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格闘タイプのお姉さんが護衛と引き換えに私の体を要求して来るんだけど!? ~意外とウブな芋ジャー女ドラゴンに溺愛されるキケンな二人暮らし~  作者: 枕頭皮
第7話 貴女は一人じゃない。そのことを忘れないでください ~血影衆殺手 東風 & 南風 登場~
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7-1

〜〜〜


 林美夢が血影衆の殺手・東風と会敵するより少し前。視点は再び兼道香織に戻る。


〜〜〜


「……だから! 何度も言うけど! 美夢さんとは別に付き合ってるとかそんなんじゃないから!!」


 ウォータースライダーの待機列に、私の熱弁がこだまする。ジャンボリーパークに入場してからそこそこ時間が経過したけど、ここに至るまで敵の兵隊や殺手が襲って来る気配はない。代わりに私を苦しめているのは、メメちゃん愛梨ちゃんによる絶え間ない質問責めだ。


「はいはい、“まだ”付き合ってないってことね。完全に語るに落ちてます〜。本当にありがとうございました〜」


 メメちゃんはさっきからああ言えばこう言うを体現してて、なんかもう絶好調だ。喧嘩のこともあって最初のうちは言葉尻に少しトゲがあったけど、今は私を弄ることを純粋に楽しんでるみたい。良かった……いや決して良くはないけど、無理して遊びに来た甲斐はあったかも。


「まあまあメメちゃん、そこは言わぬが花というやつよ。しかし馴れ初めの話になると露骨に歯切れが悪いわね。香織ちゃんたら、あの王子様と一体どんなインモラルな密約を交わしたのかしら?」


 そして愛梨ちゃんだけど、この人は教師の立場を忘れてすっかり恋バナ収集モードに入っている。自分に浮いた話がないからって趣味悪いぞ。


「誰がインモラルか!」


「かお〜、ムキになると余計怪しいよ? はよゲロっちまえよ♪」


「ええいメメちゃんうるさい!!」


「ひゃ〜〜〜〜♪♪」


 からかって来る顔まで可愛いのはメメちゃんの長所だけど、これじゃ私の喉が枯れる一方だよ。


「しょうがないわねぇ。じゃあ根本的な問題は置いといて、枝葉のことをもっと教えて貰いましょ。美夢さんと過ごす日常の嬉し恥ずかしなアレコレを……ね?」


「あはは、天才じゃ〜〜ん」


 愛梨ちゃんの提案に、メメちゃんがノリノリで賛同する。待機列が地味に進んでるから、喋ってないでキリキリ歩いてくんないかなぁ!?


「覚悟決めな? ウチらを満足させないと今日は帰さないよ?」


「そういうこと。諦めてあたしたちにエンタメを提供しなさい」


 本当に息ぴったりだなこの女子共。


「……ああもうわかったよ。ただし話せることしか話さないからね。こっちにも色々事情があるの」


 とうとう折れる私。入場してからこっちだんまりを決め込んでたけどそろそろ限界だし、美夢さんと一緒に居るそもそもの理由について聞かないでいてくれるならその方が助かるしね。


「「ほう」」


 と、メメちゃんと愛梨ちゃんの声がハモり、4つの瞳が輝きを増す。やっぱり早まったかな私。


「じゃあまず最初の質問。キスはした?」


「してない」


 愛梨ちゃんが初っ端にぶっ込んで来た質問に、私は難なく答えた。


「あらまあ、意外と進展ないのね。じゃあレベルを下げて……手は繋いだ?」


「あー……?」


 手? 手って繋いだっけ? そんな仲良しこよしで歩いた覚えはないんだけど、どうだったっけ。


「え、何? そんな詰まるようなこと? 逆に気になるんだけど」


「待って待って。違うんだって。該当するシチュエーションが思い浮かばないんだってば。ああでも、美夢さんからはよく握って来るかも……?」


 メキッ


 と、薄いプラスチックがひしゃげる音がした。私が回答をした瞬間、メメちゃんが飲み終わったキャラメルラテのカップを握り潰したのだ。


(ひえっ……!?)


 半径1メートル内に緊張が走り、私は声が漏れそうになるのを何とか堪えた。


「あ、ごめん気にしないで。ゴミ箱どこかなぁ……エ〜ン遠いよぉ」


 メメちゃんはそんな風に可愛こぶってるけど、目が笑ってない。


《つづく》

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