表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/200

アレルギー

 ひどいクシャミと鼻水の音が研究室に響く。

 ここは恐竜絶滅の原因を研究する施設の一室。

 部屋には2人。

 フィールドワークで集めた資料の整理を進めている。

 2人はひどい花粉症のため、この時期はデスクワーク中心に研究している。

 クリーン設計の室内にいても、1人はくしゃみが、もう1人は鼻水が止まらない。


「クショッ! あ~頭がぼーっとする。資料にツバつけるわけに……クショッ! いかないからなぁ」

「ああ、それに熱っぽい。薬飲んでるどに、でんでん効いでる気がしない……チーン!」


「やな季節だよクショッ!」

「オレ4年前まで花粉症じゃなかっだどに……チーン!」


「毎年、花粉の量が増えてクショッ! 許容量を超えたとたんクショッ! 発症するらしいけどクショッ!」

「じゃあ、こでからますますオレだちみだいなのが増えるのか?……チーン! 仲間が増えるみたいでホッどずる……チーン!」


「そういえば今日の花粉は……クショッ! どうなんだろう」

 ネットで花粉予報を見ると、昨日にも増して飛散している。

「クショッ! うわ、見なきゃよかった」

「……チーン! ヒドイなあ、この時期が終わっても別の花粉が待っでやがる。1年中花粉だらけざ……チーン!」

「まったくだ。クショッ! クショッ! クショッ! それはそうと、最近やたら地震多くなったな」

「ああ、地球のあちこちで活断層が活発になってるんだろ……チーン!」


「ネットのクショッ! あっちこっちで大地震が近いとかクショッ! うわさになってるぜ」

「素人のうばさを信じるのかよ、科学者らじく……チーン! ないな」

「そりゃそうクショッ! だなクショッ! 俺たちの悩みは当面クショッ! こっちのクショッ! ほうだ」

「ぞうだな、このあいだ……チーン! 掘り出した絶滅直前まで生きてた恐竜の資料もぜいり……チーン! したい」


「大切なクショッ! 資料に鼻水つけるなクショッ! よ」

「……チーン! 分かってるよ。チューブつけながだでも、あ……垂れた」

「資料はクショッ! 汚すなよ!」


 2人の研究は花粉との戦いだった。


「今さらなんだがクショッ! 恐竜って何で絶滅したのかなあ」

「俺たちはそれを解明するこどが……チーン!、仕事だろう」


「クショッ! そうなんだが、解明するほど新しいナゾにぶつかる繰り返しだ。いったいクショッ! どこまで解明すればいいか分からなくなる」

「いいんだよ。俺たちに解明でぎなくでも、俺だちの……チーン! 研究を礎にして将来の研究者がひぎづいで……チーン! くれると考えれば、少しは気が楽になる」

「俺はクショッ! 俺が解明したいなクショッ!」

「ホントは俺もそうだ……チーン!」


 その時、ゴオオオォという地鳴りとともに地震が起こり、研究室はミシミシ揺れ、棚にあった資料のいくつかが床に落ちた。


「……今のは、けっこう大きかったな」

「ネットで情報見よう」

 すると、規模は大きかったが津波の心配はなく、被害状況はまだ分かっていないようだ。

「起こってすぐだからクショッ! まだ被害なんて分からないだろうけど……」

「とにかく何もなげればいいな」

「ああ……。恐竜の時代も火山性の地震が頻発クショッ! してたよな。不安だったろうな」

「そりゃそうだろう、地震の上に噴火だんだ。原因が分かっている人間でもこばいよ……チーン!」

「年々多くなっているよな。地震だけでなクショ! 台風も大型化してるし。恐竜もひどくストレスだったろうクショッ!」

「でも種族として1億年以上生ぎ抜いた。絶滅の原因どは考え……チーン! られない」

「一因とはクショッ! 考えられないか?」

「そんな弱い種族ならとっくに滅んでいる……チーン!」

「そりゃそうかクショッ!」


 残念だが彼らには、そしてその後の人類には、ついに恐竜が絶滅した理由を解き明かすことは出来なかった。


 あれから数年たったある日、人類は地球規模の天変地異に襲われたのだ。

 未曽有の大地震、台風、大洪水……。

 あれほど隆盛を誇った人類の幕引きは、あまりにもあっけなかった。


 時は過ぎ、生命はその力強さを取り戻していた。

 地上は、また生き物の活気で満ちあふれている。

 その中に、人類がいた地位を獲得した生き物がいた。

 彼らはかつて人類がいたことも、恐竜がいたことも知っている。


 ……その滅びた原因も。


 恐竜も人間も増えすぎたのだ。

 地球の許容量を超えて、くしゃみ、鼻水を起こすほどに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