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44話 帰還

誤字・脱字・矛盾点があったら教えてください!

「さて…。どうするか」


現在、俺は悩んでいた。

何故悩んでいるかというと…


「咲良さんのお土産、すっかり忘れてた…。」


最初は覚えていたんだ。そう、最初は。

色んなところを観光した際、とても楽しかったので夜までずっと遊んでいた。

おかげで今の手持ちは金貨1枚だ。

しかも今は深夜0時になろうかという時間だ。どこの店も既に閉店している。

そして俺は、おそらくこの世界では咲良さんしか好きでないものがあることを思い出した。


「えっと、たしか捨ててなかったはず…。」


魔法の鞄の中から、あるものを取り出す。

よし、あった!これを渡せばきっと大丈夫だ!




そして、何事もなく1週間ほどかけてファイズに到着した。

到着した時刻は午前11時。まだみんなが学校に行っている時間だ。

りんと委員長はまだ学校の時間だからと学校へ向かった。あの真面目共め。

俺は流石に冒険者のランクをせめてEにしたかったため、依頼へ向かうことにした。


「お久しぶりです!我らが女神さま!」

「「「「お久しぶりです!」」」」


その場にいたほぼ全員が俺に挨拶をしてきた。

ちなみに、チュリ先輩への対応に似ているところがあるが、チュリ先輩への挨拶はやらなきゃ殺られるという認識で、俺への挨拶はきっと命の恩人だからとかのはずだ。決して俺の容姿からの言葉では無い。…はず。

また、こんな俺が恥をかくような挨拶をしていないのは、見たことない人だった。多分だけど新人なんだろうな。

さて、いい感じの依頼はあるだろうか?

依頼の掲示板を見ていると、後ろから声をかけられる。


「女神さま。こんな依頼どうですか?」

「ん?どれどれ〜?『ワイバーン1体討伐』か。あ〜、これいいかも」

「女神さま。こっちはどうですか?」

「ふむ。『サイクロプスの討伐』か。ワイバーンより危険度高いんだな、これ。」


って、そういえば俺Fランクの依頼しか受けられないんだった。


「悪いんだけどみんな。私Fランクだからこの依頼受けれな―――」


受けれない。と言おうとした時、また依頼の紙を渡された。


「女神さま!こんな依頼はどうですか?」

「はぁ…。えっと?『ビーンと結婚を前提に付き合う』?」


そう読み上げると、どこからともなく音楽が聞こえた。

その音楽に合わせ、その場にいた全員が俺を囲うように踊りだした。

これは、あれか?フラッシュモブとか言うやつか?異世界にもこんな文化があったんだな。

やがて音楽が終わり、俺囲んでいた人達が離れていき、代わりにビーンが指輪を持って俺に近づいてきた。


「女神さま…。いえ、エキューラさん!俺、最初に姉御を見た時から好きだったんです!それに、チュリさんに凍らされた仲間を助けてるのを見て、この人しかいない!って思ったんです!」

「いやでもビーンさん最初にあった時、私の事殴ってなかった?」


そう言うと、ビーンは苦笑いを浮かべる。


「あの時は本当になんであんな事をしたんだろうって思います…。多分、好きな人だろうが女に負けたっていう屈辱を晴らそうとした結果だと思います」

「まぁ、反省しているってことかな?」

「はい…。」

「そう」


それにしても、こいつかなり丸くなったな〜。

そんなことを考えながらビーンが持ってきたこの依頼の紙を―――

「えい」

ビリビリビリッ!

―――派手にちぎった。


「な、なんでそんな事をするんですか!」

ビーンが泣きそうな顔をしながらそう聞いてくる。


「あの時の事を反省しているのはよく分かった。それに、私を好きなのも伝わった」

「………」

「でも、ビーンさんは1つ勘違いをしている」

「か、勘違いって…。なんですか?」

「…………」


これを言うのは躊躇してしまう。が、言っておかないとこれからもこういう事が起きるかもしれない。


「私の恋愛対象は決して男なんかじゃない。女性だ!」


そう告げた時、確かにこの場の空気が凍った。

ある者は絶望し、ある者は希望を持った。

ちなみに、前者は主に男。後者は主に女性だ。


「そういう訳で、私の事は諦めてね。それじゃ」


この空気では依頼を受ける気になれなかったので、随分休んでいたバイト先に向かうことにした。

やがてバイト先であるメイド喫茶に着き、事務室に入る。


「あっ。お久しぶりです店長!」


久しぶりに見た店長は、少しやつれていた。一体どうしたのだろう?


