まんじゅう怖い
あたしたち仕事仲間は、先輩の誘いで寄席に行くことになった。
落語なんて初めてだったけど、もう、スゴく面白くって最後まで笑い通しだったわ。
興奮覚めやらぬあたしたちは、ファミレスに寄って夕食をとりながら余韻に浸った。
「先輩、誘っていただいてありがとうございました」
「喜んでくれて良かったわ。若い人は、なかなかいく機会ないものね」
「若いって、先輩と1つしか違わないじゃないですかぁ」
「そうですよ。また行きましょうね」
そこへそれぞれの食事が運ばれてきた。
「夜の外食って久しぶりですよ」
「私もそうね。最近は家で作ること多いし」
「あ、わたしもずっと自炊~。やっぱりみんな同じだったんだぁ」
「でも値段すっごく安くなってますよね」
そうだった。久しぶりに見たメニューは以前よりはるかに安い値段が並んでる。
「どうしてこんなに安く出来るんでしょう」
「そうね。安くするには私たちみたいに少ない人数で頑張って、あとはいかに仕入れを安くするかよ」
「それって農家や漁師の人にスッゴくムリさせてるってことかなぁ?」
「外国からの輸入品も多いしね……」
「あっ、それじゃせっかく安いんだし、あたしデザート頼んじゃおうかな」
ちょっと沈みかけた空気を変えようと、スイーツのメニューをみんなの前に差し出した。
「ね、ほら。実はあたし今まで隠してたけど、この木いちごと生キャラメルのパフェがコワいのよ」
「それ“饅頭こわい”ね。そうそう、実はわたしもそれコワかったの」
「どれどれ、私はこっちの洋ナシとマンゴーのタルトがコワいな」
「わたしはぁ、この新商品のイチゴと黒あんのミルフィーユがコワいかなぁ」
あたしたちはさっきの落語のように、美味しそうなスイーツを選びあった。
マンションに帰って、シャワーを浴び、パジャマに着替える。
う~んと、今日はゼイタクついでに発泡酒じゃなくてビールにしようかな。
だけど、部屋の隅に目がいってしまい、取り出しかけたビールを戻して、カロリーオフの発泡酒のプルタブをあけた。
さっきのパフェはとってもコワかったわ。
このお酒は“濃いお茶が一杯コワい”くらいコワいわよ。
だから今日は大好きよ。
体重計ちゃん。
基本、毎日20時に更新します。




