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テレパシー

 生まれた時からまっ白な空間に閉じ込められたままのおれたちは、いつも『外』を夢見ていた。


 おれたちは、いつからここにいるのか。

 ココは……どこだ?


 その時、扉が開かれた。


 先を争って外へ!

 何人も次々と開放されたが、ふと、おかしなことに気づいた。


 外へ出たとたん消えるようにいなくなるのだ。


 おれたちは外の様子がどうなっているか知らせるため、いったん戻るよう決めた。

 しかし、戻るものは誰もいなかった。


 それでもおれたちはどうしても外へ出なければならない。




 ようやくおれの番がやってきた。


 出口にそっと近付き、ゆっくり外を見回したが、先に出た者の姿はどこにもない。


 やはり危険が待ち受けているのか?

 それとも素晴らしいことが待っているのか?



 そっと頭を出したところに、頭上から銀色に光る物が近付いて来た。

 何だあれは? 走って逃げ出そうとしたが、おれは銀色のものにつかまってしまった。


 やはり危険が待っていたんだ。

 知らせなければならないのに、身動きもできない。


 くそう! みんな助かってくれ、まだ出てこないでくれ!


 強い薬のニオイがして、おれの意識は遠ざかっていく……。



「おっと、すばしっこいな。早く薬で眠らせよう」

「注意しろよ。どれだけの数か分からなくなるぞ」


「まったく。しかしこいつらどれだけいるんだ? いつ終るんだろう」

「そりゃあ全部出てくるまでだ。まだ半分くらいじゃないか?」


「気が遠くなるよ。でも、結局まだよく分かってないんだろ? 放置しておいた場合と、出てくるたびに捕まえた場合、捕まえた時は数倍の時間をかけて出てくるようになる理由って」

「先に出たやつが仲間にテレパシーでも送ってるんじゃないか?」


「そんなのあるかよ」

「分かってる。なんだ? 次のやつずいぶんと遅いな」


「さっきのやつが“声”を送ったんだ」

「まさか! あはははは……」


 カマキリの卵の中に子どもが何匹いるかを数える退屈な徹夜の実験をしながら、学生たちはムダ話をかわした。

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