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格闘タイプのお姉さんが護衛と引き換えに私の体を要求して来るんだけど!? ~意外とウブな芋ジャー女ドラゴンに溺愛されるキケンな二人暮らし~  作者: 枕頭皮
第1話 わたし、貴女を守ります。だからえっちさせてください ~血影衆殺手 疾風 登場~
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1-8

「がふっ!」


 たまらず上がる顎。曝け出された絶好の急所めがけて、林美夢はキックを放つ。風切り音と共に前蹴りが決まり、刺客は盛大に吹っ飛んだ。


「す、すごい……」


 私は思わずそう呟いていた。愛梨ちゃんは筋肉の話ばかりしていたけど、この林美夢という人はそれだけじゃない。明らかに格闘技を学んでいる。それでもってめちゃくちゃ強いんだ。鍛えてるって、そういうこと!?


「……あなたの動き、以前見たことがあります。日本に伝わる古流の暗殺術。それこそ忍術をルーツとする闇の技ですね」


 私の称賛を背中に受けながら、林美夢はまだ相手から目を逸らさない。見ると刺客は口から血を流しながらなおも立ち上がり、向かって来ようとしている。嘘でしょ? かなりいいのを貰ったように見えたけど、この人タフすぎるよ。


「げほっ、ごほっ……お前こそなかなか珍しい技を使うじゃない。古の中国拳法……いや、その世界においても伝説とされる秘拳の類だ」


「ご明察です。中国は福建省、南少林寺にて学びし南派少林拳。伊達ではないとわかっていただけましたか?」


 林美夢が腰を落とし、足を開いて半身に構える。やっぱり拳法家だったんだ。あの超人的な身体能力を持つ刺客を相手に引けを取っていない。むしろ圧倒している。


「顎の骨を砕いた感覚がありました。退くというのなら止めはしませんが」


 低い声でそう言いながら、林美夢がにじり寄る。刺客は保健室の扉に手をついて体を支えながら、狂ったように笑った。


「あっははははは!! 勝ち誇って情けをかけるっていうの? それさぁ……やる方は気持ちいいけど、やられるとめちゃくちゃ腹立つやつだよねっ!!」


 怒った語気と共に、手槍が投擲される。不意打ちに等しいそれを、林美夢は咄嗟に手刀で叩き落とす。一瞬途切れた視線を戻すと、そこ刺客の姿はない。でも、端から見ていた私には見えていた。


「上〜っ!!」


 私の声にハッとして、林美夢が視線を上げる。果たしてそこには、手槍を囮に大きく跳躍し、今まさに飛び蹴りを放つ刺客の姿があった。当然避けられるわけもなく、林美夢はしっかり顔面にキックをお見舞いされてしまった。


「おぶっ!?」


 たたらを踏み後退する林美夢。その隙を突いて、刺客が連続攻撃を加える。両の手刀を矢継ぎ早に繰り出し、胸を、腹を、ガードしようとした腕をも構わず刺突する。一撃一撃に素手とは思えない鋭さがあるようで、林美夢が顔を歪めている。


「このっ……痛いです!」


 たまらず放った反撃の蹴りが、刺客に脚ごと捕まえられる。


「あっ」


 林美夢の顔が一瞬にして青ざめる。素手での殴り合いにおいて、脚を取られることが絶体のピンチなことぐらい私でもわかる。


「顎骨のお返しに、片膝を貰うよっ!」


 刺客が血まみれの口角をニタリと上げ、林美夢の膝に肘鉄を振り下ろす。壊される……私がそう思った時だった。


「……ぜえええええいっ!!」


 林美夢が雄叫びを上げ、地についた方の足を蹴り上げる。そのまま体を捻り、捕まえられた脚を支点にしてきりもみ回転、強烈な曲芸キックを敵の側頭部に浴びせた。


《つづく》

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