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40話 お見舞いするにも一悶着でして1

「着いたぞ、蝶!」

「うぶぇ……ほんと駕籠(かご)苦手……。待って、いま降りるから、揺らさないでうえっぷ」


 ご懐妊中(大嘘)ということになっているので、私は人力の駕籠でゆっさゆっさされての移動。

 豆知識ですが駕籠と輿(こし)の違いはあんまりなくて、担ぐところが上についてるか下についてるかの違いみたい。輿は嫁入り用だから今日は駕籠。まあどっちみち酔った。


 吐き気を抑えてなんとか到着したのは、信長のお父様の居城・末森(すえもり)城。

 なんと信長はご嫡男なのに、ここに入れないらしい。


 織田信長がいつから覇王として君臨するのかは不明だが、今現在の、少年信長は織田家の方々からちょい冷遇されている。

 まあ原因はお察しで。

 私も、故郷をどうでもいい理由で燃やされた時は怒りのあまり斬りかかったくらいだし。無神経なことを言われると、思わず手が出ることもある。(全部避けられるけど。そこがまたムカつく。)


 礼儀礼節を大事にするこの時代のみなさんにとって、それを気にも留めない信長は異質な化物(バケモノ)にしか見えないらしい。小さいころからずっと、まわりの家臣(おとな)たちから嫌われているのだそう。

 しかしそんなかわいそうな境遇にしては悲壮感があまりないのは、あの元気で明るすぎる性格のせいね。


「今日はユキいるかな~?オヤジのついでに会えるといいな~」

若様(ぼっちゃま)……信行様に見つかったらまた追い返されますぞ」

「大丈夫だって!そのために今日は蝶を連れてきたんだからさ!」


 本日のパーティは、

  魔王見習い・信長

  護衛騎士・十兵衛

  仲介役老師・平手のじいやさん

  懐妊中という(てい)の私。


 私は本イベントのキーアイテムらしい。

 正しくは、妊娠中の正室という存在が。


「信長様、帰蝶様をモノ扱いしないでください。あまり無礼なことばかりされるのなら斬って良いと、義龍様からも言われておりますので」

「何言ってるんだ、ミツ。蝶は俺のものだし、第一お前俺のことまだ斬れないだろ」

「だーーー!ギスギスしない!いいかげんあんたたち仲良くしなさいよ!毎晩楽しくチャンバラごっこする仲でしょ!?」


 だいぶ仲良しになったと思ったのに、まだ本能寺炎上エンドは回避できていないみたい。

 いつになったら「お前強いな!」「お前こそ!」「「ハハハハハ」」ってなるんだろうか。

 毎回間に入る私の身にもなってくれ。

 ほら、爺やさんなんて本気にしちゃって顔青くしてる。

 大丈夫ですよ、十兵衛はちょっと過保護なのと真面目チャンな性格が信長と合わないだけですから。斬るとか斬らないとか、冗談ですから。


「よし、きばって行きましょう!本ミッションの達成条件は、信秀様のお見舞いを完遂する。失敗条件は信長様の敗走。以上!」


 城門で騒いだおかげで、気分もだいぶ楽になってきた。


 乗ってきた駕籠と馬を止めてもらって、なるべく少人数で静かにおとなしく。末森城のみなさんを怒らせないように行く。

 作戦としては単純で、妊娠報告のために懐妊中の正室を連れてたら、いくら嫌われてる嫡男でも追い返されないだろうってだけ。今回は一応、事前に「行きます」って伝えてあるし。

 こういう根回しとか、ホウレンソウが大事なのよ、戦国時代ってのはね。

お見舞編開始です。

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