8話 行きつけの武器屋ができました
「それで、いくらになるですかね?」
職員さんに聞いてみる。
「そ、それは詳しく見ないとなんとも言えないです…けど、間違いなくうちのギルドのお金のほとんどは飛んでくでしょうね……はは、給料はどれだけ引かれるんでしょうね…」
ドンマイ!!
「それでは、明日もう一度ここに来てください。その時にお金を渡しますので……」
「あ、すみません。追加で素材を売りたいのですけど」
鞄を開け、約100体の魔物を出す。
「はい、分かりましたー。あはは、もうどうにでもなーれ」
フラフラとした足取りでカウンターの奥へと向かっていった。
「あ!しまった!今日泊まる宿どうしよう!これだけで足りるかな?」
鞄を取りだし、中の袋を取る。その中には、本来馬車の乗車賃だったお金が入っていた。
まぁ、いい感じの所を探そうかな。
そう考え、外に出る。
そういえば、兵士さんたちに連行されてたから、詳しく街を見てないんだった。探索するとしよう。
というわけで、しばらく適当に歩く。
歩き始めてちょっと経った頃、ひとつの少し小汚いお店を見つけた。
「えっと、《ソノギ武器店》?」
店の前の看板にそう書いてある。そうだ!申し訳ないけど、村で貰った武器を買い取ってくれるかな?
店の中に入ると、中に入ると、案外綺麗な空間にさまざまな武器が置いてあった。
「いらっしゃいませ!どのような武器をお探しですか?」
出迎えてくれたのは俺より少し年下くらいの美少女だった。そう!こういうのだよ!ギルドとは大違いだね!これからもここを使うとしよう。
「えっと、武器の買取って出来ますか?」
「はい、わかりました」
スタスタとカウンターへと歩いていく。
「それで、お買取させていただくのはその腰の剣でしょうか?」
「はい、そうです」
剣を取り外し、カウンターに置く。
「ふむふむ。銀貨3枚と銅貨7枚というところでしょうかね。それで大丈夫ですか?」
「はい、お願いします」
ちなみに、銀貨は日本でいう約千円、銅貨は約百円くらいらしい。銀貨の上には金貨,大金貨があって、金貨は約一万円、大金貨はなんと百万円ほどだ!十万円はどこに行ったのだろう?きっと迷子になって犬のおまわりさんと一緒にいるだろう。知らんけど。
お金を受け取り、武器を一通り見る。
「そういえば、このお店ってオーダーメイド出来るんですか?」
「はい。それなりの代金を貰いますけど、何か欲しい武器とかあるんですか?」
「えっと、刀って分かりますか?」
「はい、何十年か前に勇者様が伝えたと言われてますよ。たしか、ニホントーって名前で」
「じゃあ、炎に完全に影響されないニホントーって作れますか?」
「えっと、それは店長に聞いてみないと分からないですので、ちょっと待っててください。てんちょーー!!」
え、何この子、可愛い……
「なんだ?俺は今休憩中なんだが?」
カウンターの奥から出てきたのは、小柄でとても濃い髭を生やしている、The,ドワーフな人だった。
「店長、このお客さんが炎に全く影響されないニホントーが欲しいみたいなんですけど、作れそうですか?」
「ふむ、変わったものを欲しがるやつだな。そんなのでどうするんだ?」
「まぁ、諸事情ってやつです」
「まぁわざわざ言うことでもねぇか。結論から言って可能だ。耐火の魔石っつうやつを使えばどんな炎にも負けない物が出来るだろう。だが、炎を完全に無効化するほどの物だ。そんなレアな物がこんなしがない武器屋にある訳ねぇ」
「では、どこにあるか分かりますか?」
「王様ならなんかわかるんじゃねぇか?王様は博識な方だ。大抵の事は知っているはずだぜ」
「いや、一般人が王様に会えるわけないじゃないですか…」
「そういう訳じゃないんだよな〜。この国の王様はとても頭がいいぶん、武術の才能がなかったみたいなんだ。だからなのか、戦いを見るのがとても好きらしい。そこでだ、ついてこい」
店長に店の外にでていくのでついて行く。
「ほら、あの紙が見えるか?」
店長が指を指した先には、ポスターらしきものが貼ってあった。
「ここからじゃあ文字は見えねぇが、要するに武闘会を開いて、優勝したら王様になんでも一つだけ質問をしてもいいってとこだな。言いたいことはわかるな?」
なるほど、つまりその大会に優勝して魔石がどこにあるのかを聞けばいいんだな?
「ちなみに大会は明日の夜だ。もっとも、嬢ちゃんが優勝できるとは思えねぇけどな」
「むぅ、少しくらい思ってくれてもいいじゃないですか」
全く、失礼な人だ。
「さて、俺から言えることはこんくらいだ。あとは頑張れよ」
そう言い残して店の中へと戻る店長。あ、名前聞き忘れた。まぁいっか。
「さて、何しようかな?」
まだ日が沈むまで時間はかなりある。
あ、そういえば冒険者登録してもらってなかった気がする。
えっと、ギルドの場所はどこかな?確かあっちから来たから、あっちだろう。
ふぅ、無事戻ることが出来た。さて、中に入りましょうか。
ガチャッと扉を開けて中に入る。え〜っと、受付はアッチだったよな?
