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神の悪戯か、それとも…

皆さんまたお会いしましたね。作者のPrince of novelです。物語がようやく少しずつ動き出します。

 私の取り柄はなんだろうか、帰宅途中に考えることはいつもこればかり。


 私はいま、いじめられている。私から何か、その子達にしたわけじゃない。けど今はそれがいじめられている原因だと思っている。何か一つでも取り柄があれば、それを通じて、みんなと仲良くお話ができたと思う。


 例えばサッカーが得意な子は、恒例の自己紹介の時に、そのことを伝えれば、同じくサッカーをしている子と仲良くなれる。


 じゃあ私は?昔から体を動かすことは好きではなく、本ばかり読んでいて、ろくに話せる友達などいなかった。高校に入学したら、何かが変わるのではないか、なんて、甘い考えを抱いていた私を怒鳴りつけたい。そんなことを考えていたら、もう家の前まで着いてしまった。


 が、その家の前に男の人がうつ伏せで倒れている。


「え…」


 正直怖い、だってその人からは血が滲み出ていたから。明らかに異常な光景に一瞬立ちすくんでしまう。けれどなんとか恐怖を振り払い、その人の側に駆け寄って声を掛ける。


「あの!大丈夫ですか?意識はありますか?」

 大きな声でその人に呼びかける。すると、

「だ…れだ…」


 とても弱々しい声だが、返事をくれた。意識はあるみたいで、ほっと胸を撫で下ろす。けど油断はできない。

「すぐに救急車呼びますから」


 そう告げた瞬間。いきなり男に腕を掴まれた。キャ!と声を上げたが、男は構わず私を睨みつけながら、

「余計なこと…すん…な…」

 男はそう言って起き上がり、何処かに行こうとした。


 だがこのまま行かせるわけにもいかず、もう一度勇気を振り出し、今度は男の正面に立って、大の字に手を広げ、

「行かせない」

 男はもう一度私を睨みつけるが、正直怖くなかった。

 

 正面に立って、男の顔がハッキリみれたからだと思う。自分よりも少し大きいだけのただの男性。特別恐がることもなかったと思いながら、次の言葉を発しようとした時、男が、


「お前…!咲夢(さくむ)か?!」

「え…」


 男がそう聞いてくる。とても驚いた。だって会ったことのない人が、いきなり私の名前を言い当てたから。


 なんで私のことを知っているのか、男にそう聞こうとした瞬間、男が倒れた。

バン!っと、なんとも痛々しい音が鳴った。またうつ伏せになる男に、


「だ、大丈夫ですか!」

と声を掛けた瞬間、


「咲夢、そこに誰かおるのかい?」

と、聞きなれた声がした。


 私は異変に気づいて出てきてくれたお婆ちゃんに飛びついた。お婆ちゃんの顔を見たら安心して、今までの緊張が吹っ切れ涙が出た。


 私はそのまま、ことの経緯を話した。お婆ちゃんはその男に近づきまじまじと観察し、


「咲夢、この人を中に運ぶから手伝っておくれ」


 と言った。私はお婆ちゃんに知り合いなのかと聞くが、何も答えてはくれない。埒があかないので、とりあえず私は、男を運ぶのに協力した。


 目が覚めたら、見知らぬ天井が目にはいった。ここはどこで、俺は何をしているのか、思い返してみる。確か道で倒れてそこで…


 俺は全てを思い出し、ここに居てはいけないと、ドアノブに手をかけようとした瞬間、ドアが向こうから開いた。


 目の前にはさっきの女の子がいた。最悪だ。夢であって欲しかったが、現実はそう甘くない。どうしたものかと考え、とりあえず話しかけようとしたが、声を発する前に逃げられてしまった。 


 俺は慌てて追いかけた。階段を下り明かりのある方へかけていった。そこで迎えた者はおばあさんとその後ろに隠れるようにいる女の子。


 しばし睨み合い先に沈黙を破ったのはおばあさんの方だった。


「久しぶりだね、己我、随分とヘマしたもんだね、あんたともあろう男が」

「おばあさん、やっぱりあんたなのか?」

「そんことより先に言うべきことがあるじゃないかい?仁義を欠かさないのが、あんたら自警団なんじゃないのかい」

「ぐっ…すまない、助かった、礼を言う」

「あたしにだけかい?この子にも礼を言いな、この子があんたを引き留めてくれたから、今のあんたがいるんだよ」


  確かにその通りだ、俺はゆっくり彼女の側に近寄って、深々と頭を下げた。


「おばあさんの言う通りだ、本当に助かった。ありがとう」


 彼女は何も言わない。何も言えないのだ。俺とおばあさんは互いに顔を知っているが、彼女は何も知らず自分だけ蚊帳の外。

 

 だが彼女は何も知らなくていい。知ってはいけない。だがこのまま隠し通せるわけもなく、何を言われてもいい覚悟で、とうとう白状しようとした時、おばあさんが、


「咲夢、明日も学校だろ、もう寝なさい、心配はいらないから」

「…」


 何も言わずに、彼女は自室に向かった。ずっと下を向いたまま。


 その後、おばあさんは俺の方に向き直り、


「あんた、これからどうするきだい?」


 俺は暫く考えこむことしか出来なかった。


最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。

続きがきになる方は、また次回でお会いしましょう。応援よろしくお願いします。

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