58/200
コノミ
人の顔は千差万別である。
ほんのわずかなサイズや配置の差で、まったく違った印象を与えてしまう。
その与えられたものによって、生涯にわたる悲喜こもごもを引き起こす原因にもなる。
つまらない差を生むのならば、なくしてしまえばいいと大いなる神は思い立った。
すると顔をなくした人々は、髪の毛の長さや量でたがいを区別するようになった。
神が人々から髪の毛をなくすと、次に腕の形や長さで比べ、それを失うと次は足の形や長さを……。
人々は何かを失うたびに、他人と比べられる何かを見つけては区別と差別をくり返した。
ついに神は、人々が誰とも何とも比べられないように、目も鼻も口も手足もホクロさえもない、ただの肉塊にしてしまった。
人々はその大きさを比べあった……。
古代の中国の神話に、目も鼻も口も手足もない、ただの肉塊だけの『渾沌』という大変賢い神がいたという。
あまりに賢いので、他の神々がこの神が目や耳などの器官や手足を持ったら、さらに素晴らしい神になるだろうと考え、足りないものをすべて与えた。
すると渾沌はみるみる衰弱して死んでしまったという。
比べることが好きな人々が、自分の姿を見たとすれば……。




