地獄の城下町
アルドside
よし………無事に城の中に入ることができた。ライトの作戦のおかげだな。
まあそれはいいとして。
「あっつい……」と、ソラ。
いくら城壁の中とはいえども周りは溶岩。
そもそもここは現世……つまり俺らがいる世界で生まれた人がいるべき場所ではない。
…………まあ俺は火炎耐性や適性があるから大丈夫だが。
さっきそれに気づいて、全員の火炎耐性を強化した。
これでしばらくは大丈夫だろう。もって………3日が限度かな。
3日経ったら一度戻って火炎耐性の御守りをとってこなければならない。
いくら火炎耐性を強化したとはいえ、暑いもんは暑い。
だから俺が昔、世界中を旅していた時に使っていた溶けない保冷剤も取ってこよう。
俺は大丈夫だが他の奴らがやばそうだ。……………冷気をまとわせてみるか。
「【クリエイター 冷気創造】」
「あ、なんか涼しくなった……………」
成功したみたいだな。良かった良かった。
これである程度は大丈夫だが冷気は誰かと話すときには解除しなければならない。
……冷気をまとっているとバレてしまうかもしれないからな。
そのことを全員に伝えてから散策し始めた。
ちなみに寝る場所は俺がクリエイターを使って作った空間である。
それぞれの部屋にベッドやテーブル、椅子などを置いてある。
食べ物は現世と変わらないし、通貨も変わらないので食事は自分で買ってもらうことにした。
…………とりあえずご飯を買うついでに情報収集をしよう。
俺はアジトから出て、前に行ったことがある市場に行くことにした。
あそこの食べ物は美味しいからな。絶品といっても過言ではない。
ちなみにその市場だけではなく、全体的にこの世界はお肉が美味しい。
やっぱり弱肉強食の世界だからかな。………………まあ美味しければそれでいいか。
前回行ったレストランに着いた。レストランは賑わっていて、少し待つことになった。
ま、仕方がない。ここは美味しいからな。混むのも必然だろう。
‥………………さてさて。本来の目的を忘れてはならない。
俺は情報収集をするために聴力を強化する。するとこんな声が聞こえてきた。
「ねえねえ知ってる?次のこの国の王様、決まったらしいよ。」
「あれ?でも行方不明じゃなかったっけ?」
「それが、現世まで行って取り返してきたらしいよ。」
「へー。そうなんだ。それで?」
「王様候補、現世にいる人に洗脳されてて現世に返せって言ってるそうよ。
それで、王様候補をそんな風にした国を今度潰すそうよ」
「物騒だけれど仕方ないわよね………」
そこで会話は終わったが今ので確信を得られた。
…………おそらく王様候補というのはレイのことだろう。
この世界では一番魔力量が多く、能力が強いものが王となる。強制的にな。
そして多分今度潰す国というのはクリスタル王国のことだろう。
にしても洗脳とは酷いな。そんなことするわけないのに。
…………………そもそも…………………レイを捨てたお前らが悪いだろ……………
いまさらレイを王様候補だと?ふざけるのも大概にしろ。
「次のお客様どうぞ〜」
その声で我に帰る。しまったな。怒りのあまり、握った手から血が出ていた。
俺はバレないように手を治す。……ご飯を食べたらみんなに知らせよう。
あたりにいい匂いがたちこめる店内に入る。
俺はステーキを頼んでどうやって城に侵入するかを考えた。
しばらくして料理が運ばれてきた。
いつもならゆっくり食べるのだが、今回は少し急いで食べた。
こんなところに時間をかけるわけにはいかない。
早く戻って知らせなければ‥…………………。
食べ終わって席を立ち、お金を払って急いで帰る。
アジトに着いた。……中に入るとみんながご飯を食べていた。
ご飯が全員食べ終わったあとで話すことにした。