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未来カメラ

 物語に過去や未来が撮れるカメラなんてものが出てきたりする。

 私の持っているカメラもその1つだ。

 ただ、そのカメラというのが胃カメラだという点が、他と少し違うところだ。


 私の職業は内科医。

 病気に苦しむ患者さんを1人でも多く救いたいとの念願がかない、生まれ故郷で開業し、そこで偶然出合ったのがこのカメラというわけだ。

 もちろん最初は故障だと思ったが、カメラの正体が分かってからは、もう、手放せなくなっている。

 これを使って、将来、あと何年先にどの部位に異常が起こるか診断することができ、予防治療を行うことで、患者さんの病状を最小限に食い止めることができる。

 病変の変化を時間を追って経過観察することもでき、その研究を普段の診察に返すことで、患者の皆さんにお返しできている。

 残念なのは、このカメラで未来を写し出すことができるのは私しかいなかったということだ。


 私のクリニックはいつもピカピカに掃除が行き届き、スタッフも患者さん1人ひとりのことを思い、笑顔で元気に応対してくれる。

 今日もクリニックは全国からの患者さんでいっぱいだ。そして患者さんも笑顔で帰っていく。本当に私の理想としていた医療がここにはある。

 次の国際医療学会での授賞も確定しており、その時に行う特別講演で発表する原稿も出来上がり、何もかも順風満帆だ。



 ただ、たった1人だけ診察することが出来なかった私自身の命は、もう長くない。

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