ペット
「素材の鮮度を保つには、その素材が生きている状態と同じ環境にしてやれば長持ちするんだ」
老舗の大将が若いもんを指導しているその後ろで、店に設置してあるお客用のテレビからニュースが流れる。
“……今国会で焦点となっていました『宇宙人保護法』いわゆる宇宙人ペット解禁法が可決される見込みです”
「とうとう可決されたか。まったくずいぶん長い時間かかったものだ。
さっさと可決して誰でも飼えるようにしておけば、希少価値による乱獲なんて起きなかったのにな」
1人のお客のつぶやきに、まわりにいた別のお客たちもうなずく。
宇宙人が発見されてからわずか十数年もたたず、乱獲と密猟のためすでに絶滅の危機に瀕している種類を、あえてペットとして飼えるようにすることでこれ以上の数を減らさないようにする苦肉の法案だった。
これによって大がかりな人工繁殖が可能となり、数年後には元々の繁殖能力の強さを発揮して、宇宙人は一般家庭でも手に入れることが可能なペットとなった。
「ママ、このペットすぐに元気がなくなるね」
「おかしいわねえ、2本の足で立ってるのが自然のはずなのに。
どうしてすぐ足を折りたたんだり、倒れようとするの? 棒で支えが必要なのかしら。
ほら大丈夫? 立ちなさい。ほら、ほら」
「ママ、とうとう動かななくなったね」
「しょうがないわよ。この子たちは私たちより寿命が短いから。
また新しいペットを買ってきましょう。でないとせっかく買ったカゴや巣箱がムダになるし、あなたの情操教育にもなるんですものね」
鳥から進化した知的生命体の暮らす惑星で繁殖された二足歩行動物を飼う前に、まず『地球人の飼い方』に目を通すことをお勧めします。




