決闘年越しそば
ここは麺流島。
今年も蕎麦とうどんは年越しの座をかけて決闘する。
「毎年よくやるわ」と内心は呆れてるけど、二人から「拉麺ちゃんに見届けて欲しい」と呼び出されて悪い気はしない。
ウフフ魅力絶大、世界が私に夢中♡
二人は昔から日本一を競ってる。
天下統一に大晦日掌握は必須だけど、歴史に後押しされて蕎麦が君臨。
でもご当地ブームに乗ってるうどんは強気で臨む。
「今年こそ手打ちにしてくれる!」
「お前もな! 海苔の如く刻んでやる!」
「かまぼっこぼこにするぞ!」
けれど、蕎麦のキレ良い動きにうどんは追い詰められた。
シメは蕎麦の一言だった。
「……知ってるぞ、年越しの座を狙うふりして「年明けうどん」デビューを画策してるってな!」
「なぜそれを⁉」
「ご麺~喋っちゃったの」と私はトロリ煮卵の瞳でうどんを見つめた。
「だって年明けうどんて素敵すぎ。卵乗せで見事な「雲海に浮かぶ初日の出」よ♡」
釜揚げ状態になったうどんから湯気が上る。
蕎麦の目配せに私は熱油視線を返した。
うどんはなんとでもなるし、淡白で頼りないけど蕎麦には年越しの座を守ってもらわなきゃ。
いずれ私が天下統一するし。
簡単よ、昔の名前に戻すだけ。
「中華そば」ってね。
(了)
お読みくださりありがとうございました。
うーむ、今回はほぼ落語w
ラーメンはホント大人気。美味しさに騙されて太ってしまいますw
(496字)
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真面目から不真面目までいろいろ書いてます。よかったら遊びに来てくださいね♪













