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格闘タイプのお姉さんが護衛と引き換えに私の体を要求して来るんだけど!? ~意外とウブな芋ジャー女ドラゴンに溺愛されるキケンな二人暮らし~  作者: 枕頭皮
第7話 貴女は一人じゃない。そのことを忘れないでください ~血影衆殺手 東風 & 南風 登場~
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7-3

~~~


 そんな風に三人で騒ぎながら遊んでいるうちに、入場から2時間ほどが過ぎた。愛梨ちゃんは下世話なことばっかり聞いて来るし、その度にメメちゃんは物に当たったり私を威圧して来たりするけど、それでも久々に二人と過ごす時間は楽しかった。メリーゴーラウンドにハシャぐメメちゃんを何枚も写真に取ったり、調子に乗ってコーヒーカップを爆転させ目を回す愛梨ちゃんを指差して笑ったり、3回転もするジェットコースターで腹の底から叫んだり。その間殺し屋の姿は影も見えず……もしかしたら今日はこのまま無事に終わるんじゃないかと思うくらい平穏な時間が続いた。


「かお、愛梨ちゃん、次あれ行こっ!」


 メメちゃんも何だかんだ割り切って楽しんでるみたい。そんな彼女が私を引っ張って行ったのは、何やらおどろおどろしい看板が掲げられた「ホラーハウス」の前だった。


「これ最近リニューアルしたんだよ。SNSでもメチャ評判いいし、これは行くっきゃないでしょ♪」


「え〜……」


 ホラーハウスって言うけど要はお化け屋敷だ。流石に作り物のお化けを怖がれる歳じゃないし、なんかリアクションを要求されるみたいで私は好きじゃないんだよね。


「兼道さんは怖くて入りたくないと申しております」


「ばっ……違うから! 幼稚で嫌だって言ってるの!」


 失礼な注釈を挟んで来る愛梨ちゃんを一喝し、私はメメちゃんの顔色を見る。私がお化けを怖がってるなんて聞いたら……


「へえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♥」


 ほらもう手遅れ。メメちゃんの目はキラキラしちゃっており、口角からは悪戯心が溢れ出そうなくらいだ。


「そういうことなら絶対に行かなきゃ! あのねあのね、前まではお墓とか置いてある古臭いお化け屋敷だったけど、リニューアルでかなり本格的になってるんだって。だからオトナ〜なかおでも大満足!だよっ♪」


 いやめっちゃ煽るじゃんこの子。


「わかったよしょうがないな……付き合えばいいんでしょ。言っとくけど面白い反応とか悲鳴とか出せないからね? 勝手にガッカリとかされても困るからね?」


 と、私が渋々承諾したことで話は決まり、女3人でお化け屋敷というよくわからない時間が始まった。こういうのって普通カップルなんかが雰囲気づくりに使うものなんじゃないの? まあ私が有しているその手の常識は大体メメちゃんに借りた胸キュン恋愛小説を参考にしてるから当てにならないけどさ。

で、結論から言うと悲鳴はもうめちゃくちゃ上がった。


「んいやああああああああああ~~~~~~~~~~~~~~ッッッ!!!!!!!」


 ただしメメちゃんの悲鳴が。


「やだやだやだなんでなんでなんでぇ~~~~~~!!」


 物陰から飛び出して来た血まみれのチェーンソー男に泣き喚くメメちゃん。いやキミ怖いの駄目なのかよ。


「聞いてない! こんなグロいやつだなんて聞いてないもん!」


 私の腕にしがみつきながら、メメちゃんが半ベソで訴える。成程、彼女の言う通り出て来るお化けの類はチェーンソー男に始まり、ナタを持った仮面の男、ホッケーマスクの怪人、レインコートの殺人鬼と何だか刃物で切りかかって来そうな人ばっかりだ。アトラクションの内装も床に骨が散乱してたり、人皮で作ったと思しき工芸品が壁にかかってたりとやたらグロい。リニューアルで本格的にって、こういうことだったんだ。


「……愛梨ちゃんどう思う? この醜態」


 錯乱して人語も怪しくなりつつあるメメちゃんをなだめるのは諦め、私は愛梨ちゃんにコメントを求めた。


「う~ん、多分だけどSNSで評判だけ見てあんまり下調べはしてなかったんじゃない? まさかこんなスプラッターな感じだとは思わなかったんでしょうね」


 やっぱりそうか。入る前のハシャぎっぷりからして本当に予想外だったんだろうな。幼児退行するメメちゃんも可愛いから別にいいんだけどさ、そんなに強くしがみつくと私の腕に血が通わなくなりそうだよ。


《つづく》

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