夜からの手紙
「悩みの相談に乗ってほしい」と夜から頼まれた昼は、いつものようにオンラインで画面越しに夜と向かい合った。
ネガティブ思考で陰キャの夜の顔は、相変わらず薄暗い画面のせいでよく見えなかったが、おどおどとした声の調子はいっそう沈んでいた。
「昼君、僕、エ、エゴサってやつ? やってみたらさ、昼と夜では、やっぱり昼君の方が断然人気者だったよ……」
いきなりなんだと面食らったが、腐れ縁の夜が俺を羨んでいるのは知っていたので、黙って聞いていた。
「昼はさ、多くの人があちこち出かけて活動できて、皆すごく楽しいんだって。でも夜はさ、皆家に入っちゃうし子どもは暗くて怖がるし……なにより夜は寂しいんだって。……僕は人気ないんだ」
お前にもいいとこあるだろと励まそうとして俺は口を開きかけたが、それに気づかない夜は、急に勢い込んで話を続けた。
「だけど名案を閃いてね! もっと皆に僕を知ってもらおうと、頑張って朗らかで気さくな手紙を一気に書き上げて、皆に送ってみたんだよ!」
まさに深夜のハイテンションってやつだな。
「……だけど、結局ほとんど反応が無くて」と、再び夜の沈んだ声。「すごく良い手紙なのにどうして」
首を傾げる夜から、手紙の文面を見せられた俺は固まった。
こんばんは!
突然連絡してごめん、驚かせちゃったかな。
僕のことわかる? 毎日そばにいるんだけど……
仲良くなりたくて、思い切ってメールしちゃいました。
よかったら連絡してね、ゼッタイ返事します!
夜より
やっぱり夜だけに、闇が深い。
(了)
お読みくださり、どうもありがとうございました。
ショートショート初挑戦です。
最近この手のメールは少ない気がしますが……?
下の広告のさらに下、作者他作品へのリンクがあります。
いろいろ書いていますので、もしよかったら覗いてみてください♪
これは、怪しいお誘いではございません( ´艸`)