「あ!エキューラさん!よく戻ってきてくれました!」

「えっと…。なにかあったんですか?」

「ほら!早速服を着て!やってもらうことがあるんです!」


そう言って、店長が俺にメイド服を渡してくる。

よく分からないが、クビにされないよう従うことにした。この店って給料いいんだよな〜。

この店。なんと、日本で言う時給1350円である!俺まだ高校生だぞ!?


「店長。着てきましたけど、何をするんですか?」

「それを着て、この辺りを宣伝しながら歩いて来て欲しいんだ!10分くらい!」

「えっと…。なんでですか?」

「今、エキューラさんがいないという理由で前までいた常連のお客さんが来なくなっちゃったんだよ!ウチの常連さんはほとんど全員エキューラさん目当てだから、このままだとお店が潰れちゃう!」

「は、はぁ。分かりました。ですが、あまり期待しないでくださいよ?」




〜10分後〜

適当にこの辺りを歩きながら来てくださいね〜と言ってたからそうしたのだが、これで大丈夫なんだろうか?


「ただいま戻りました〜」

「「「「おかえり!キューラちゃん!」」」」


キィ、バタン!

おっと。反射的にドアを閉めてしまった。さて、中に入るのも少し精神的に辛いからもう少し宣伝してこようかな。


「待って!エキューラさんがいなくなったらお客さん帰っちゃうから!」


店長が外に出てきて、半泣きで頼んでくる。おいおい…。大人が女子高生に頭下げんなって…。

しかもここは屋外のため、通行人にこの状況を冷たい目線で見られてしまうのだ。

仕方ないが、ここは折れるとしよう。


「はぁ…。分かりましたよ」

「ありがとう……!ありがとう……!」


再びお店の中に入る。


「おぉ。戻ってきたかエキューラ!さぁ、俺に『ご主人様へのLove100%オムライス』でハートマークを―――」

キィ、バタン!

我ながら、完璧なデジャブである。

なぜ俺がまた扉を閉めたかと言うと、店の奥でフィックさんが裏メニューである、俺の開発した『しゅわしゅごサイダー』を片手に手招きをしてきたからである。


っていうか、なんでいるんだ?いや、そりゃそうか。あの人は俺を追っかけて国をまたいで来るような人だ。この国に住んでると知ったら当然フィックさんもこの国に住むだろうし、俺のバイト先も知ってるんだから入り浸るだろう。

そんな人が帰りを聞いたらどうだ?結果は言うまでもないだろう。

っていうか、なんでフィックさんは『しゅわしゅごサイダー』を飲んでるんだ?それを頼めるのはこのお店で合計大金貨1枚分の支払いをした人だけが頼める物だったはずだが…。いや、まさかね?


「すみません店長…。私、あの人だけはホントに無理なんです。生理的に」

「そ、そうなのか?けど、あの方は他の国の賢者で、このお店の広告塔としてとても活躍していただいているんです。そう簡単に追い出すわけには―――」

「はい、その辺は想定内です。ただ一言だけ伝えてくれませんか?」

「は、はぁ。それで、なんと伝えればいいですか?」

「それは―――」


伝言を頼んで、店長が店の中に入ってから1分後。すごい勢いでフィックさんがお店から出ていった。

そして、少しした後店長が話しかけてきた。


「す、すごいですね…。ところで、チュリという方は誰ですか?」

「まぁ、私の先輩ですよ」

「は、はぁ…。」


頼んだ伝言は簡単だ。『今すぐ出ていかないなら、チュリ先輩にこのことを相談するぞ。』そう伝えてもらっただけである。

結果は大成功。一瞬でフィックさんはこのお店から出ていった。


「よし、今日も一日頑張るぞい!」

まぁ、既に時刻は正午過ぎなんだけどね。

みでぐれでありがどうございばずぅ( ᵒ̴̶̷̥́ ^ ᵒ̴̶̷̣̥̀ )

ところで、『今日も一日頑張るぞい!』って、元ネタなんなんですかね?(°σ¨_°)ホジホジ

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