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CHAMPION FLAG

 通勤の電車待ちの駅から見えるマンションに、いつもベランダにボロボロの布を干している家がある。

 ボロボロなだけでなく、うすヨゴレていて汚い。

 どうしてこんな布をいつまでも使っているのか気になって気になって、それを通り越して不快になってきた頃……。

 布にマジックで文字が書いてあった。


 犬 お気に入


 見えない部分はあったけど、たぶん『犬のお気に入り』だろう。

 ああ、そうか。

 あの家の犬は、あの布が大好きなんだ。

 家族がいくら違う布を与えても、どうしてもあの布が気に入っていて見向きもしないため、せめていつも清潔にと、こまめに洗って干しているんだ。

 でも布を干していると、通りがかりの人や近所の人から「あれってなに?」とウワサされたりする。

 それでも家族は犬のことを思うと恥ずかしくても捨てられず、考えた結果、ああやって書くことにしたんだろう。

 ボロボロの布は、犬を大切に思う家族の優しさだったんだ。

 ある日、駅のホームで隣に立っていたOLが、何かに納得したように小さく「ああ……」と声をもらした。

 彼女も『犬』の文字から家族の気持ちに気づいたに違いない。

 今日もマンションのベランダには、ボロボロの布がたなびいている。

 あれは家族と犬の絆を示す旗なのだ。

 ホームに滑り込んできた満員電車に足を踏み入れながら、わたしは1人うなずいていた。

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