腕時計
時計の針を見続けてると、時間が過ぎる意味が分からなくなってくる。
デジタル時計なら次々変化する数字によって時間が過ぎていくことを実感できるけど、味気がない。
だから私はアナログ時計のほうが好き。
おじいちゃんからもらったこの腕時計は、小さかった私に色々なお話しをしてくれたおじいちゃんがいつも腕に付けていたものだ。
だけど、これをつけて外を出歩くことはできない。
今でもこの腕時計を耳に当てると、あの優しかったおじいちゃんを思い出す。
……コレハ終ワリヲ示スモノデハナイ。
……コレハ始マリヲ告ゲルモノナノダカラ。
同じ場所をグルグル回り続けているだけなのに、針は昨日も今日も明日も、百年後も千年後も、一千年前も一万年前をも表すことができる。
私はそっと腕時計に耳を当ててみる。
おじいちゃんから何度も聞かされたのは、平和に暮らしていた私たちの先祖が暮らす土地に攻めてきた侵略者との戦いの歴史……。
「ワシらはヤツらと戦った。この時計はその歴史を忘れないための証なんだ。
いつか必ず、ヤツらからこの土地を奪い返すその時まで……これは、その始まりを知らしめるのものだ」
私にとってクラスメートも、お隣さんも、親友も、憧れの男の子も……そして育ての親さえも。
おじいちゃん以外は誰もが敵で、私たちはこうやって敵の中にまぎれて暮らしているんだ。
1日を24時間で区切るヤツらめ。
私はいずれ必ずこの星を取り返してみせる。




