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超ショートショートはじめました  作者: あき伽耶


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告りびと

挿絵(By みてみん)

出されたお題は「告りびと」です。そして今回も副お題は「初恋」です。

姿が見えた途端、胸が弾んだ。

間違いない、彼だわ。

娘時代に戻ったかのような自分の感情に戸惑い、恥じらう。


告りびとたちは、それぞれの待ち人を迎えいれていた。

その群れの中に、彼を見つけた。


「どうしても伝えたくて、君を待ってた」


彼は熱を帯びた眼差しで、私を見つめる。


「自分の気持ちを偽り続けたこと、後悔してるんだ。本当は幼い頃からずっと、僕は君に恋してた」


嬉し涙が溢れて、彼の姿が滲む。

――そう、もう誰の目も気にしなくていい。


「……私もよ」


私もまた隠してきた本音を、初めて口にした。


「今度こそ、僕と一緒にいてくれるかい?」


微笑んだ私は、ゆっくりと頷いた。

彼の差し出した手につかまって、小舟を降りた。

乗り手のいなくなった小舟は音もなく川面を滑り、私たちが長い年月を過ごした対岸へと戻っていった。

握り返された彼の力強い手に、心は安らぎ、満たされていく。


「さあ、行こうか」


どこまでもどこまでも広がる美しい花畑の小道を、私は彼と共に歩き出した。





(了)

今回は静かなオチでした。

あり得ない設定、あり得ない世界観で、ファンタジー、シリアス、コメディ、ホラーとなんでも描けるのがショートショートの魅力ですね!(*^^*)


あき伽耶の他作品は、下の広告を飛び越えた先の子猫のバナーからどうぞ。軽いタッチの作品からシリアスまでいろいろ書いています(=^・^=)

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― 新着の感想 ―
静かで美しいお話ですね。 長く会えないままだった二人の物語のラストみたいな感じもしました。 素敵なショートショートをありがとうございます。
しっとり系のショートショートも素敵ですね……! 毎回思うのですが、数百字で書かれたとは思えないくらい心情や情景がたっぷり伝わってきて、今回はじんときちゃいました。 小舟がやってきたほうの世界を離れて、…
コメディも落語調も面白いけど、切ない系はやっぱり書き込みたくなってしまいます。 こんなに短いのに、しっとり。あいかわらずお上手ですね~……ため息。 お題、面白いですね。このお題だと悲劇(?)を連想せ…
感想一覧
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