君を見ていた
僕はずっと君を見ていた。
ぶかぶかの制服に身を包み、
嬉しそうに両親へ向かってピースサインを送る君を。
白い下着の透ける体操服を着た、砂埃のなか走る君を。
ホコリまみれの教室で、
ふざけて箒で友達を叩いたり、叩かれたり。無邪気に笑う君を。
もこもこのかわいいマフラーを首に巻き、
寒そうに震えつつも、真っ赤な頬をした君を。
僕はずっと君を見ていた。
ずっとずっと君を見ていた。
ねえ気づいたかな?
君の靴箱に入れた僕の証を。
君の机の中に入れた僕の痕跡を。
君のかばんの中にも、僕の一部を入れたんだ。
僕が君をずっと見ていることを気づいてほしい。
僕はずっと君を見ていた。
僕はこんなに君のことを見つめているのに。
はやく気づいてほしいのに。
君は僕を見てくれなかった。
見向きもしなかった。
もしかしたら気づいてるけど照れているのかな?
そうだとしたら伝えなきゃ。
照れなくても良いんだよって。
はやく、はやく気づいて
僕の目を見てよ。