古代のテクノロジー
ジャガイモの原産は南米である。
だが、その土地にできるジャガイモは小さく、ひと株にできる個数も少ない。
大航海時代、ヨーロッパ人によって世界中に広がったそれは、各地でたくましく大地に根付いた。
その1つに日本がある。
全国で生産されている中でも、北海道は特に有名な産地として知られている。
北の大地に育まれたジャガイモは、まるまるとその身を誇っている。
ある年、深刻な事態が起こった。
検疫によって海外から入らないよう厳重に監視されていたにも関わらず、致命的な『ジャガイモジスト線虫』という疫病が侵入してきたのだ。
被害を受けた畑は、その後何年にもわたってジャガイモが作れなくなる……。
北海道だけでなく、全国のジャガイモ生産農家に深刻な被害が訪れようとしていた。
農水省は迅速に動いたが、国内に入れないという方法しかない疫病に、対処は後手後手に回り、世界的なバイオ燃料生産による食料の高騰の中、国民の生活はさらに大打撃が与えられることとなった。
光明が射したのは、ある小さな畑でのこと。
壊滅した畑の中に、ひと株だけ青々と葉を輝かせるジャガイモがあった。
ジスト線虫に耐性を持つ種が現れたのだ。
ジャガイモはついに救われた。
やがてその株は世界に流通し、ジスト線虫という疫病からの脅威はぬぐい去られることとなった。
日本に昔から伝わる農法を取りまとめたもので、稲作について書かれたものがある。
近代的な機械も農薬もない時代には、イネが実ると村中で最も出来の良い稲穂は『初穂』として、来年はこの稲の元気が他の稲に分け与えられ、すべての稲を元気に実らせてくれる『縁起物』と、神社に奉納され次の年に蒔く種もみにしたという。
それは近代農法が導入されてからは、儀式として残される場合もあったが多くは迷信としてすたれていった。
経験と言う素晴らしい知識によって毎年、自然な形での品種改良……遺伝子操作を繰り返してきたというのに。




