と選択をかけた面白い作品ですね。 これが桃太郎となり、自ら鬼退治の道を選ぶと思うと進歩したんだなと感じました。
 転生前に、前世の罪の贖罪を、洗濯は表しているのかなぁ? なんて。  桃太郎のパロディ以上のメタファーをさぐってしまいますね。
感想書く前に改稿されてしまいました。 Ajuは前のでもよかったですよ。 ワイシャツとか泥だらけの靴下とか入ってたので、似てるけど、もしかしたら桃太郎とは違う人生を送るのかも・・・。って想像がふくらみま…
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