鷲の国から
忌々しい術師どもめ。
油断していたとはいえ、ワシをこんな小汚い瓶に封じ込めおって。
フン。まあいい。
しばらく遊び過ぎて疲れた。
いくら優れた術師といえど、しょせん人間だ。
ワシが千年も眠っていれば、残らずくたばるだろう。
人間などそれから滅ぼせばよい。
せいぜい眠っている間に、惰眠を貪るがいい。
ワシが目覚めた時が貴様たちすべてが墓に帰る時だ。
フハハハハ!!
地盤調査が行われ、過去千年以上地震がないこの地には、世界有数の高さを誇るビルが建てられる予定だ。
地下の岩盤に鋼管杭が打ち込まれ、その中の1本によって瓶が割られたことなど誰も気づかなかった。
ワシはどのくらい眠っていたのだ?
ずいぶん揺れるではないか。ぬっ!!
ゴゴゴゴ!!
近づいてきた音は一瞬で瓶をぶち壊した。
さてはワシの目覚めを知った術師どもが先制攻撃を仕掛けてきおったか。
だがこのワシの封印を解いたことを後悔するがよい!!
さあ! 思う存分遊んでやろうではないか。
手始めに人間どもから希望を根こそぎ奪い取り、世界中を巨大な墓場にしてくれようぞ!!
ワシは千年ぶりの地上へと飛び立った。
ワシが封印されわずか千年の間に、地上に何が起こったと言うのだ?
無数の人間どもは、どいつもこいつも生きた屍のようではないか。
それにこの巨大な墓は何なのだ?
Skyscraperやbuildingとあるが、支配者の名か?
人間どもは墓から出たり入ったり、墓の中にも無数にうごめいている。
そうか!
ワシが眠っている間に、人間どもはすでに滅びたのだ。
こやつらはゾンビに違いない。
だが少ないとはいえ、まだ生き残っている人間はいるようだ。
そやつらを利用し、地上を再び人間のあふれる大地にしてくれようぞ。
温暖化がなんだ!
終末論がどうした!
そんなもので、このワシのおもちゃである人間を滅ぼされてたまるものか。
ワシがどんなことをしても、すべての災厄から人間を守ってみせる。
ワシはワシの姿をかたどったこの国から、世界中に目を光らせてやろう。
ワシが滅ぼすために。
ワシの楽しみのために。
人間どもよ、それまでは安心するがいい。




