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35話 頭上には、選択肢があらわれまして

 決めた!

 織田信長と明智光秀を、本能寺の変が起きないように監視しよう。


 歴史上で起こる事件がひとつもわからないから、私の行動や言動が、歴史を変えられているのかはわからない。

 けど、できることをやっていこう。

 これはずっと、前世を思い出してから、私が「蝶」になってから、自分で選択したことだ。

 やることは変わらない。

 ピンチの時のために引き続き、筋肉は鍛えていこう。素振りは真剣でやろう。ウエイトあった方がいいし。



「これで俺たち、夫婦だな!」

「ええ」


 祝言は無事終わり、お城のみなさんにもきちんと祝福してもらえた。

 私のご挨拶がうまくいったかどうかは、お察しで。

 信長くんがこんなかんじだから、みなさん大目に見てくれたんだと思うけど、正直、お義母(かあ)様とたくさんいた信長くんの弟君達には、白い目で見られた。

 義両親と同居じゃなかったのが救いだわ。


「信長様、今夜は私の部屋へ来てくださいね。良いものをお見せしますわ」

「おう!なんだ?楽しみだなー!」


 そして今夜からしばらく、信長と十兵衛と私は、夜な夜な3人で真剣稽古をすることになる。

 だって、勝てないの悔しいし!

 十兵衛も私も、表立って信長と斬りあいをしているのを見られたらまずいので、夜やるしかないのだ。


 明智光秀を強くすることにどんな意味が……という感じだけど、もうこのさい、信長より強くなってもらって、本能寺じゃないところで倒してもらうとか。


 十兵衛は私を殺すことは今のところないとは思うが、兄上にも言われた「身内だったとしても殺しあうこともある」は、肝に銘じていくつもりだ。

 ずっと私についてきてくれたこの子だって、私が憎むべき魔王(ラスボス)の片腕女幹部になったら、刺さないわけがない。


 それでいいと思っている。

 私はしょせん、立ち位置的に悪役令嬢だしね。


 というわけで私は、

 織田信長と明智光秀を監視しつつ、

 織田信長より明智光秀より強くなってやればいい!

 という結論に至った。


 頑張るぞ、と拳を握る。

 大丈夫、どこへ行ったって、私はマムシの娘なんだから。

 自分で選んで、斬れる。




 乙女ゲームはやったことないけど、頭の中に、選択肢バーが見えた気がした。


 ▶織田信長を選ぶ

  明智光秀を選ぶ










 ***


 この子は、うまくやってくれるかもしれない。


 そう思いながら、本を閉じた。

 特に何かが書かれているわけでもない、白紙の本。

 いつの日か、書き記すのをやめてしまった。


 はじめの方の(ページ)を、そっと開いてみる。

 紙の乾いた音が、何もない室内(へや)に響いた。



 むかしむかしあるところに、仲のわるい兄弟がおりました。

 色んな人を巻き込んだ激しい争いの末に、兄は、弟を謀殺してしまいます。



 どうやって伝えようか。

 どう伝えても、彼女にはどうしても伝わらないのだけど。

 次こそは、この子こそは、さいごまでうまくやってもらわないと。


 もう、あとがないのだから。



 ***

ここまでお読みくださり、ありがとうございます。

第一部完となります。

感想やレビュー、評価、ブックマーク、様々な形で応援してくださった皆様には、いつも感謝しております。なかなかお返事ができず、申し訳ありません。

まだお話は続きます。考えていた結末まではいきたいと思いますので、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。


次話は、閑話になります。

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― 新着の感想 ―
[良い点] え、なに、これは「次の帰蝶はうまくやるでしょう」的なアレなんですか……!?
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