「あの〜すみません」
「はい、なんでしょか?」
前にいたあの男の職員さんはどうしたのだろう?昼休憩かな?まぁ、どうでもいいか。
「冒険者登録に来たんですけど、今って大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫ですよ。それでは、この紙に書かれてる事をしっかり確認した上で必要事項を記入してください」
紙を手渡されたので内容を見てみる。えっと?
氏名
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
□ 依頼に失敗したら違約金を払い、それが何回か続くと冒険者ランクが下げられる。なお、Fランクの者の場合はギルド追放処分。
□ ギルド員同士の殺し合い禁止。
□ パーティは4人まで。
「えっと、質問をしてもいいですか?」
「はい、なんですか?」
「あの、規則ってこれだけですか?」
「はい。それだけですけど何か?」
「少なすぎるな〜って思ったので」
「まぁ、私もそう思うのですけどね。でも、規則だらけになったら誰も来なくなってしまうかもしれないでしょ?」
「まぁそうですけど」
「ですから最低限必要なことだけ了承してもらってるんです」
「では、パーティは4人までって言うのは?別にどれだけいたっていいのでは?」
そっちの方が依頼の達成率が上がるだろう。
「理由はふたつあって、一つ目は依頼を沢山受けてもらうためですね。百人パーティ1組でひとつの依頼を受けるより、4人パーティ25組で25個の依頼を受けてもらった方がこちらとしては都合がいいんですよ」
なるほどね
「では二つ目は?」
「二つ目は、依頼達成時の報酬で喧嘩しないためですね。例えば、すごく難しい依頼の報酬で、金貨を百枚貰ったとします。ですが、一人の取り分は金貨1枚です。それでは割に合わないでしょう?」
なるほど、準備で金貨1枚以上使っていたら損だもんな。そこからパーティの人から報酬を奪う、もしくはパーティのリーダーが独占するとか、そんなことが起きるかもしれないもんな。
「これらの理由から、パーティの人数を制限したんですよ」
「なるほど、丁寧な説明をありがとうございます」
「いえいえ、何かほかに質問はありますか?」
「いえ、大丈夫です。これ、書き終わりました」
全部の項目にチェックを入れ、紙を職員さんに渡す。
「記入漏れは……無さそうですね。少しお待ちください」
しばらくしてから、白いカードのようなものを持ってきた。
「これが冒険者ギルド員の証である、ギルドカードです。身分証にもなりますから、無くさないでくださいね。無くしたら銀貨5枚で再発行できますよ」
おぉ〜、これがギルドカード……
「えっと、エキューラさんは登録したばかりなので、Fランクから始まります。いくつか依頼を達成したらEランクに昇級できますよ」
「分かりました。でも、明日の大会に備えて今日はやめておきます。怪我とかしたら大会に支障をきたすかもしれませんので」
「エキューラさんは明日の大会に出るんですね。頑張ってください!」
「ありがとうございます。あ、それとこの近くにいい宿屋はありますか?」
「それでしたら、ギルドの向かいにある宿屋をお使いください」
「分かりました、ありがとうございます!」
お礼を言い、ギルドを後にする。
向かいの宿屋というとあれかな?
向かいの建物に入ると、受付の人が声をかけてくる。
「虹の宿屋へようこそ!1泊朝,夜ご飯付きで銀貨1枚ですけど、何日泊まりますか?」
「それじゃあ、7日間お願いします」
今は銀貨7枚しかないからな〜。
「分かりました、銀貨7枚になります」
代金を渡し、部屋に案内してもらう。
「こちらがお部屋です、ごゆっくりどうぞ!」
304と書かれた部屋に案内され、鍵を貰い中に入る。
「へぇ〜、なかなか良い部屋だな〜」
中には大きいベッドに大きい窓があり、とてもいい景色だった。
さて、やることも無いしどうしよ。魔法の練習でもしようかな。
鞄から魔導書を取り出し、今度は中級魔法を読む。
気付いたら夜になっていたので、ご飯を食べてお風呂に入り、吸い込まれるようにベッドに潜り込む。今日はよく眠れそうだ。
同時刻:リルの森
グォォォォォー!!!
「はぁ、はぁ、なんだよ、ドラゴンがいるなんて聞いてねぇぞ!と、とにかくこの事を伝えねぇと!」
幸い、あのドラゴンは俺を見失ったようだ。
全力で走っても、到着は明日の夜になりそうだ。でも、走らなければ…伝えなければ!
彼は走り始めた。国家ラバスニへと。
みでぐれでありがどうございばずぅ( ᵒ̴̶̷̥́ ^ ᵒ̴̶̷̣̥̀ )