97/200
勇者
我はまもなくやってくる勇者に胸を躍らせている。ここまでたどり着けるほどの者だ。その力は疑いようもない。かならずや老いて力を失いつつある我を倒し、そして、我のあとを継ぎ新たなる魔王として君臨してくれるだろう。
我が勇者であったころを思い出す。まさか魔王がこの世界にいる魔物を封じる存在そのものだったのだ。魔物が暴れはじめたのは、魔王の力が弱まったためだったとは。
先代の魔王から教えられた時には信じられなかったが、この「魔王の証あかし」に触れたとたん、すべてが事実だと理解した。
感じるぞ。勇者はもう、すぐそこまでやってきている。
早く、早く来てくれ。我の命の炎が消えてしまうまでに。
ああ、勇者よ。そして新たな魔王よ。どうかこの世界を裸の猿のような二本足の魔物から守ってくれ。




