プロローグ
初めまして皆さん。作者のPrince of novelです。この度から始めます「元自警団で自称No. 1の男に甘やかされて困っている私」は、私の処女作になりますので、色々至らぬ点がありますでしょうが、最後まで、読んでくださったらと思います。それではどうぞ。
「ねえ、己我君…海と星をいっぺんに眺めるには、どうしたらいい?」
お嬢はどこか不安げに問いかけるも何かを期待しているようにも見える。
俺は、お嬢を真っ直ぐ見つめて答える。
「それはですね、お嬢、海を正面から見つめればいいのです。空は大きくとても広い、人の視界も同じで、星だって瞳に映ります」
「うん…そうだよね」
お嬢は力のない声で返事をする。お嬢が何故こんなことを聞いてきたのかはわからない。ただ一つなんとなくわかることが、お嬢は俺に何かを確かめたかったということだけ。
「己我君、私の眺め方はね…」
波の音でお嬢の言葉はかき消される。
時刻は午前六時十四分、そろそろお嬢を起こす時間だ。朝食の支度を終え、お嬢の部屋がある二階に足を運ぶ。
途中階段からミシミシと軋む音が聞こえるが特には気にしない。部屋の前についてノックを優しく三回、
「お嬢、起きていますか?朝ですよ」
ドアの向こうから返事はない。仕方なく部屋に入り、お嬢の体を揺する。そしてもう一度、
「お嬢、起きてください。でないとチューしちゃいますよ」
先ほどよりは大声を出しているが、お嬢からは起きる気配が一切しない。
なのでお仕置きにとお嬢の額に軽く唇をあてる。するとようやく、
「う〜ん」
と、気の抜けた返事が聞こえてきた。
「おはようございます。白雪姫様」
まだ覚め切らない目でこちら見つめながら、
「おはよう、己我君」
この時の、お嬢がとても愛らしくて、顔がついついにやけてしまいそうになるが、主人の前でだらしない顔をするわけにもいかず、なんとか堪えながら、
「はい、己我です。朝食の準備はできているので、早く顔を洗ってきてください」
などと平然を装う。部屋を出ようとした時、お嬢が、
「己我君、白雪姫って、なんのこと?」
頭が冴えてきて先程話したことを思い出したのか、そう聞いてくる。
「秘密です」
わざとらしく笑みをこぼしながら答える。お嬢は暫く考え込んだあと、なにかに気づいたようで、その瞬間に顔が真っ赤に染まる。
「まさか己我君、き…//キ…//」
「そんなことより、早く支度しないと、学校に遅れてしまいますよ」
「え、もうこんな時間!」
気づけば時計の針は六時二十五分を指している。もう少しお嬢の反応を見ていたいが、学校に遅れてはいけないので、強引に話を切り替える。
慌ててお嬢は部屋を飛び出して、いつもより数倍手際よく身支度を整えていく。朝食を食べ終え、うがいを済まして、
「いってきます」
「いってらっしゃいませ」
こうして慌ただしい朝をやり過ごし、お嬢は学校に向かう。
これが俺とお嬢の日常。初めこそ互いに気を遣いながら、なんともぎこちない会話をしていたが、今では俺もお嬢も互いに心を許しあう仲だ。あの日までは…
こんにちは皆さん。またお会いしましたね。最後まで読んで頂き誠にありがとうございます。いかがだったでしょうか、私の作品は。まだまだ序曲なのですが、感動のラストを皆さんにお届けするつもりです。応援よろしくお願いします。