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第47回 ライヴシリーズを統べるもの

『やァやァ! 苦戦しているようだねェ!!』


 叶羽のピンチな時に嵐子は明るい声で笑った。


「……ら、ランコさん?!」

『スパイラルタワーの件は片付いた。反撃、しちゃってもいいよン!』

「なんで? だって中にIDEALが……」


 タワーの中に置いてきてしまったレフィのことが叶羽は気になった。


『それは片付いた。正義のヒーローがいるんでね。万事OKなんで、あとは叶羽嬢の思いのまま敵を蹂躙しちゃってくだせェ!』

「よくわかんないけど、戦っていいんだね?」

『あァ! 思う存分やりたまえェ!』

「だったら……ライヴイヴィル!」


 叶羽は配信の音声をオンにした。

 大きく深呼吸をして、視聴者に向けて叫んだ。


「……お待たせ! ここから反撃と行きますよっ!」


〈待ってた〉

〈ここから反撃開始〉

《お水代です》¥100

〈がんばえー〉

《姫やっちゃえ》¥500


 応援コメントをチラリと横目で見ながら、体勢を整えるライヴイヴィルは勢いよく駆け出した。

 足元の自動車を上手に避けながらライヴフェイクたちに向かう。

 

「四つのライヴシリーズの力、ここで試してやる……!」


 気持ちを落ち着かせ精神統一をする。

 叶羽の想いに応えて、五色の光がライヴイヴィルを包みこんだ。

 これまで倒してきたライヴシリーズの力を引き出す。


「まずは幻霧装人ミラージュドール


 一対多という不利な状況を打開するための秘策。

 紫色の尻尾から吹き出る微粒子が作り出すのはライヴイヴィルの分身。

 ライヴフェイクの数と同じく七体の分身が、それぞれに分かれて突撃する。


「次に迅雷爪襲ライトニングストライク


 続いて電撃を帯びた青き獣の爪が延びる。

 電光石火の早業でライヴイヴィルはライヴフェイクを切り裂いた。

 しかし、七体の内の三体には逃げられてしまう。


「更に怒濤海旋ハイドロウェイブ


 逃げるライヴフェイクを今度はライヴイヴィルが逃げ場を防ぐように立ちはだかっては一ヶ所に集める。

 包囲するライヴイヴィルが手をかざすと街の地下を流れる配水管の水が一斉に地面から吹き出した。

 水は勢いよく回転する竜巻となり三体のライヴフェイクを天高く舞い上げる。


「これで終わりだ、熱騰炎蒸バーニングブラスト!!」


 ライヴイヴィルの顔を覆うマスクがオープンすると鬼のような口元が現れる。

 そこから吐き出される紅蓮の息吹きが、空から落ちてくるライヴフェイクを一気に焼き付くした。


「……全て倒したぞ。どこだ出てこい真道アーク!! 居るのはわかっているんだ!!」


 分身を粒子に戻して収納するライヴイヴィルは辺りを見渡す。

 戦っている最中から叶羽はずっと視線を感じていた。

 

『ここだよ』


 振り替えった先の高層ビルの屋上に人影。

 黒いスーツに白い仮面の男、IDEALのリーダー真道アークの声が通信に割り込んでコクピットに響く。


『本当の力を取り戻しつつあるようだな、ライヴイヴィル。それが私によって仕組まれていたことも知らず……何故、月遺跡は人類史から抹消しなければいけなかったのか、お前にわかるのか?』

「そんなの知るか! ボクはお前を殺すっ! そのために今日まで生きてきたんだ!」


 ライヴイヴィルの瞳から光線が飛ぶ。

 ビルの屋上から数えて二、三階部分を吹き飛ばす威力を放った。

 しかし、


「……手応えがない。まだ奴の反応がある」


 真道アークの姿はビルから消えていた。

 ライヴイヴィルは真道アークの魂を感知すると真道は再び背後のビルだった。


「父さんと母さんの仇!!」

『違うな、お前は私に感謝するべきだ』

「ふざけるなっ!! 死ねっ!!」


 我を忘れてレーザーを放つも当たる瞬間に真道は姿を消し、別の場所はワープしているようだった。


「逃げんなァァっ!!」

「……なら、これでいいか」


 耳元で囁かれる声に叶羽はシートからとびあがった。

 ビルに立っていた真道アークは、いつの間にかライヴイヴィルのコクピットの中にいた。


「驚くなよ。お前もライヴイヴィルを召喚する時と同じ、次元間跳躍システムのちょっとした応用なんだ」

「何をいきなり訳のわかんないことを……っ!?」


 突然現れた真道を前にして狼狽する叶羽。

 宿敵がわざわざ自分の手の届く場所に来ている。

 だが、ライヴイヴィルのコクピット内には武器と呼べるものはない。

 直接、殴りかかってみるか考えるまでもなく体格の差で勝てるわけもなかった。


「……そうか、そうだよな。こんなことを言われても信じられないのも当然だ。なら、もっとわからないことを教えてやる」


 すると真道アークは自分に付けられた仮面を外す。

 初めて見るはずなのに、叶羽には真道の素顔に見覚えがあった。


「お前は新たな月の女王になるため研究所で作られた被験体ナンバー101だ」


 真道の手が叶羽の頭にそっと触れた。

 その時、叶羽の記憶の奥底に眠っていたものが呼び起こされた。



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